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プロフィール

hihitos

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2010.06.08
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カテゴリ: お話
リザド…沼地の少女。美しい鱗を持つ。ある日、森の目と遭遇し運命が一変する。
森の目…じっと動かず見つめ、さらった。飢えていたのかも知れない。
森の眼
リザドは入り組んだ沼の中の日当たりのいいところにいた。
 一日の大半を泥の中で過ごしたが、時々こうして日の光を浴びに深い森の底に、あまり届かない光のあるところを見つけて仰向けになり、下から森を眺める。それは変だと仲間には言われるが、自分の滑らかなお腹が日に照らされて輝いて、その周りの沼地の灰色と、黒の中に緑がまだら模様に浮かぶ光景が、とても心地よくて満たされた。

 自分の体が綺麗なのはよく知っていた。六月にはたくさんの雄が群がり泥と共に、ぬめらかに戯れ一体化して、誰が誰に欲情しているかわからなくなる中で果てるもの、為し遂げたものもいる中、私だけが最後の最後にするっと抜け出すのが好きだった。
 間違った美しくない子供を産むのに、何ヶ月もかけるとしたら、どれだけ、ばかげた話だろうといつもクスクスと笑った。

 こうして仰向けになると森の光景が視界いっぱいになり、地面の端から端が見えた。その地面から伸びきった木々の先の広がった笊の底が、ぶら下がっている奇妙な世界だと、その光景に浸れた。
 深い森の黒い輪郭とその縁の淡く輝く緑色が複雑に絡み合った模様を美しいと感じる自分が誇らしかった。黒の縁の緑に光る部分を目で追いなぞり、緑の中に濃淡の変化を感じ、くるくるっと踊った気分の中、なんでもないどこにも在る目を見つけたが、さっと通り越してしまう。見失う。目は先へ先へと急ぎ、気づいても通り過ぎた。

 不安な気持ちがわき、私の眼が先ほどの何者かの眼を探し始めた。そこに在ったと思う所に見つけ、すぐに視線を腹へとずらした。


 何の眼だろう?動物の眼とは違う賢い意思を感じて、エルフは森に馴染むのが上手いしゴブリンは森の黒いところを上手く利用するしと考え出す。
 リザドは今までにも何度か、そういう眼を見つけて、仲間から驚かれた。だから自分は他のものと違い、観察する側にいるんだと思っていた。

 長く時間が経ったが、いつまでも眼は、ここを支配した。その眼は思ったよりずっと遠くにあると思った。もし、そこにあるなら、ずいぶん大きな眼だと思い、それは在り得ないものだと思い付く。木の杢が、光の加減で眼として見えるのかも知れないと思い、思い切って直視した。

 どれだけ目を凝らしても目は目だ。在り得ない大きな目だった。エルフでもゴブリンでもなく、しかし確かに存在するとても大きな眼だ。もはや目を逸らすことも無く、その眼を中心にその持ち主を探したが、中々見つけられず、自分の目が変なんだと思い、そう言い聞かせた。
 自分の目が自分に見せただけの目と思い始めた時、風景がゆらりと歪み、ますます自分の眼が信じれなくなった。
 同時に、はっきりと何かの形に見えた。記憶を辿るが、確かなものは無く、ただおぼろげにその者の形と認識した。竜の形だ。
 緑の竜の鱗は森の模様をしていた。空に浮かんだ影でしかなかった竜が今、目の前にいて、驚くほど森に溶け込んで見えたのだ。森にいる竜。それは誰も知らないことだった。でも、どうして誰も知らなかったのだろう?とても自然にそこにいるし、自然に、その中で揺らめいている。

 大きな目がますます大きくなった気がして、たまらなく怖くなり、泥に潜る。
「くぷぅ」
 ぬめり気に空気の混ざった音を出した。焦ったからか、普段立てない音が耳元に聞こえ、あとは静観し、伺った。他に術はなく、ただ、じっと馴染んだ泥に包まれながら考えた。今日の泥はいつもとなにか違う。そんな風に先の方で感じめた。





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最終更新日  2010.06.09 00:31:37
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