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2005年09月08日
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カテゴリ: 伝統文化
料亭は日本の食文化を体現すると言われます。食事の内容だけでなく、器やインテリア、サービスまで、一流の質が求められます。中でも京都の料亭は、日本文化を背負っているという強烈な自負があります。「和久傳」はその中でも有数の名店のひとつ。きょうは、「伝統未来塾」というユニークな講座に参加し、お店で女将のお話を聞き、お昼をいただく機会に恵まれました。

「和久傳」は、丹後地方の料理旅館が発祥です。丹後ちりめんの衰退に危惧した女将が、有名な宮大工(中村外二棟梁)の紹介で、高台寺のそばの日本家屋を改装し、23年前に料亭として京都に進出しました。以来、見事に事業を伸ばし、今や高台寺・紫野・京都駅前・室町の4店舗を構えるに至っています。

きょうはまず、今年3月にオープンしたばかりの室町和久傳におじゃましました。ここは京都の中心街・烏丸御池から歩いて10分足らずのところにあります。昭和初期の町家を改装した、和風でモダンな内装が特徴の新しいお店です。(詳しくは「和楽」6月号に掲載されています)。建具、床材、家具、すべてが木の素材を生かし、落ち着いて上品な色彩でまとめられていました。柔らかい光を発する照明、広い喫茶室の天井には力強い梁が縦横に走っています。和室が一部屋もないのが驚きでした。すべての部屋に机と椅子がありました。和室に行きたければ、高台寺のお店に行けばよい、ということなのかもしれません。

さて、席について女将のお話を聞きながら、まず登場したのが、和久傳名物の和菓子「西胡」。ちまきをほどくと、黒いゼラチン質のお菓子が現れます。材料はれんこんと砂糖(和三盆)だけなのに、しっかりとしたゼラチン状のものが出来上がるんですねえ。崩れ落ちない程度のゼラチンの固さ、そして口に含んで少ししてからほのかに感じる上品な甘さ。決して真似できないお菓子がそこにはありました。

女将のお話:たった一つしかないものをつくること、それが世界一になることだと思うんです。先日、丸ビルのヴィトンの隣に支店を出しましたが、私どもにとっては、支店の隣にヴィトンがあると言いたいんです。それくらいのプライドを持っていたいと思っています。(プライドの裏には、質の高いサービスを提供しているという現実と自負を持つことが必要なんです)

続いて、お昼をいただくことになりました。どの料理も一口いただいたあとで「うーん!」とうなり、その後思わすニッコリするほどのおいしさでしたが、印象に残ったものを二品挙げましょう。

1)鱧と松茸の「出会いもの」
 夏の食材・鱧(はも)と、秋の食材・松茸を合わせた料理。季節の変わり目に登場するメニューで「出会いもの」と呼ばれる、料亭ならではの創意工夫に満ちた一品。冬瓜があんかけ状にかかっていて、だしの味だけでいただきます。鱧のやわらかさと、松茸の香りと食感のハーモニーが最高です。料理長の緒方さんによると、出会いものは相性の良い食材同士でないと作れません、ということでした。
2)うなぎの焼き物。山椒と独自のタレ


食後、伝説の名店、高台寺のお店に移って、中を拝見することができました。ここで最も価値がある部屋は「囲炉裏の間」。丹後時代の名残から、蟹が焼けるようにと囲炉裏があります。囲炉裏があると、どうしても部屋が暑苦しくなってしまいますが、いまは「夏のしつらえ」になっていて、囲炉裏の上に涼しげな鉄の覆いがかかって、小さな笹の葉が炉縁の代わりに内側に伸びています。他のすべての部屋には掘り炬燵があるのですが、この囲炉裏の間だけは、見えないところで足を伸ばすことができません。

旧来の日本家屋の改造が見事で、壁に空いた細長い穴からはさわやかな冷房の風が入ってきます。建具はすだれ状になっていて、畳の上に竹の編み込みのゴザがかかっています。床の間には、中秋の名月を意識した掛け軸がかかって、すすきが飾られています。こういうしつらえが季節を感じるわけですね。

女将のお話:いま、日本から「和の心」が消えつつあるのではないか、と心配になります。京都には結納屋がありますが、東京には全くない。贈り物をするときに、気の利いた柄の風呂敷や袱紗(ふくさ)に包んでいけば、それだけで贈る側の心が伝わるのに。相手が喜ぶことを察して、先回りして動くこと。それも和の心のひとつではないでしょうか。これからは、日本人ひとりひとりが和の心をもって、それを世界に広げていく、そういう気持ちが大切だと思うんです。

女将さんは、言葉は謙虚で口調も穏やかですが、押しは強そうで、商売上の駆け引きの上手そうな方に見えました。まあそうでないと、切り盛りはできませんよね。今は若い社員を叱るときに、かなり気を遣っていらっしゃるとお話されていました。

冒頭にも書きましたが、日本の食文化を語るなら、京都の料亭が一番です。東京で利用するのは政治家と大手企業の社長さんだというのが相場ですが、京都では昼なら5000円+α、夜なら1万5千円+αで、その世界をのぞくことができます。味やサービス、インテリアまで、各店がしのぎを削っています。グルメを語るのであれば、必ず一度は行かねば! その奥行きの深さにうたれるはずです。女将さんの言う「和の心」を感じられれば、決して高くはないでしょう。





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最終更新日  2005年09月09日 03時07分53秒
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