『頭ぐしゃぐしゃ』の彼方に・・・

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chang-wei

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May 19, 2006
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カテゴリ: こころについて
月曜は休日だったので、ひねもすぐうたら過ごそうかと思っていたところ、朝、母親から電話がかかってきて、イタリア映画「家の鍵」を見に行くので一緒に来い、と呼ばれました。


どんな映画なのかぜんぜん知らなかったのだけれど、月曜日はとくにこれといった予定もなく、劇場で映画を見るのも久しぶりだったので、よい気分転換になると思い、ぶらりと出かけることにしたのです。
だいたい、親と映画を見に行くのなんて、小学生の頃「ガラスのうさぎ」(古いっ!)を見て以来じゃなかろうか。

この映画館は、昔よく通っていたところなのですが、「アカデミー賞」や「ベネチア」「カンヌ」などの受賞候補にノミネートされるような映画ではなく、たとえばアジア・アフリカ・東欧圏などの名画とか、福祉・人権問題・異文化や風俗の探訪などをテーマとした作品を中心に扱う映画館。
どんな映画なのか興味が高まりました。

見終わったあと、母がこれまですごしてきた歳月の経験を、私にも伝えたかったのだろうと感じました。
物語は、脳性麻痺を患う少年をリハビリのためドイツのベルリンへ連れて行く若い父親との、二人旅の旅路のお話です。
しかもこの父親は、少年を産んだ妻の死にショックを受けて家出をしてしまい、長らく逃亡の挙句別の家庭を持っている。


それまでの少年の育ての親は、彼を産んだときに死んでしまった母親の兄夫婦なのですが、このリハビリに漕ぎ着けるまでにいろいろと苦難があったらしく、医師から「実の父親に遭わせれば奇跡が起きるかもしれない」と云われ、この父親に白羽の矢が立ったのだというのです。

いざ遭ってしゃべってみると、彼はどうも心身に障害があるらしい。
それでも屈託なくなついてくる息子に対して、この父親は、まずは懸命にコミュニケーションをとろうとする。
次に、親としてのこれまでの無責任な行動の穴埋めをしようとする。

私のきょうだいに、ごく軽度の心身障害(診断名は知らないし、私たち一家はこれを障害とは思いません)を持つ子がいるのですが、この子を育てる経過で、両親が一方ならぬ苦労をしてきたのを垣間見ていました。
にも関わらず、私はそれを見てみぬふりをして揶揄したり、結果的に母を苦しめるような言動を繰り返してきたように思います。
なんとなくそんな記憶が頭をよぎり、自省の念に少々かられました。

映画に話をもどしますが、イタリア人の彼ら親子にとって、ベルリンの地は言葉をはじめ、なかなか馴染めないことが多く、ただでさえ慣れない介護生活に加えたとまどいと我慢の連続に、次第にこの父親は疲れてくる。
そんな中、同じ病院に娘を入院させている中年フランス人女性とのふれあいが、ピア・カウンセリングのような形で彼の心を癒してくれる。

彼女は共感的な態度で、「自分の子どもの介護を煩わしく感じることに対して自己嫌悪に陥る必要はない」と話し、さらに「あなたの息子さんはまだ幸せなほうだ」と云って、若い父親を少しずつ勇気づけてくれる。
けれど、最も彼を勇気づけたのは、脳性麻痺および心身障害をもつ息子自身だったのです。


はじめは不安と煩わしさから憂鬱な気持ちで接していたこの若い父親は、やがて少年と一緒に暮らすことを決意し、少年にそれを告白します。
そういう気持ちにさせたのは、少年の、優れた思いやり・気配りの力と純粋な心がもたらしたのだと思いました。

行動や発言がいつも突拍子なく、すぐに駄々をこねたり目を離すとどこかにいなくなったりするのだけれど、疲れ果てた父を見て、「どうしたの? 愛情に餓えているの?」などといって抱きしめたり、落ち込んで泣いている父を「がんばれよー僕がついてるからさ」と励ましたりする。
ちゃんとパートナーを気遣う心を、彼は普通の人以上に持っているのです。ただ表現が拙いだけ。

なんとなく、私の母と例のきょうだいとのやりとりの中で、よく似た光景を何回か目にしたことがあったのを思い出して、笑いがこみ上げると同時に、少し涙腺が緩みかけました。


「一緒に生きてくれてありがとう」という言葉の真意を、ほんの少しだけ実感したような気がしました。
などと云ってるヒマがあれば、そういう家族を作らねば、いい加減ぼちぼちそういう目標も立てねばならぬ年齢なのですが、他人のことはさておき(^^;)。





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最終更新日  May 19, 2006 06:46:14 PM
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野鳥大好き @ Re:ちょいと試みに・・・(11/21) あのな…、解ったよん。
chang-wei @ Re[1]:やれやれ・・・(11/20) 野鳥大好きさん >やれやれ…でしたね。あ…
chang-wei @ Re[1]:やれやれ・・・(11/20) setattiさん >私のPCも時々おかしくなる…
野鳥大好き @ Re:やれやれ・・・(11/20) やれやれ…でしたね。あはは、赤ちゃんなん…
setatti @ Re:やれやれ・・・(11/20) 私のPCも時々おかしくなるから困ってるん…

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