はにわきみこの「解毒生活」

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2005.01.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 開いた口がふさがならなかった。


 ああ、そういうこと。1ヶ月も会わなかったわけは、これだったんだ。カギを渡すほど親しい仲の女。なんて答えよう。兄はもうすぐ帰ります、って妹のふりをしてこの場を納める? それとも、出て行って!って叫ぶ? そしたらもうすぐ帰ってくる祥二と三すくみの修羅場が始まる。今日の私には、とてもそんな元気はない。

 意外すぎるプロポーズに、申し開きのできない浮気の現場。
 私は、何も言えずに身体をひるがえして、階段を降りた。もう家に帰りたい。

 階段を駆け下りながら、頬にイヤな熱っぽさが上ってくるのがわかった。頭は
血が全部集まってしまったようにズキンズキンと脈打っている。どうやって電車
に乗って降り、車までたどり着いたのか覚えていない。かろうじてバッグからキ
ーを取り出し運転する力を振り絞る。どうせ走れば10分の距離だ。事故を起こす


 家の庭につくったガレージにバックで車をいれ、懐かしき我が家のドアを開け
る。
 と、ここでもまた非日常的な空間が繰り広げられていた。
 夜の11時を回っているというのに、客間からにぎやかな人声がする。
 車の音を聞きつけて、姉が玄関で出迎えてくれた。

「亜南! お帰り! ずっと待ってたのよ」
 東華は私の顔を見ると妙な表情を浮かべた。
「お姉ちゃんが来るって知ってたら、早く帰ってきたのに」

 もし、末吉との食事をを断っていたら、今夜こんな事件にあうことはなかった
のに。思わず、ため息が出る。

「突然だけどいいニュースは早いほうがいいからね」

 私はバッグを玄関にぽんと投げ出し、パンプスを脱いだ。
「えへへ。ついに妊娠したのだ~。結婚6年目の快挙よ」
 28で結婚した東華は今34。不妊治療も視野にいれなきゃダメかなあと言っていた矢先のことだった。
「それはそれは。よかった。おめでとう」

 姉はバラ色、私はブルー。同じ親から生まれたはずなのに、どこで道は違って

 部屋で着替えてこようと階段に手を掛けると、後ろから東華の声が飛んできた。

「ねえ亜南、今日あんた何かあったの?」
「どうして?」

 振り返ると無理して笑ってみせる。

「鏡みてみな。あんた、顔から首から、足の先まで、真っ赤な斑点が出てるよ。
そんなにじんましんが出るなんて、カニでも食べたの? それとも…」

 階段を駆け上がり、ドアを開けて姿見の前に立った。
 顔にも足にも、じんましん。服を脱いでみると、体中まんべんなく、不吉な水玉模様が浮き出していた。

 昔からそうなのだ。激しいショックや怒りを感じると、身体にじんましんが出
る。やがてそれはじくじくと膿をもって赤黒く腫れ上がってくるのだ。
 自分で思った以上に、今日はしんどい一日だったということか。

 しかも今日はまだ木曜日。明日も会社に行かなくてはならない。
 鏡の中の私は、今にも泣き出しそうな顔をしていた。





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最終更新日  2005.01.21 09:15:25


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