休みを返上して加工・染め・加工・染めを繰り返してきた絞り染めTシャツ。まだ紳士物が残ってはいるものの、どうにか目途が付きそうだ。
全てが一品制作のため、同じ色・柄のものは一つもない。その分とてつもなく時間がかかる。深みと高級感を出すために最低で二回、多くて三・四回染めを重ねる。
染色のだいご味は、自分の思い描いている色を自由自在に染め分けることにある。絶妙な色が思った通りに出、期待通りに染め上がった時はちょっとした快感だ。
色を染めるにあたって、同系色を重ね染めする場合の感覚は「ヴェーバー・フェヒナーの法則」が当てはまる。
この法則は、感覚に関する精神物理学の基本法則で、中等度の刺激について五感のすべてに当てはまるというもの。刺激の、気づくことができる最小の刺激差は、基準となる基礎刺激の強度に「比例」するという。
例えば、100の刺激が110になったときはじめて「増加した」と気付くならば、200の刺激を増加したと気付かせるためには220にする必要がある(210では気付かない)、というもの。
中濃度の同系色で重ね染めする場合、元の色にハッキリ差をつけようと思えば、濃度が上がるに従い倍倍で濃度を上げてやらないとその差を出す事が出来ないのだ。
目隠しをして5グラムのものを持っているとき、ほんの1グラムでも足されるとすぐに重くなったことがわかるが、1キロのものを持っているとき1グラムを足されても、ほとんど気付かない。
料理の味付けで考えると、カレーの辛さが1倍から2倍になったときと、2倍から4倍になったときの差はほぼ等しいという。
この法則は、お金を稼ごうとするとき、稼げば稼ぐほど一層稼がないと満足できなくなってしまう心理にも当てはまるのだという。
また、新人の芸能人がデビュー早々ブームになり、マスメディアに一定以上露出してしまうと、その後どんなに露出が増えてもなかなか人気が広がっていかないことなども説明できるのだそうだ。
これらのことは、カラーコーディネーション、洋服や製品のデザインなど、さまざまな場面でも応用できるという。
刺激は、ちょっとぐらいのものでは満足できず、かなり大きな刺激を必要とするようになっていく。
「人間はどんどん刺激の強いものが好きになる」ということ。これを逆に応用する事も出来る。
かなりの刺激(苦痛)を体験した後では、そこそこには刺激(苦痛)を感じなくなる。メンタルでもフィジカルでもそれは同じだ。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題してスタートすることにしました。
2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
★ 「ジグソーパズル」 自作短歌百選(2006年5月~2009年2月)
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