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2005年03月12日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
お水取りが終わると、奈良に春が訪れる...というほどの季節の風物詩。1250年以上も続いている、古式豊かでダイナミックなイベント。しかも、2週間の期間中、最も大きなたいまつが登場する12日が土曜日...ということもあって、自分にとっても、他の多くの観光客にとっても絶好のチャンスとなりました。
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▽近鉄奈良から、奈良公園→東大寺・春日大社へとつながる道のりは、いつも芝が青々として、人もせかせかと歩いていなくて、ヨーロッパの都市を思わせる美しさを感じます。キュートな鹿もウロウロしていて、これまた癒しの存在。都心に住む人なら、ここを歩くだけでもリフレッシュになります。

▽お水取りは午後7時半から始まりますが、上にも書きましたように、きょうはことのほか多くの観光客が集まるはずなので、早めに着いておこうと午後5時半すぎに東大寺・二月堂の近くまで行きました。すると、すでに入場制限がかけられていて、おみやげ屋さんの前で人の列が止まっていました。要するに、開始時刻まで、ここで立って待っていなくてはいけない、ということのようです。

▽しかし、きょうの奈良は寒かった。自分の感覚では、5、6度くらいではなかったかと思います。2時間近くの待機時間で体がすっかり芯まで冷えました。事前に友人から、・トイレに行かなくて済むように水分はできるだけとらないこと ・足から冷えていくので革靴を避けること ・手袋と使い捨てカイロを用意すること などのアドバイスをもらってましたが、前の二つだけは実行に移したものの、手袋とカイロを忘れてしまいました。今週は暖かかったのに...

▽寒風吹く中、じーっと待ち続けるわけですが、客の8割が中高年の人でした。自分より背の低い人が多かったもので。この寒さはこたえただろうなあ。最近は、バスツアーで来る客が多く、きょうも約50台分ものツアー客が押し寄せていたということです。

▽午後7時半になって、場内のアナウンスでお水取りの開始が知らされます。合計11本のたいまつが二月堂に上がります。ところが、僕のいる場所は、待っていた列の中でも後ろの方だったのか、5本目が上がるまで一歩も動けず、用意されたモニターで見るしかありませんでした。すると、周りのお客もざわざわし始めて、「こんなに待たされたのに、見られへんかったらタダじゃすまんで!」と、ツアコンや場内整理の警察官に詰め寄る人が出る始末。僕も少しあせりました。

▽ようやく列が動き始めると、やはり関西のおばちゃんパワー炸裂!列をぐいぐいと押し始めます。こういう厚かましさが、明石の花火大会で死者を出す事故につながったと思うんですけど、誰もそんなことを思い出したりはしません。平気で他人の背中をおしまくり、少しでも隙間が出来ると、すかさず入り込んでいきました。

▽結局、直接たいまつを見られるようになったのは、8本目のたいまつが最終コーナーを迎えたあたり。正面近くから見られたのは、10本目が登場した頃。都合の悪いことに、見物客の列の太さは待っていた頃に比べて、お堂の前が急激に細くなっていて、当然のことながら、お堂の前でおしあいへしあいになりました。まさに通勤ラッシュのような状態です。そこにカメラ付き携帯やらデジカメを構える人が続出。本当は立ち止まってはいけないところで、カメラを構えると立ち止まらざるをえなくなるので、人の流れが悪くなる、すると、後ろで待っていた人がイライラして前の人を押す、という悪循環を繰り返してました。カメラ付き携帯の弊害ですねえ。



▽練行衆が、燃えさかるたいまつ(約80キロ)を抱えて、歴史のある木造建築の中を上がるわけですが、もしあやまってよろめいたりすれば、引火して火事ですよね。そういうプレッシャーもひしひしと伝わってきますし、見ている方は無病息災を願って、たいまつから落ちるすすをかぶりたくて、わあーっと、お堂に寄っていくし、場内整理の警官も声を張り上げてました。こういうのが祭りの盛り上がりというものなんでしょう。

▽僕はちょうど最後の2本が、二月堂の廊下を通るところを見ることができました。午後8時過ぎです。すすをかぶることはできず、おしあいへしあいになりながら、視線だけはお堂を見上げる形になりました。結果として、このタイミングがちょうど良くて、帰り道の脇にある、軽食堂の脇で暖かい缶コーヒーを買って頬ずりしていたら、「お松明の行事は終了しました。みなさん、足下に気をつけてお帰り下さい」のアナウンス。参拝客が帰るために、締切の縄が外されるため、その逆を突いて、締切の内側に入り、特別参拝客に混じって二月堂に上がることができました。

▽さっきまで松明が行進していた、二月堂の廊下から下を眺めると、奈良市街の夜景が広がって実に気持ちよかったです。堂の中では、「修二会」(しゅにえ=お水取りの正式名称)の行が進んでいて、低くつぶやくようなお経と、暗い室内でせわしなく動き回る僧の影が見えます。行は、堂の中心の<内陣>で進んでいますが、特別に許された男性の参拝客が<外陣>から見ることができて、女性はその外側の<局>からしか見ることができません。外陣に忍び込もうとしましたが、特別参拝のリボンがついてないと中に入れずに断念。すいている局に入りました。

▽堂の内側は照明がなく、ろうそくの明かりと線香の煙でぼんやりとしか見えません。昔は電気なんてなかったわけで、1250年以上前の儀式そのもの、という厳かな空気に満ちていました。そこに低くつぶやくようなお経と、法螺貝の音が響きます。この行は翌朝まで続きますが、一年分の香水をくみ出す「お水取り」、練行衆が道内を駆け回り松明を引きずる「達陀(だったん)」、練行衆のひとりが床に体を投げ出し、五体板で膝を打つという「五体投地」など、ビジュアルな行のオンパレード。20年前にNHKスペシャルで、その後に「ニュースステーション」の特集で放送したそうですが、ぜひ生で見てみたいものだと思いました。でも特別な許可がないと駄目なんだそうです。残念!

▽二月堂のわきには簡易食堂があって、おすしや甘酒、ぜんざい、うどんが食べられます。あまりにも体が冷えていたので、ダイエットのことは全く無視して、うどんを汁まですすりました。

▽階段を下りていくと、先ほどまで使われていた11本のたいまつが並んでたてかけられていました。柄の部分には、きょうの日付と寄進者の名前が書かれていました。試しに持ち上げてみましたが、約80キロあるだけに、本当に重かった! 燃えさかるたいまつのついた、この重い柄を抱えて、歴史的建造物の中を歩くのは、物理的にも精神的にも、ひしひしと重みを感じることでしょう。

▽その脇には、燃え残りのたいまつが集められて、たき火になっていました。上からすすを受けることはできなかったので、たき火に手をかざすことで御利益を受けられればなあというところです。うどんとたき火で充分に体を温め直して、近鉄奈良までの徒歩30分の道のりを帰りました。

▼1250年以上もつづく宗教行事って、海外から見ても珍しいのではないかと思います。これぞ日本が誇る文化遺産の一つであることは間違いありません。一般客が見られるダイナミックなたいまつの行進、そして深夜まで続く荒行、実に奥の深い行事です。できれば、後者を一度見てみたい! もう一度、報道ステーションで見られないかな?





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最終更新日  2005年03月13日 16時04分58秒
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