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二人の兄弟が路を歩いてゐた。仲のよい兄弟であつた。 途中で二人は、袋を一つ拾つた。中を見たら誰が落としたものやら、目も眩いばかりの黄金の玉が二つ入つていた。 兄弟はその黄金を一つづつ分けた。夢のやうな倖に胸躍らせながら、二人はまた路を歩いた。 しばらく行くと橋にさしかかつた。その橋の上で、ふと弟は足を止めたが、なにを思つたか、持つてゐた黄金の玉をいきなり河へ投げ込んだ。驚いて兄が訳をたづねた。すると弟は言つた。 「常日頃、私は兄さんを敬つてをりました。ところがいま黄金を拾つてみると急に兄さんが嫉ましくてなりません。兄さんさへゐなかつたなら、あの玉が二つとも自分のものになれたのにと、さう思はれるのです。生れてはじめて兄さんを邪魔にする気持になりました。それといふのも、みなあの黄金の玉のせゐです。だから棄ててしまひました。もう二度とあんなものを欲しいとは思ひません」 それを聞くと兄は涙を浮べて言つた。 「もつともだ。実をいへば兄さんも、ちやうど同じやうなことを考へてゐたところだ。なまじ黄金なんぞを拾つたばかりに、すんでのこと吾々兄弟は、もつと大切な宝を失くすところだつた。ああ危い、危い」 さういふと兄も、自分の玉を懐から出して、同じく河へはふり込んだ。顔見合わせて晴々と笑ひながら、二人はまた愉しさうに路を歩きつづけた。--- “The Lord of the Rings”本年も宜しくお願いします^^;
January 8, 2009
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---新羅から高麗へ時代は移っても、「文」が高く、「武」が低いといふ、この考へ方は変らなかった。--- 武臣たちはいくら偉くても、文臣の下風に立たねばならない---。これが上下を通じての、当然な考へ方になつてゐた。--- この実力があるにも拘はらず、武臣はいつも文臣の下にあつて、お粗末にあしらはれねばならなかつた。毅宋王に仕へる文臣たちは、わけても智慧が足りず、徒に権勢に驕っては武臣を馬鹿にした。 宴会だ、舟遊びだと、のべつに騒ぎまはる間にも、王の側にあつて詩を賦したり、盃をお受けしたりして寵愛されるのは文臣ばかり---。 武臣はまるで居候のやうに遠慮をしながら、時には喉を潤ほす一杯の酒にもありつけぬことがあつた。 それも、三年や五年のことなら我慢もするが、十年となり、二十年となつては、どのみち無事にをさまるものではない。 武臣たちは、ぶすぶす燻る胸の不平を押へて、いつかは一度と、折を窺つてゐた。 毅宋王の二十四年、王が興王寺といふ寺へ行幸したとき、つひにその機会は到来した。---鄭仲夫の武臣乱へ
January 3, 2009
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