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2005年11月05日
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カテゴリ: 伝統文化
唐紙(からかみ)とは何か、自分は全く知りませんでした。千代紙の親戚だと思っていました。今回「唐長」(からちょう)の見学を通して、唐紙が襖や障子、壁紙などインテリアに活用されることを知りました。これが非常にモダンでかっこいいのです。なんと、ルイ・ヴィトンの原型とも言えるデザインもありました。

唐紙は、木賊色(とくさ)や萌葱色(もえぎ)などといった日本古来の色に、唐草模様のようなシンプルな模様が、単色か2色で乗っかります。京都の有名な料亭や湯布院の高級旅館などで必ずと言っていいほど使われていて。その模様を代々受け継いでいるのが「唐長」なのです。今回も伝統未来塾のカリキュラムに参加して、製造工程からアンテナショップまで見ることができました。

まずは、唐紙ができるまでを、修学院にある工房で見学。

材料はたったの三つ。版木(はんぎ)と、絵の具と、ふるい。絵の具は、顔料と雲母(キラ)とふのりと水を混ぜ合わせてつくります。ふるいは、取っ手のついた薄い曲げわっぱのようなもので、ガーゼが張ってあります。

作業は、ふるいに絵の具をまんべんなく塗って、版木にタッチするようにつけていく。版木に充分に絵の具がついたら、和紙を乗せ、絵の具が写るように和紙の上から版木をさする。色が付いたと判断したところで、和紙をはがして出来上がり。慣れればすごく簡単に見えます。でもその加減が難しいみたい。

ご主人(千田堅吉さん)「絵の具にのりがついているので、時間が経つとベタベタしてきます。そうならないように、刷毛で水を加えるわけですが、色が薄まらない程度にしなくてはいけない。絵の具が版木に充分ついたと判断するには、ふるいが版木にくっつく度合いを見ます。あまり集中しすぎても、注意が散漫でもダメで、淡々と作業しなくてはいけません」

唐紙で何よりも大事なのは、縦30センチ×横45センチの版木。この版木のデザインこそが、唐長の魅力の源泉です。版木を縦横につなげても切れ目のないようなデザインでなければならない。模様は目立ち過ぎず、さみしすぎず、飽きの来ないデザインでなければならない。版木に使われるのは、野球のバットにも使われる、ホウの木です。木としては柔らかく、傷みやすいそうですが、代々使われてきているということです。

唐長には、室町時代以来、650種類以上の版木があって、その半分以上が江戸時代に作られたものだということです。それだけの種類があるので、逆に新しいデザインをつくることはほとんどないといいます。中には丸と菱形の連なりで、ルイ・ヴィトンの鞄のような模様の版木もありました。これは歴史的に見れば、ヴィトンの方がパクリかもしれません。

ご主人「一連の作業は非常に原始的に見えるかもしれません。ただ、パソコンでやると、風合いが全く出ません。手作業ならではの味わいなのでしょう」



ご主人「唐紙は、部屋の雰囲気をつくりだすものです。使い手次第で、どのようにでもなる。そのためには多色で目立つよりも、単色で一歩引いた感じの方がいいんです。その方が長持ちする。目立たないことは良いことなんです」

でも、紙で出来ていると言うことは、唐紙は風化してしまうのでは?

ご主人「そりゃあ、紙ですから、未来永劫つづくものではありません。でも曼殊院の襖は、唐長の唐紙を使っていますが、300年もっています。色も時代と共に変わっていきますが、それが新たな味わいを出すこともあります」

時代によって、流行り廃りがあると思います。現代のインテリアに合う、今らしい色は、どんな色ですか?

ご主人「打ちっ放しのコンクリートにも使える色ですね。炭・空・菜の花・柿渋などの赤銅色などは、今に合う色だと思います」

***

続いて、三条烏丸のサロンへ。ここは夫人(千田郁子さん)が運営しています。この店のインテリアは、明治時代から昭和初期の、ハイカラでモダンな空気に満ちています。シーボルトが来日した頃、長崎の洋館に使われた壁紙が使われていたり、キッチンの壁紙やワインセラーの奥など、暮らしの中にとけ込むような様々な使い方が見られます。

奥様はご主人との結婚の条件に「家業を継がないこと」を挙げていたそうです。それがご主人の突然の判断で、結局家業を手伝うことになり、それがやがて、唐紙の奥深さに触れて、唐紙の伝道師になっていく。今では「唐紙と出会って本当に良かった」とお話になっています。

このお店は、唐紙の世界にハマッた奥様の研究の成果が、形になって現れています。やはり、絶対に蛍光灯は使ってません。唐紙の作り出す味わいが出てこないからでしょう。やはりインテリアと蛍光灯の相性は、あまりよくないのでしょう。

このお店が面白いのは「入って来づらいのであれば入ってこなくてよろしい」と言わんばかりにいつも入口が閉まっていること。しかも、簡単に商品を売らない。物との出会いで衝動的に買うのではなく、じっくり考えた上で買ってもらいたい。そういう思想があります。確かに、650通りの柄と、色目があったら、組み合わせは数知れず。それを一瞬のうちに決めるのは、かなり難しいです。しかも大量生産ができないので、あせって受注することもない。

僕はふだん決してカレンダーを使わない人間なんですが、唐長のカレンダーは非常に上品でかっこよかったです。見学の後、2006年版をいただくことができました。






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最終更新日  2005年11月08日 01時13分40秒
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