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「私も、天災にしろ事故にしろ、ほとんど無防備の生活をしている。子供が居ないせいもあるけれど、蓄えも作ろうとしない。無考えであり怠惰であるけれど、どうもそれだけではないらしい。災害というものに対してなんとなくあっけらかんとした気構えがある。もちろん一言でわりきるわけにはいかないし、平常からそんな言葉を用意しているわけではないのだけれど、いざ悪い目をひいてしまったとき、内心のどこかで、(……ばれてもともとさ!)と思いそうな気がする。」無頼であるということはどういうことなのか?自由に生きたいなどと簡単に言うけれど、或いは、自由であれと知識人は言うけれど、自分のしたいように生きるということと自分がこのようにしかできないということは、コインの裏表だ。自在に生きると言ってみたって、面倒で、どうしようもない自身の気質やら能力やらと付き合いながらのことだ。「ばれてもともと」とは数々の鉄火場で鎬を削ってきた者が、最後の、クリティカルな一点で、自身を掬いとるような、そんな言葉だ。「I'll be none the worse than before」とは、常に己をどん尻に据える覚悟が吐かせる言葉であり、また同時に、その言葉は、聞く者、読む者の心をたしかに打つ。そういう力を持っている。good for nothing で居続けることはしんどいことだ。糞意地もあるだろうし、やせ我慢もあるだろう。だが、その潔さは、どこまでも清々しい。こうして、俺たちは、それでも、もそもそと生きていくのだ。 A【送料無料】いずれ我が身も
2011.03.05
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その暮らしぶりはさすがに洗練されているが、写真よりも文章にたっぷりと間があって落ち着いた気分で、意識的に美しく暮らすということの意志とは如何なるものであるのかを思索させてくれる。知的生活の方法などという慌ただしい企画が多いが、本書のようなしっとりとした気分にさせてくれないのはどうしたことか。つまりは、欲張りであるからか。C【送料無料】玩物草子
2011.03.04
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ポストモダニズムと専門主義の両者にインテグレーションへの志向がないという指摘、また、両者の無意識の(或いは隠微な)イデオロギー性についての指摘は、さすがに保守主義者の面目である。さらに、現在の「多様な?」学問領域に最も影響を与えていると言っていいフーコーの構造主義の陥穽とポスト構造主義の行き詰まりに関しても数ページでさっとまとめられている点はさすがの力量。リベラリズム批判も的を得ている。教養の内実を問うとなると、そこで語られている筆者の「体験」の綾の無さが気になる。「少年時代の夕暮れの情景、ぽつぽつと点く明かりと夕食の支度の匂い、こうしたものが無意識に感受性の土壌を調えてゆくのです。それがあって初めて「教養」というものが意味を持ってでてきます」。社会科学から出た保守主義は、ようやくにここまで書けるようになった。本当にやっと、である。それでも本著に、本当に魂の太り、志を高めていくような「学問の力」の在り様が書かれているとは思えない。それはそのまま近代日本の保守主義なるものが志を持ち得るのか、という問いと重なるのだ。C【送料無料】学問の力
2011.03.03
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相変わらずこの著者の書くものは文学を扱っていても文学になっていない。と、いうようなことを書けば最も苛立つという資質の持ち主。権威主義批判はあらゆる事象に権威を発見することに於いて最も卑小な権威主義に堕ちていることがある。ともかくも、この著者の「よく調べている」ということから来る事後の鳥瞰者であることの傲岸さは辟易する。テクスト論なるもののしょうもなさをきちんと捉えているところだけが、信用できる。E【送料無料】現代文学論争
2011.03.02

小泉の北朝鮮との交渉時によくTVで見かけた外交官、大変人気があるらしい。「シュッとしている」からだ。それは前原議員も同じこと。本書の優等生的な回想記を、本当に冷静になって読み進めれば、「外交交渉」という名目で徐々に国が売られていく様が如実に分かる。この人が悠々と語っているのは紛れもなくそういう光景であり、救いがたいのは、本人が自身でそこそこの外交的仕事をしてきたと思っているというその一点に尽きる。外務省(そして文部省)とはそんなもんだと分かっていても、これは恐ろしいことだ。オフェンス力を謳っているが、著者の主張はどこまでも「~しないと生き残れない」という近代150年、延々と続いてきた情勢論でしかない。勿論、官僚に本質論を期待しても詮無いことだが、それでもこの程度の志で現代日本では通用するのかと思えば情けなりもする。ともかく美辞麗句に見え隠れするのは、恐ろしく能天気な小人の危機意識である。きついかもしれないが、ここだけは厳しくあらねばならない点ではなかったか。F
2011.03.01
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