大腸肛門専門外科医のひとりごと

大腸肛門専門外科医のひとりごと

2005.09.04
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テーマ: 癌(3567)
大腸癌が疑われた場合、もちろん検査をするわけですけど、外来に来たときに

直腸診をやる先生というのはまともな先生だと思います。

肛門に指を入れて診察するやつです。

これって非常に大事。

下部直腸癌ならこれだけで診断がすぐつくこともある。

でも、面倒がってやらない先生も結構いると思います。

「はい、じゃあ検査しましょうね」って言って診察しない。

でも大きな病院とかだと検査も混んでいて、1ヶ月後まで予約がいっぱい

なんてこともないとは言えませんね。



患者さんも羞恥心からやりたがらないことは多いのですが、下血を主訴とする場合は特に

直腸診と肛門鏡検査はその場でやってもらいましょう。



直腸診を行うときにはだいたい左下に横向きなります。

お尻を突き出すような感じに、膝をかかえるように曲げます。

この姿勢をシムス体位といいます。シムス体位

ほかに仰向けに寝て両膝をかかえる姿勢もありますが、こちらはちょっとお尻を

むき出しにするような感じになりますので、特に女性だと恥ずかしいでしょうね。

ですのでシムス体位でやることがほとんどです。(私はですけど)

女性のときはタオルをかける、必ず看護婦さんの同席に気をつけます。

指が入るときにはいきなり入れず、必ず声をかけてから行います。

こういう気配りをしてくれる先生は親切ですね。





このときおしりに力を入れると逆に痛いので、ため息をつくように口から「は~っ」と息を吐きましょう。

おしりの力が抜けます。

指でおしりの奥、手前、出口のすぐ近くと何段階かに分けて全周に肛門を診察し、

腫瘍やポリープがないか、お尻のしまりはどうか、狭くないかなどを診察します。

ただ、おしりが狭窄していたり炎症を起こしているときなどは激痛が走ることもあります。



「診察だから、我慢して」

なんて言って、グリグリやられちゃいます。

患者にとってみればたまったもんではありません。

わたしが教わった先生は、そういう場合はけっして無理しませんでした。

もちろん、診察しないと詳細・正確な診断は無理です。

でも痛いなら痛い原因があるわけで、だいたい診察と問診で見当は付きます。

まずそれを抑えてから改めて診察するといったこともあります。



人間ドッグだとこれだけで終わる所もありますが、できれば肛門鏡までやってもらいましょう。

今度は肛門鏡をおしりから入れます。

肛門鏡にも筒型、二枚貝型等いろいろな形があり、使う先生の好みです。

お尻を広げて直視下に肛門内を観察します。

切れ痔とかいぼ痔ならばその場で診断もつきます。

診察時に出血していれば、肛門鏡検査で痔で出血しているか、

さらに奥から出血しているのかもだいたい分かります。



その時出血していない、さらに痔もある。でも、今朝出血しました。



こんな時にはたとえ痔があっても要注意です。

その日の朝に出血していれば、出血した所見がかならずあります。

それがないなら奥からの出血を疑った方がいいです。

出血する原因は、大腸癌のほかにポリープ、憩室出血、虚血性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病など

出血=癌ではありませんので、すぐ悲観的になることはないですよ。

まあ、癌の人もいますけど・・・だから、検査はやりましょうね。


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Last updated  2005.09.21 12:31:28
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