脳の「アンチエイジング」に関心があるという人は多いだろう。できることならば、いつまでも若々しい脳を保ちたい。そう思うのは、人情というものである。
実際には、加齢に伴って、ある程度脳の働きがおとろえるのは仕方がない。その分、知識や経験が豊富になるし、人間関係も広がっていく。何でも自分でやろうとする必要はないのかもしれない。いつまでも10代、20代と同じ脳の働きを保とうとあがくこと自体に、無理があるといえるだろう。
その一方で、実年齢とともに脳の機能がどう変化するかは、その人の生活習慣にかなり影響される。日々の生活の中で、どれくらい脳をイキイキと使っているかということで、10年、20年経つうちに、同じ遺伝的因子を持っていても、脳の状態はずいぶんと変わってしまうのである。
ビールを飲むとドーパミンが出る?
脳を若く保つために何よりも必要なことは、新しいことに挑戦し続けることである。脳の報酬系における伝達物質、ドーパミンは、「うれしいこと」があった時に放出される。とりわけ、予想外の幸運があった時、自分ができないと思っていたことができた時に、ドーパミンが出る。つまり、「こうなるのではないか」という予測と、実際との「誤差」を、ドーパミンが表しているのである。
ドーパミンが放出されると、その前にやっていた行動の回路が強化される。これを、「強化学習」という。たとえば、ビールを飲んでおいしいと感じると、ビールを飲むという行動が強化される。これが、「ビールの強化学習」である! 誰かに会うと、ドーパミンが放出される。もっとその人に会いたくなる。これが、「恋愛の強化学習」である!
「アウェー」に挑戦することで活性化
ふり返れば、子どもの頃は、世界の殆どが「アウェー」だった。だからこそ、予想外のことがたくさん起こって、脳がイキイキと活動した。大人になると、次第に「ホーム」が増えてきて、「アウェー」に挑戦する機会が減ってきてしまう。このことが、大人の脳の元気がなくなる、根本的な原因の一つである。
脳のアンチエイジングに関心がある人は、大いに「アウェー」に挑戦して欲しい。新しい習い事をやるのも良い。外国語に挑戦したり、読んだことがないジャンルの本を読むのも効果的である。旅行に出かけて、その土地の珍しい食べものに舌鼓を打つのも一つのやり方。自分の脳に「予想外」のごほうびを与えることで、脳を若く保つことができるのである。
◆
茂木 健一郎(もぎ けんいちろう)
コメント:3ヶ月ぶりのブログ更新です。
脳のアンチエイジングには、常に新しいことに挑戦するこが大事ということです。
年を取ったと感じるのは、いろんな事に感動しなくなることかと思われます。ドパミンの放出が減少したり、伝達が悪くなるとパーキンソン病の発症が起こるかもしれません。
予防のためにも、姿勢、運動、歩行も大股で、歩く、キビキビと動くことを心がけましょう。
私もまた初心に却って、ブログを更新していきますね。
新型コロナウイルス感染症まとめ(QA) Jul 29, 2020
認知症とパーキンソン症状を主症状とする… Jan 25, 2018
家庭医で肺炎見逃さない4兆候判明 Jan 4, 2018
Keyword Search
Comments