『とんとこひ・セクスアリテ』

August 26, 2005
XML


フリードル先生とテレジンの子どもたち
フリードル・ディッカー・ブランデイズ先生(1898~1944)は、ウィーン生まれのユダヤ人画家です。・・・本展では・・・まさしく、教師の原点を思わせる資料が展示されています。
是非、この機会に『平和』と『希望』の大切さを考えるひと時を持たれてはどうですか?
(東京富士美術館のHPより)


テレジン
・・・ユダヤ人をアウシュヴィッツへ移送する中継地で、「地獄の控え室」と呼ばれていた。ここには14万4000人のユダヤ人が収容され、そのなかには1万5000人もの子どもたちがいた。3万3000人が飢えと病気でこの町で死亡した。さらに8万8000人がアウシュヴィッツのガス室へ送られた。


ホロコースト(1933~1945)
・・・第二次世界大戦中、ヒトラー率いるナチスは、人間を差別し虐げることを合法化し、ヨーロッパ各地に強制収容所をつくって、ユダヤの人々、同性愛者や「障害」者、ロマなどを閉じこめた。そして最後に、容赦なき冷酷さをもって600万の人々を虐殺した。
プラハ(チェコ)近郊のテレジンという街にも強制収容所がつくられた。


『テレジン収容所の小さな画家たち詩人たち』より抜粋


第一次世界大戦後のドイツは、敗戦による屈辱感、経済危機、インフレにくわえて物資不足で、国民の生活は困窮し、不満や怒り、将来への不安がいっぱいでした。・・・当時ヨーロッパには1000万人以上のユダヤ人が住んでいましたが、それぞれの国に根を下ろして暮らす人々の中には、政治、文化、経済など各方面で力を持つ人も多くいたのです。・・・



 賤視は身分の上下の中で起こる現象ではなく、それとは次元を異にする問題なのです。賤視というばあい、私は畏怖の感情が根底にあると考えています。ただ軽んずる心だけではなく、恐れという感情が屈折して賤視に転化してゆくのだと思うのです。・・・教師はときどき、自分よりはるかに潜在的能力のある生徒に出会うことがあります。そのようなとき、その生徒の能力を生かし、伸ばそうとするのが教師の務めですが、・・・ときには教師はその生徒に恐れをいだき、自分が他の生徒の前でばかにされるのではないかと感じます。そのようなとき教師はその生徒を恐れながら、おさえこもうとします。・・・率先して生徒のイジメをすることがあるのです。およそこのような心的状態を想像していただければよいかと思います。

※『自分のなかに歴史をよむ』(阿部 謹也)から抜粋



ラーヤ・エングランデロヴァー(1929年生まれ)
・・・「お前は畑仕事のリーダーだからダメだ」という兵士に、彼女は何度も何度も頼みました。「そんなに行きたきゃ勝手にしろ」といわれ、翌朝、ラーヤは貨物列車の発車場へ走って行きました。「お母さん、お母さん」長くつながった列車に沿って走り、必死で呼びかける彼女に、ようやく母親の返事がありました。いっぱいに詰め込まれた人々のなかから、母親が手をのばしてくれたのです。その手をつかんで列車に乗り込もうとしたとき、監視のドイツ兵がやってきました。「何をしているんだ、下りろ!お前はまだ順番が来ていないはずだ」引きずり下ろそうと腕を引っ張るドイツ兵・・・ラーヤは線路際に転がり落ちてしまいました。その間に、厚い木の扉が閉められ、鍵がかけられ、貨物列車は動き出してしまったのです。それが、テレジンからアウシュビッツへ行く最後の移送でした。そして、それっきりラーヤは母親と会うことがなかったのです。



フリードル・ディッカー先生
「このままじゃいけない!たとえ短い限られた時間でも、子どもたちに、生きているって素晴らしいのだと教えよう、希望を捨ててはいけないと語りかけよう、子どもらしい笑顔を取り戻させよう・・・」
 フリードルは、アート・セラピーの専門家として絵を通じて子どもたちの抑圧された精神状態や不安な感情などからくる内面の問題をよみとり、それに適切な語りかけを繰り返しました。そして同時に”バウハウス”(当時ドイツに誕生したばかりの前衛芸術運動の拠点)の教育をもとにした独特の指導法で子どもたちの個性を引き出し、その才能と感覚をも開発したのです。
 フリードルは、子どもたちに貼り絵や切り絵、コラージュなどを教え、自由な発想で作品を作らせました。収容所への呼び出し状を受け取った夜、彼女は家にあった紙や布をあつめ、それを絵の具で様々な色に染めました。どんなところへ連れて行かれても、そこで、自分の力を生かせる機会があるはず・・・子どもたちがいれば、きっと私になにかができるはず・・・と信じて。




 もう紙がないの・・・それを知った大人たちは命がけで紙集めを始めました。ドイツ兵の捨てた書類の紙、ごみ箱から拾った皺くちゃの袋、箱のふた・・・。子どもたちは絵も好きですが工作も大好きでした。・・・それを知っている先生は何とかしていろいろの材料を集めようとしましたがなかなか手に入りません。それを聞いた大人たちは、自分の着ているセーターの襟や袖口をほどいて少しずつ毛糸を差し出してくれたのです。・・・




「今日はとってもつらいけど、でも、明日、戦争が終わるかもしれないのよ。希望を捨ててはいけないわ。さぁ、目をつぶって、楽しかった日のことを思い出してごらんなさい・・・お父さんとお母さんと一緒に遊園地に行ったわね・・・メリーゴーランドに乗ったでしょ・・・そう、あなたはサーカスを見に行ったの?・・・また、きっと行けるわ、学校へも、公園へも、プールにも・・・。楽しかったことを思い出して描いてみましょうよ」

子どもたちは何でも絵に描きました。
大好きだった遊園地、家族で遊びに行った湖畔の森、楽しかった学校・・・大嫌いな収容所の部屋、つらい労働の場面、首を吊られる人・・・
子どもたちの絵の中には、花と蝶を描いたものがたくさんあります。きれいな花の咲く野原、平和に暮らしていたころみんなで行った花の丘・・・そこは、美しい世界、自由な世界の象徴です。あそこへ行きたい!・・・蝶々になれたらこの高い塀を越え、有刺鉄線を越えてあそこへ飛んで行けるのに!子どもたちは蝶々に夢を託していました。




 子どもたちは楽しかったことをつぎつぎと思い出しました。夜、ベッドの中で、お母さんが読んでくれた童話、話してくれた昔話・・・

 子どもたちは、家の絵をたくさん描きました。大好きだった家、家族みんなそろって楽しくくらしていた家・・・どの家にも一本の道がつづいています。あの道を通って行けば家に帰れる、扉を開けば、みんなが待っている・・・家は幸せの象徴でした。

 ”天国”とクリスマスの絵。この子たちが夢見た天国もクリスマスも、どちらも食べ物でいっぱいです。天国になら、どんな木の枝にもたくさんの果物がなっているだろう、そんな光景を夢見た子も、平和に暮らしていたころ、楽しく過ごしたクリスマスの思い出を描こうとした子も、一生懸命に描いてしまったのは、大好きだった食べ物いっぱいの絵でした。食べ物がたくさんあって、好きなように食べられる・・・それが、子どもたちにとっては、幸せな生活のひとつの象徴に思えたのかもしれません。




 フリードルは花が大好きでした。平和な時代に彼女の描いた作品には花の絵がおおくありました。収容所のなかには花はありません。収容所の管理をするナチス幹部たちは、自分の家のまわりには庭をつくり花を育てていましたが、子どもたちの生活する部分には雑草の花すらなかったのです。雑草が小さな芽を出すと、それを見つけた人が摘み取って食べてしまうのです。
 フリードルは、深夜こっそりと監視の目を逃れて、美しい花の絵を描きました。子どもたちに、花を見せたかったのです。世の中には、たくさんの美しいものがあるのだと教えたかったのです。
「これがバラ、おうちの垣根に咲いていたことでしょ?目をつぶって、あの香を思い出してみよう・・・」
 目を閉じていると、バラでいっぱいの庭にいるような気持ちになれました。そして、たくさんの子どもたちが、美しい花の絵を描きました。

 だいじにだいじにしまっておいたハンカチで人形をつくって、年下の子の誕生日にプレゼントしたり、ドイツ兵の連れてる大きな犬をこわがる子に、プラハの家で飼っていた可愛いおとなしい犬の絵を描いてあげたり・・・

 いちばん年下だったエリカは、フリードル先生の誕生日に、・・・絵の具もクレヨンもなくなっていました。シミのある紙に、大きくハートを描いて、そこに花を描き”大好きなブランデイズ先生へ”と描いたカード・・・

 フリードルは、一九四四年一〇月一六日、エリカを含む三〇人の子どもたちとともにアウシュビッツへ送られました。その日の移送者のなかに、生き残った子は一人もいません。



言語同断な「ナチス」を鳥の目、虫の目で見ようとし 阿部謹也 という人の全集を借りて「刑吏の社会史」から読み始めるがアウシュビッツを勉強し始めたばかりのワタシには超難解。自分が読みやすかった詩画集『テレジン収容所の小さな画家たち詩人たち』からこの問題の出口を見つけていこうと思った。

「鳥の目」
現代というわたしたちの生きている社会から過去の時代を見るということ
(現代のものさしを手に過去を判断し、評価している)
「虫の目」
いったん現代のものさしを離れて、その時代の人々はどう考えていたのか、その時代の人々のものさしは何だったのかと考えてみること
   (石瀧豊美氏)







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  October 27, 2005 12:35:19 AM
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

himeda

himeda


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: