●多くは硬膜外ブロック
神経ブロック療法は、抜歯や皮膚の縫合などで使う局所麻酔薬を痛みの原因となっている神経などに針で注入し、神経を短期間まひさせて、痛みを取る治療法だ。
痛みがあると、痛みの刺激によって血管が収縮し、筋肉が緊張する。そうすると血流が悪くなり、痛みのもととなる物質が発生して新しい痛みが起こるといった悪循環に陥る。神経ブロック療法は、主にこの痛みの悪循環に関係している交感神経に作用して、悪循環を断ち切るもの。
神経ブロックには、たくさんの方法があるが、麻酔科外来でよく行われているのが、神経を包む硬膜の外側に麻酔薬を注入する「硬膜外ブロック」だ。腰や脚の痛み(腰下肢痛)があるケースのすべてに効果がある。症状がひどければ、入院して硬膜外ブロックを持続的に行うこともある。
腰が張って非常に痛いような場合には、凝った筋肉に注射する「トリガーポイントブロック」がある。これは、ほかの方法よりも回数を多くでき、整形外科でも行われている。
●対象外のケースも
レントゲンで透視しながら、麻酔薬を痛みの原因である場所に直接注入する方法もある。神経根に注入する「神経根ブロック」と、脊椎(せきつい)骨の関節に注入する「椎間関節ブロック」だ。神経根ブロックは、すべての腰下肢痛に対して、椎間関節ブロックは腰痛で身動きできないような場合に行う。
どちらのブロックも非常によく効いて、長期間効果が持続するが、痛みを治療するペインクリニックの専門医が設備の整った施設で行う特殊な治療法だ。
神経ブロック療法は、腰下肢痛が、飲み薬や理学療法、運動療法などでも治らず、日常生活に支障があるような場合に適用される。ただし、排尿排便の障害や歩行の障害がある場合は適用できない。
腰痛の治療は、筋肉を鍛える体操療法が極めて大切だ。神経ブロック療法によって痛みが消えた後も体操療法は行った方がよい。
神経ブロックは、痛み止めの注射をしてから行うので、神経ブロックそのものによる痛みの心配はいらない。効果は大きいが、出血や細菌感染、神経の損傷などの危険もあるので、麻酔科やペインクリニックの専門医に掛かるようにしてほしい。
Medical Tribune より
コメント : 腰痛の治療には手術や、いろんな治療がありますが、神経ブロックは比較的よく行われる治療の一つです。疼痛が落ち着いて運動療法を始めれる人はよいですが、疼痛が強く歩行もしにくい人には、一時的にでも疼痛が緩和されるかもしれません。
私のクリニックでは疼痛部のトリッガーポイントブロックは時々行っていますが、主に内科的治療で腰痛を和らげるように心がけています。腰帯バンド着用や鎮痛剤、漢方薬などの併用なども試みています。
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