山口小夜の不思議遊戯

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2005年09月01日
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 ♪(前略)あ・な・た~と、わ・た・し~のステキなチャンネル♪


 相生の子供たちは、来る日も来る日も相皆平和条約によって治安が守られているところの、この日本海の浜辺で、磯遊びを満喫していた。
 幼い子たちは、この広大なお砂場を得て、しゃがみこんだまま砂遊びにひねもす熱中しているのだが、比較的年長の子供たちは、海に入っては岩場のウニや巻貝、ひとでをとって遊ぶのが常だった。

 そうして何日かすると、里の子供たちの肌は、もう黒としかたとえようのない色になっていき、とうとう黒光りするまでに至るのだった。誰もかわいらしい水着などでめかしている者などいない。浜では男の子女の子の区別なく、皆してスクール水着でそこら中を転げまわって遊んでいた。

 ──あまっちょ、追っかけるだ!
 おのこたちは、思いつく度に小夜たちあまっちょを追いかけまわしにやって来た。
 ──いややぁ!

 彼らが徒党をなして追ってくると、女の子も口々にわめきながら走り回ったが、しかしそのリアクションには、追いすがる異性を前にした自分たちの無力さに、甘い恐怖を楽しんでいる感もなきにしもあらずだった。

 小夜はそんな仲間の輪のうちにあって、たまに腰をのばして遠く遠くに目を移し、海の眺めを満喫した。
 眼前には広々と日本海が横たわっている。皆生の海岸は、山陰海岸線といって、その男性的な景色で名を馳せていた。
 相生の里からも海は見はるかせたが、その絶景を目の前にするのとでは、身にせまりくる迫力が違う。

 日本海は、太平洋のように甘い海ではない。
 どんなに風が凪いだ日も、不機嫌そうに白い牙をちらつかせてうち寄せてくる波。その波に悠久の永きにわたって削られていった断崖。深い海溝を隠しているため、陽の光を反射せずに黒く灰がかったような色の水平線。はるか天との境、海原をゆく船。あれはどこかの外国船だ。

 そして、浜から少し離れたところには、松の大木が十六本自生している。この自然の堤防は、その名も十六本松という固有名詞が付けられており、カッと照りつける浜辺の太陽に、その松風の音が涼しさをそえて和らげてくれるので、村の人々に親しまれているのだった。

 小夜はこのような海が大好きだった。そしてまた特に波の音が。海は月の引力によって悠久のあいだ忠実に満ち干きを繰り返す。
 波には拍(はく)がない。風にそよぐ松葉の、一本一本のかすかなざわめき。大いなる原則の上での、小さな乱れ。そういったものが、人の心をこんなにも和ませることに、小夜は心を動かされた。

 村の人が使う御詞(みことば)にも、訴(うたい)の唄(うた)にも、このような心地よい乱れが感じられた。



 冒頭の日本海テレビのCMって、まさか今はやっていないと思うけど・・・というか、日本海テレビってまだあるのかな(あったらごめんなさい!)。
 当時の日記だけをもとに書いているので・・・参考書に“るるぶ”くらい買えよとまわりにも言われているのだけど、買ってません。だって“るるぶ”って最新の鳥取のことしか書いてないじゃんね。私は四半世紀も前の情報が欲しいんです。

 今日も説明文のみでごめんなさい。説明文は今日で終わりです。
 明日は●あかえ、クラゲに刺される●です。お待ちしております!





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最終更新日  2005年09月01日 11時05分32秒
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