生活が豊かになって「とろける」「ふんわり」など"やわらかい=おいしい"という傾向が強まった日本人の嗜好(しこう)。
同時に、子供たちの噛(か)む力も弱まってしまったといわれる。よく噛むことは、食事の基本であるだけでなく、脳の活性化や生活習慣病予防にもつながることから、噛む力を見直そうという動きが出てきている。(榊聡美)
「噛むことは意外なほど健康に大きな影響をもたらすものなのです」と、和洋女子大学の柳沢幸江教授(栄養学)は話す。この3大効用を「唾液(だえき)を多く出す、食べ過ぎを防ぐ、脳への刺激を増やす」と説明する。
唾液の分泌量は噛んだ回数と比例する。唾液には消化・吸収を助けるアミラーゼや、細菌や発がん性物質を減らすラクトペルオキシダーゼといった酵素、味覚機能を高める物質のガスチンなど、健康に役立つ有効成分が多く含まれる。
また、咀嚼(そしゃく)することで脳にある満腹中枢を刺激し、食べ過ぎ、さらには肥満を防ぐ。脳の血流がよくなって、記憶力や集中力も高まるという。
「お年寄りの脳を調べたところ、歯の本数が多い人ほど記憶に関与する海馬の容積が広いことがわかっています」と柳沢教授。
(以上、産経新聞より)
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