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Aちゃん22

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2025.07.03
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カテゴリ: 電子工作
Metronix 524B 簡略回路図を修正 LTSpice 回路をダウンロードできる様に用意した 。LTSpice でシミュレーションをする場合、Integration Method を modified trap に設定して欲しい。計算で発生する発振を抑制できる。


Constant Voltage amp, METRONIX model 524B (PDF)

CV 回路は CC (Constant Current) 回路と結合している。CC 部分と接続してある部分は省略してある。CC 回路との接続点は上記回路の Q6 Collector の部分だ。過電流になると、この接続点から電流を引き出す。

回路全体の GND (基準電位) は PLUS 端子に繋がる +S 端子である。この電位の取り方で、Q1, Q2 の駆動に必要とする電圧 Vdrv を GND から見て +1.1V 程度で済む様にしてある。

MINUS 端子に繋がる -S 端子に現れる負の電圧 Voneg を安定化する回路になっている。 Q3, Q4 が差動増幅器になっていて、Vfb が抵抗 R11, R10 の加算で 0V になる様に制御する。R11 が前面パネルの VOLTAGE 可変抵抗器、R10 が金属皮膜抵抗と半固定抵抗器で構成された最大電圧設定になっている。

シミュレーションでは R11 を 1kΩ にして 10V を出力する (Voneg=-10V) 状態にしてある。

R10, R11 抵抗加算回路は -S 点に向かって約 10mA (=6.1V / 610Ω) の電流を流し、+S 線を通して GND に向かって約 10mA を戻す様に動作している。無負荷の場合は電流の主要な流れは -S → 電流計 Rcum → V1 電源(実際の回路は整流回路とトランス) → 出力トランジスタ Q1, Q2 → R2, R4 → +S のという経路だ。

524B を VOLTAGE CHECK 動作にすると僅かに電流計が振れるのは -S, +S 線に流れる電流が主な要因になっていると思われる。アナログメーター故の妥協だ。針の 0 点を僅かにずらせば針が指示する位置を補正できる。あるいは殆ど目視できない。

VOLTAGE ポテンショメータを最小位置にして無負荷の時に PLUS 端子、MINUS 端子 (以降出力端子)の電圧を測ると僅かに負電位が現れるのも -S, +S 線に流れる電流が原因であろう。



Q3 は差動増幅器を構成しつつ、実質ダイオードとして動作する。うーん、コレクタ側は R9 と同じ 10kΩ を通して Vc12 に接続した方が Q4 と熱的な差異を生じないようにできるはず。部品 1 個でかなり違うと思う。

Q5 の コレクタに入っている 340Ω の抵抗は 680Ωをパッチ的な実装によって並列接続したものだ。AC 電源電圧が低い、低温、出力電圧高時で、最大出力電流を Q1, Q2 で出せなかった? R1, R3 330Ω, R7 2.2kΩ を倍程度の値にする修正もあったと思う。

起動時の波形を見ていこう。


Startup wave Constant Voltage amp, METRONIX model 524B (PDF)

0.4ms 近辺で Vdrv が非線形領域まで振れている。Voneg は 0.4V ほどオーバーシュートし目標値 -10V から外れる様な変化になっている。0.5ms ~ 0.6+ms の間振動がある。発振に至る程ではない。起動時かつ実際は交流を整流した電源を使っているので、起動時の挙動は目立った問題では無いはず。無理にこの挙動を出力端子に出そうとするなら OUTPUT ON の状態で AC プラグを挿す操作だろう。

動作中の負荷変動応答特性が気になる。まだ見ていない。

D1 があるおかげで Vcome (差動増幅トランジスタの共通エミッタ電圧)は約 -659mV 程で定常状態になる。Vcome が 0V を越て正の電圧にならないように制限される。

定常状態の波形を見てみる。


Waves when reached stable at Constant Voltage amp, METRONIX model 524B (PDF)

Vcome に変化があるのはシミュレーション計算特有の変化だと考えている。Voneg が約 -9.988V に対して Rcum(電流計) の電流は約 1.0088A だ。これは +S, -S に流れる電流 10mA が、電流計に現れていることを示している。

全体的に発振は見られない。良好な動作だと考えられる。

起動用ダイオード D1 を外してシミュレーションしてみる。


Constant Voltage amp without startup diode D1, METRONIX model 524B (PDF)

D1 を外すと Q4 のベース電圧が約 0.6V 以上に上がったときに Vcome が 0V から上がりだし、Q3 が逆バイアス状態になり off になる。こうなると Q3, Q4 は差動増幅器として機能しなくなる。


Waves Constant Voltage amp without startup diode D1, METRONIX model 524B (PDF)



Fail safe も考慮した設計なのか、このような状態になった場合は出力電圧 Voneg は約 31.2mV となり、出力端子電圧は若干負電圧になるものの端子に接続した回路を壊してしまうほどの電圧ではない。

D1 を付け加える案を選択したのはなぜだろうか?回路に落書きしたように「Re を 2.7kΩから 2.2kΩに下げる」あるいは「R9 を 10kΩから 15kΩ に上げる」と言った部品を追加しない対策で回路は起動する様になる。差動増幅部分のゲインを上げて、理想的なオペアンプに近づけることもできたはずだ。

定数を調整しきって発振しないことを確認した所で起動しない問題が発生して、再設計する時間が無かったのか、あるいは出力端子に過酷事象を印加した場合も対応できる利点を重視したのか。

オペアンプを使って動作原理の確認とリニューアルの検討をしてみる。 簡略化回路図 にも示したようにオペアンプの反転入力・非反転入力の使い方が奇妙なのが正しいのかも確かめる。


Voltage amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)



C1, C2 は帰還ループの応答特性を良くする様に試みて定数を変更、挿入してある。C1 を大きくしたので Constant Current 制御に影響があるかもしれない。要確認だ。C2 は少しやり過ぎ感もある。減らした方が良いかもしれない。

起動時の波形を見てみる。Voneg のオーバーシュートは約 0.13V だ。応答特性を調整したので非線形領域に入らずに済んでいる。クランプ回路は働かない。負荷条件を多様に振ってみて確認を進めると何か気になる挙動が有るかもしれない。


Startup waves Voltage amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)

定常状態の波形を見てみる。安定した動作だ。


Waves Voltage amp using opamp, METRONIX model 524B (PDF)

ディスクリート・トランジスタで作ったアンプよりも高ゲインなので Voneg=-9.9999809V になってほぼ -10V に制御できている。オペアンプならではの動作だ。発振に気を使う必要も出てくる。

オペアンプを使ってスッキリと作り直せるかと思ったら、要クランプ回路だった。悶々として、結局 LM324 の出力短絡許容に甘えるのかな...

次の日記 CC 制御回路








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最終更新日  2025.07.25 12:46:50 コメントを書く


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