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会議の後の
懇親会にのみ出席のため
熱海から初島に一人で渡った
会場は、会員制のエキシブリゾートで
紹介者が居たので、泊まることができた
彼女が生きていたら、きっと連れてきただろう
昔、伊豆7島は、学生時代にキャンプで神津島に
渡ったことがあったが、
初島の名前が、伊豆七島の最初の島の意味で付けられたとは
今日まで知らなかった。
古い歴史のある島らしいが
周囲4キロと小さな島なので、見るところも尽きて
港とは反対側の海岸に下りてみた。
遠く、夕日が沈む伊豆半島が海の向こうに大きく横たわっていた。
彼女と幾度となく訪ねた場所もここから眺めると
どこも間近かに感じる。
熱海も、伊東も、湯河原も、天城山や大室山も海を隔てて
ここから約10キロの距離だという。
島の海岸の冬枯れのキャンプ場には人影もなく、
リゾートホテルも、混雑を避けたカップルか家族連れが目立つくらいで、空いていた
彼女と船に乗って島に渡ったのは
紀伊勝浦のホテル浦島だったなと思い出した。
夏だったが、台風が近づいていたので
海が荒れて、紀伊松島巡りの小さな船は少し怖かった。
しかし彼女は、平気だった。
屋久島やカンクーンに出かけた彼女から船旅の話を聞いたが
僕が、一緒に船に乗ったのは、紀伊のあの時だけだった。
伝奇ロマンが好きな彼女が熱心に調べてくれた「徐福」伝説や
極楽浄土への渡海を求めて、紀伊の海に消えた
補陀洛山寺の上人達の遺跡を訪ねた時だ。
僕の好奇心も旅のロマンも満たされたあの旅行が
今も瞼の裏に鮮烈に焼きついている。
今日の海は、寒々として疲労に満ちている
この孤独感が癒えるのはいつの日だろうか。