はにわきみこの「解毒生活」

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2005.01.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 龍一は、私より一つ年上の父方のいとこだ。

 高校を出るまでずっと。

 だけど、龍一はもう、あっちがわの人間だ。私よりも奈々をかばうことを選んだのだ。あのころは親友だったのに、今となっては他人よりも遠い。

 奈々の行動によって、私はいたく傷つけられたのだ。先に意地悪をしたのはあの子のほうだ。結果的に、奈々のほうが悲惨な立場になったから、私は自分の怒りが正当であると認めてもらえなくなってしまった。

東華も龍一も、「より可哀想な立場の奈々」をかばうことにして、私を悪者にした。もはや二人とも私の味方ではないのだ。

「龍ちゃんか。龍ちゃんともずいぶん会ってないね」
 思わずクールな口のきき方になる。

「あんなに龍ちゃんのこと慕ってたくせに、薄情なものよね。


「龍ちゃんて、占い師になったんでしょ? どうしてそういう人が海外にいるわ
け?」

「あんたねー、どんな人でも、一週間に5日間、会社に通わなきゃならないわけ
じゃないのよ。どんなペースで仕事をしたっていいじゃない。龍ちゃんは今売れ
っ子なの。インターネットで探してごらんなさいよ。すんごい人気で予約待ちが
長いんだから。
 人にはね、働くときには働く、遊ぶときには遊ぶっていう生き方が選べるの」

「で、どこで遊んでるの?」

「南半球でサーフィン旅行の真っ最中。あっちは今、夏だもんね。場所はどこだ
っけ。そうそう、これが届いてたわよ、あんたあて」
 東華は、電話の横からひらりと1枚の絵はがきを取り出した。


 ビーチにテントをはってサーフィン三昧。
 人生は喜びに満ちている!

 文面は短い。
 くるりと返すと、太陽の下、白砂のビーチに波が寄せている写真だった。その縁にSCOTTSHEAD、というアルファベットが踊っている。スコッツヘッド、これが土地の名前なのか。住所は書いていない。宿を取っていないのだから、連絡先もなにもあったもんじゃないけれど。

「ここ何年も連絡なんかなかったのに。どういうつもりなのかしら」


「もう10年も会ってないのに、私の暮らしぶりがわかるわけないじゃない」

「いんや、そんなことはないね。私と龍ちゃんの会話に、あんたのことが出ないことはないんだから」

 早い話が、私はスパイされてるってことか。それとも二人の会話に欠かせない道化役? どっちにしてもおもしろくない。私は、毎日を堅実に生きている。人の口に上るほどおもしろい体験をしているわけじゃない。私は酒の肴になるほどゆかいな人物じゃないのだ。





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最終更新日  2005.01.24 09:18:58


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