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2005年11月03日
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カテゴリ: 伝統文化
美濃吉と言えば、よくデパ地下で見かけるお総菜屋さん...かと思っていましたが、本店に行き、女将さんのお話を聞いて、その認識が全く甘いことを思い知らされました。きょうも「伝統未来塾」の講座の一環として、内装を見学して、女将さんの話をうかがってから、昼食をいただきましたが、とにかく内装(しつらい)・料理・器に至るまで、京懐石のお店らしくすべてが芸術的でした。深いっ!

美濃吉は、江戸時代の吉宗将軍の時代に、岐阜県から京都に移ってきたのがはじまりだということで、285年もの歴史があります。当初は「美濃屋吉兵衛」だったのが、明治時代の頃から短縮化され(美濃吉になっ)たそうです。お店は鴨川沿いにあって、鴨川を泳ぐ川魚を調理して出すのが売りだったということで、お店の場所が東に移った今でも、美濃吉らしさを残そうと、メニューの中に必ず川魚を入れるのだそうです。

本店、竹茂楼は京都市街の東寄り、ウェスティン都ホテルのすぐ近くで、閑静な場所にあります。車寄せには打ち水がしてあって、しっとりとした空気に包まれていました。建物は平成4年に大改造をして、古びたところのない、でも数寄屋の趣味が隅々にまで行き届いたつくりになっています。壁はもちろん漆喰で、聚楽色(ベージュみたいな感じ)で統一されています。

女将さん「うちは色合いを非常に大切にしています。壁(聚楽色)をベースに、様々なしつらい(掛け軸・生け花・花器・食事・ざぶとんの色などなど)を考えています。昔読んだ本「かさねの色目」を参考にしながら、お客様の趣味・嗜好を検討してアレンジを加えます」

竹茂楼は、洗練された数寄屋ゾーンと、素朴な合掌造りの2つから成っています。数寄屋ゾーンは2階建てで、4畳半の小間から54畳の大広間まで、13室があります。それぞれの部屋には「松重(まつがさね)」「梅重(うめがさね)」「面柳(おもやなぎ)」などと、季節の木や花にちなんだ名がつけられています。なんと座布団の色は、その花の色に合わせてあります。各部屋には必ず床の間があって意匠がそれぞれ違います。しゃれてます。

部屋によって変わらない演出としては、床框(とこがまち)とテーブルと入口の襖の縁の色が統一されていたこと、すべての部屋から竹の庭が見渡せたことです。「竹茂楼」の名の通り、竹にはこだわりがありました。

最も印象的だった部屋は「菖蒲重(しょうぶがさね)」。床の間が洞床といって、洞穴が出来たように見える演出がされて、床框の色は濃い焦げ茶、席は掘り炬燵になっていて、かなりリラックスできそうです。

数寄屋の洗練とは対照的に、合掌館は合掌造りの建物のもつ素朴さが魅力となっていました。太い梁が縦にがっしりと横たわり、梁と柱を縄で締められていたり。河合寛次郎やバーナード・リーチといった、僕の大好きな民芸調陶芸家のコレクションが展示されています。椅子も民芸家具として有名な松本民芸を使っています。1階の囲炉裏のある「花」の間は、江戸千家が京都で初釜を開く場所になったほどの堂々とした広さと雰囲気。ぼんぼりのような照明に琉球畳、囲炉裏はお茶の炉ではなくて、土間風で大きい。素朴で力強く印象深い部屋です。

そして、いよいよ昼食。印象に残ったのは、海老芋のけしの実揚げ。揚げ物にけしの実がかかっていることで、カリッとした食感がさらにUP。そこにさっぱりとした蟹のあんかけがかかって、歯触りが非常に奥行きの深いものになっていました。器も濃い紫色をした陶器の椀でしたが、内側は銀色ベースに赤で菊の文様が描かれる、という大胆なもの。



女将さんは、働く人たちをまとめ上げ、しつらいの指示を出す、料亭のプロデューサーです。プロデューサーがどうするかによって、お店全体の雰囲気、仲居さんの接客などが違ってきます。竹茂楼にいると、建物に入って、内装やしつらいを見て、食事をして、帰る、その一連が上品でスムーズでした。出過ぎたところがなく、足りないところがあるわけでもなく。その絶妙なバランスが接客業では大切なのかもしれません。食事を通して日本文化を知るには、非常に良い場所でした。






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最終更新日  2005年11月06日 00時16分37秒
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