『頭ぐしゃぐしゃ』の彼方に・・・

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chang-wei

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September 2, 2004
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「ブラックジャックによろしく」という漫画が、今、精神科病棟編になっている。

精神科に舞台を移してから、連載がかなり続いていると思うのだけれど、なかなか関心深いものがありますね。自分が現在おかれている身とか、これから携わろうとすることにも関連性があり、共感できるものを感じます。
漫画(劇画)で見ると、かなりリアルに見えるのではないか、と思うので、まだご覧になってない方は読んでみるといいと思います。

この作品では、以前は治療行為そのものや医療の倫理などがテーマでしたが、精神科に舞台を移して以降、テーマの骨子になっているのは、精神障害者の治療よりも、社会復帰や差別とのたたかい、といったことだと思います。
病院で入院生活を送る精神障害者の多くは、自分自身はいずれ社会に復帰して、働き、普通の日常生活を送りたいと願っている。
けれど、それが実現するにはいくつかの阻害要因があるわけです。
その、最もわかりやすい要因のひとつが「差別」です。

またこの差別を生む要因というのは、日々目にしたり耳で聞いたりしている情報の占める割合が、非常に高いと思います。

だけど、部外者にとっては、これらの情報に関してはかなり大雑把に受け止められ、大きくひとくくりにされてしまう。いわく「精神障害者」「精神病患者」と。

先週の「ブラックジャック~」では、過去に精神障害での入院歴を持つ男が小学校に包丁をもって乗り込み、児童を無差別に刺し殺すという事件が起きる。
こういう事件が起きると、マスコミはこぞって「小学校での無差別殺人、犯人は精神障害者の疑いあり」などと書き連ねます。
さらにエスカレートすると「問われる管理責任、社会はこんな男を放置しておいてよいのか」などと、新聞の「社説」や週刊誌のコラムなどに書かれたりするかもしれない。
こうして、過激な事件であればあるほど生活者の頭には刻まれる。「精神障害者=怖い、放置しておけない」と。

それで、さっき云ったような「大雑把にとらえる人たち」は、口々に云うのです。
「おい、アイツにあんまり近寄らないほうがいいぞ。アブねえからよ」
「本来なら採用にしたいところなんだが、既往歴に『そううつ』とあるね。これは完治したのかい? もしそうでないのなら、ウチでは雇えないね、お客さんの前に出るわけだからね。ということで貴方の今回の採用は見送り」
これらは、ごくごく普通に起こりうる発想であり話だと思うのですが、云われるほうがこれを「差別」と受け止める可能性が非常に高いことでもあったりします。
無意識のうちに行われる差別と、人権侵害。人聞きの悪いコトバになりますけど、かなり普通に行われていることだとも思えてきますね。

「差別」かどうかは、云われたほうが判断すること。云うほうのコトバの根拠なんていうものは、薄っぺらいただの一般論だったりするのです。強いて根拠を挙げるとするならば、情報にもとづいた自己防衛意識とでもいいましょうか。

だから、大半のこういった会話などというのは、「加害者」側も「被害者」側も、感情論に終わってしまうことが多いのでしょう。

じゃあ、差別をなくせるのか? あるいはなくせばいいのか?
完全になくすことは、残念ながらおそらく不可能だと思います。
改善はできると思いますが、そんなに簡単にできることとも思えない。
それに、差別を完全になくしたほうがいいのかどうか、といえば、それはイコール「すべてを平等に」ということ。それを本人が望むかどうか、ということも考えると、安直に「差別をなくせばいい」という論理は、ていのいい理想論にすぎない。


もしかしたら、永遠になくならないかもしれない。
我が身を振り返って、それは実感できたことでもあります。
私の実の妹は、軽度ではありますが、知的障害を持っています。
だけど、それだけでも今まで彼女自身や、本人を取り巻く私たちの実家が受けた差別行為や差別感というのは、数え切れないほどある。
私たち家族も、無意識に本人に対して差別行為をしてしまっていることは、数多くあったと自覚しています。
「この子は障害を負っている」と判断すること自体が、もしかしたら差別なのかもしれません。

「ブラックジャック~」の中では、病名をつけて診断する医師、病院側にも差別の原因がある、と述べています。
「精神分裂病」は「統合失調症」と呼び方が変った。
今朝の朝日新聞の記事によれば、「痴呆症」の呼び方を変えようという方向で、厚生労働省が動いているらしい。
だけど、それが何だというのでしょう!? 呼び方が変っただけで、「アンタは異常だ」というレッテルになんら変りはないと思うのは私だけでしょうか??

私自身もうつ病の治療を、いま続けていますが、そのために失ったもの、大切に思っていた人、お金、仕事、時間、などなど、いろいろあります。全部書くことはしたくないのでしませんが、生活の中での差別感情というのも今までには少なからずありました。

「うつは心の風邪」という言葉を定着させようという動きが社会にはある。
「誰でもかかりうる病気なんだよ、だからかかったとしても絶望したり差別感を味わうことはないんだよ」という意味だと思いますが、この表現に対して納得できていない患者さんも多いんじゃないのかな?
幸い、私の場合は、ちょっと風邪にしては長くかかり過ぎではあるけれど(笑)、改善はしてきているし、気力もまあ人並み以下ではあるけれど持ち直してきてはいます。
けれどもっと長期にわたって苦しんでいる人は、数え切れないほどいる。きちんと理解もされずに。

そう、「きちんと理解する」ことというのは、少なくとも本人を大切に思う方に対して、して欲しいと切に願うことではあります。
きちんと理解することというのが、より広範に及ぶことになれば、精神障害の患者さん(=被差別者)が抱いてきた「イヤな感情」が、すべてとまでいかないまでも、改善されることにはつながるだろうと思います。

ただ、今現在で、精神障害だけではない、「差別にまつわる様々な事柄」をすべて、その身内がきちんと理解できているかというと、“No”というしかないのですね。
今日は精神障害に対しての差別、ということで書きましたが、別の機会に、それ以外の差別についての話も取り上げたいと思います。





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最終更新日  September 2, 2004 01:45:38 PM


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コメント新着

野鳥大好き @ Re:ちょいと試みに・・・(11/21) あのな…、解ったよん。
chang-wei @ Re[1]:やれやれ・・・(11/20) 野鳥大好きさん >やれやれ…でしたね。あ…
chang-wei @ Re[1]:やれやれ・・・(11/20) setattiさん >私のPCも時々おかしくなる…
野鳥大好き @ Re:やれやれ・・・(11/20) やれやれ…でしたね。あはは、赤ちゃんなん…
setatti @ Re:やれやれ・・・(11/20) 私のPCも時々おかしくなるから困ってるん…

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