『とんとこひ・セクスアリテ』

December 9, 2005
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『別冊東北学 Vol.5 特集・壁を超える』 の対談集“ 「東北学」から「部落学」へ ”の中で、先日なんと、中世~近世賤民と天皇の問題について、言及されている箇所を発見。



それらをまとめてみると


賤民(被差別民、部落民)と天皇(という権力)がどう関わるかの問題の最も根幹には、
宗教的な意味合いがある。

でもそのことを、
歴史学者、民俗学者、社会学者、宗教学者、哲学者は触れないできた。

戦前は、それぞれの学問を守るために(天皇制ナショナリズムで言論の自由が奪われないために)
この問題に関わる研究を封印した。

戦後も、この問題を扱う学者が現れなかったのはなぜだろう。

その原因を作ったのは、部落解放運動側にもあるのかもしれないけれど
やはり、部落問題はある種のタブーみたいなところがあったからだと思われる。

だから、これからは
歴史学、民俗学、社会学、宗教学、哲学のさまざまな知見を統合して
部落問題を考えていく必要が まだまだおおいにある。

賤民(被差別民、部落民)と天皇(という権力)がどう関わるかの問題も、しかり。


という感じかな。

“宗教的な意味合い”のなかみについては、『金枝篇』から少しご紹介されていました。

(P53)
赤坂「・・・『金枝篇』が天皇という権力の根源に横たわる秘密を明らかにしているからだと思います。・・・例えばヒジリをどう捉えるか。ヒジリはもともとは日を知るシャーマンですが、日は火にも通じており、いつのころからか聖となり、さらに非事吏へと零落していくんですよ。・・・」

辻本「・・・『金枝篇』には南洋諸島の王権に関するいろいろな事実が出てきます。国王が土に触れると穢れてしまうから肩にかついで運ぶとか。あるいは雨が降らないときに国王が祈りを捧げてだめなら殺してしまうとか。日本にもありますよ。日照りが続いて村々のシャーマンが川の神にお祈りをしたけれどだめで、今度は仏教の僧侶がやったけどだめで、さいごに天皇がやってきて雨乞いをしたら雨が降った。・・・」



書かれている内容を理解するという点では、ワタシは隆慶一郎氏の『風と火の帝』という歴史小説を読んでいたので、とっつきやすかったかも(?)。
で、以下に少しご紹介したのです。



「『禁裏に忍びを・・・』・・・
『恐れ多いことやないか。忍びのしてはならんことや』
真正の忍びにはこの思いがある。山野河海、奥山に至るまで本来は天皇のものだと云う古代の観念が今も息づいているのだ。・・・

隆慶一郎氏『風と火の帝』より 



「どうして帝は偉いんだ?」
「なんやて?!」
「どうしてそれほど帝はお偉いのだと訊いておる」・・・
「阿呆なこと云わんといて下さい」・・・
「そんなんきまってるやおまへんか」
「だからなんでだ?」
「帝だからやおまへんか」・・・
「つまり、血ということかね」・・・
・・・
「どこが違うんだ。第一、家柄なんてものは遥か昔から何の意味もなくなってるじゃないか。力のある者が勝つ。そういう時代になってるじゃないか」
「そやから・・・」・・・
「その力がありまんのや、帝には」
「信じられんな」・・・
・・・
「武力だけが力云うもんでっしゃろか」・・・
「武力でない力か」・・・
・・・
「それは、あれか、呪力と云うようなものか」・・・
「判りまへん」
岩介はかわした。『呪力』と云う言葉に兵左衛門が何を感じているかが分明でない。それに一介のか輿丁(かよちょう)に云えることでもなかった。

隆慶一郎氏『風と火の帝』より 



鋳物師(いもじ)

『鋳物師(いもじ)』の画像

「忠輝はお茶阿の方の子である。そしてお茶阿の方は元々が鋳物師の娘だった。鋳物師は大陸からの帰化人だったが、鉱山を求めて流浪する『道々の者』だった。彼等にとって天皇こそ唯一の主だった。彼等が全国の関所を自由に通れるのはそのためだった。傀儡子一族も同様に天皇しか主と認めていない。忠輝はこの両者からの影響を幼時から深く受けていた。」

隆慶一郎氏『捨て童子松平忠輝』より 









ついでに、部落問題関連資料も見ていってくださいね。


“貴族あれば賎族あり”

☆、「貴族あれば賎族あり」松本治一郎語録

1920(33歳)「お宅ではネコが田植えばするとか」「するわけはないが・・・」「ネコと我々と、どっちが働きがあるとか。ここの蔵が建ったのはネコのおかげか」「そりゃあ、そんなことは・・・」「ネコは虫やトカゲを食うもんじゃが、部落の人も食うとか?ええ、食うとか?」「いや・・・」「それでは聞こう。不浄のケモノを座敷にあげ、ゼンのそばに置き、人間さまを土間に置くのは、いったいどういう了見か?はっきりしてもらいたい」

1931(44歳)「数知れぬ同志の犠牲と、尊い屍の上に築かれた陣営を真に働く階級のものとたらしめるために、私は百の言葉よりも一つの行動を取りたいと思います。歴史が必然的に約束せる”佳き日”の社会へ!しかもそれは我々が自らの手によって建設しなければならぬ社会であります。ために私は最期の血の一滴まで闘い抜くことを誓うものであります」

1952(65歳)「結局、全人口の一毛にしか当たらん将軍というものが、九割九部九厘九毛の人民をいじめる道具として天皇を利用してきた。そういう地位であるのにその本質がわからんで、何千年とそういう無道を許してきたという罪は大きいと思うんですよ」「いじめる道具にされながらそれがわからなかったんだから、罪はないじゃありませんか」「いや、被害者があるから」「天皇が加害者ではないでしょう」「加害者の道具になったんだから、加害者よりまだ上です。罪が」「人殺しをした奴よりも、刀のほうが罪が重いってことはないですよ」「しかし、刀がなけりゃ人は切れませんな」「刀がなくってもゲンノウでもやれるしね」「今の例えなら、やっぱ刀に罪がある。鈍器なら死なんところでも、刀なら必ず死にますよ」

「親から譲られた財産は天皇の場合はもうないはずです。憲法の八十八条に「すべて皇室財産は、国に属する。すべての皇室の費用は、予算に計上して国会の議決を経なければならない」とあって、天皇一家の生活は憲法で守られとるんです。それだのに隠し財産をもったりするから、私がそれを皇室会議でいうでしょう。どうしても参議院の副議長をやらしとくわけにいかんというので、追放しにかかった」

「人を殺すくらいなら、わたしァ自分が生きていませんよ。人は殺しちゃならない。「不可侵、不可被侵」ということを生きる信条にしとる。しかし、人間五十年、生存権や人格を侵すものがあった場合は、死力を尽くして守れというんです。無法に侵してきたら、そんなものがきたって恐れず対抗するだけの自信はあります」

1964(77歳)「人間のとうといということは、大きい土地に住まい、大層高楼に美衣美食をして生活するのがとうといというのではなくて、自分自身の生活を、自分自身の力で、働き立てていくところに人間のとうとさがあると思うが、だれの子だから、だれの孫だからといってぜいたくをしていいということは許されないと思う。私の洋服は五年目です。春夏秋冬背抜きの服なんですよ。何か醜いですか。どこへ行ってもそう軽蔑されませんがね。皇室の者だからといって洋服が幾らかかる、飾りが幾らかかるというようなことでは 質素とはいわれませんね。私の服は冬でもこれですよ。背抜きだから夏でもこれですむ。五ヵ年着ているのです。おかげでそのためにからだが健康である。健康でない皇族の人たちのからだはあまりに贅沢しすぎるからじゃないですか。私はそう思う」

1966年(79歳)「こんどのことは実に簡単なことなんだよ。天皇家に孫が生まれた、そういう天皇家の私事はその一家と関係者があたればよいこと・・・しかしその私事をなぜ人に押し付けようとするのか・・・ほんとうは天皇制の復権強化が企てられている・・・私は国会で追及しているが、昭和四十年度の予算を見ても、皇室関係予算は五十六億三千十三万円と巨大なものなのに、六千部落三百万人といわれる部落に対する予算はわずかに十九億円余りということ、・・・もっと現実を見る、事実を見ることだ。”貴族あれば賎族あり”というこの事実を見ることだよ」

参考文献:松本治一郎対談集「不可侵 不可被侵」(部落解放新書)


カニの横ばい事件

松本治一郎

☆国会開会式に当たり 松本治一郎、天皇拝謁を拒否(カニの横ばい事件)

一九四八(昭和二十三)年一月二十一日は、「貴族あれば賎族あり」として華族制度の廃止を訴えてきた松本治一郎と、身分制度の頂点にいる天皇とが初顔合わせする日でした。
戦前より開会式には天皇が出席する習わしになっており、参議院の副議長である松本治一郎も 国家のお客さんとして天皇を玄関まで出迎えました。彼が拒否したのは「単独拝謁」といって、便殿でひとりずつ天皇に挨拶をする際、まっすぐ天皇のところまで行かず、顔を天皇の方に向けながら横へ横へと歩くやり方でした。天皇に横顔とお尻を見せるのが失礼に当たるというのがその理由でした。松本治一郎は
「わたしはやらんよ。人間が人間を拝むようなことはできんよ」と言って
「こんにちは、ごくろうさまです」とだけ、挨拶しました。彼は天皇の尊厳を保つために、人間の尊厳を傷つけるような、カニの横ばい式のやり方には我慢できなかったのでした。
 人間の体はすべて大事なところであり、失礼にあたるところなどない。人間宣言をした天皇がまだこんな格好で歩かせていることこそ、失礼だということだったのでしょう。次の国会からは、この「カニの横ばい」は廃止されました。









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Last updated  December 20, 2005 11:50:28 AM
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