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2006年12月17日
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カテゴリ: 伝統文化
古都・奈良の一年をしめくくる、春日若宮おん祭。平安時代(1136年)に五穀豊穣・国家安寧を願って始められたお祭りで、今年でなんと第871回! このお祭に、能や田楽など、日本の芸能のルーツを見ることができました。

今年のお祭りは15日~18日に行われます。祭りのハイライトは17日に行われる「お渡り式」と「お旅所祭」ということで、これに合わせて見に行くことにしました。

とは言っても、どこで何を見ればいいかわからず、とりあえずお渡り式の行列のルートだけを調べて、行列の始まる正午に到着するようにしました。

近鉄奈良駅を降りると、マラソンの応援のように、沿道に多くの観客が行列を待っていました。その光景はまるで時代祭の奈良版ではないかと思えるほど。ほどなくして、行列がやってきましたが、グループ分けが「楽人・日使・巫女・猿楽…」など、一見わかりにくくなっています。そこで、このお祭りのプログラムを800円で購入して読んでみると、「平安時代から江戸時代に至る風俗を満載した、芸能集団や祭礼に加わる人々が社参する行列」ということでした。

行列には、地元の名士、子供、能楽師などなど、およそ1000人が参加しています。最後には大名行列が登場、「ひ~よいやな~」「ひ~よいまーかせ~」「え~やっこらさーのさ~」と声を掛け合いながら、参勤交代のように進んで行きました。行列の先頭からすべてが通り過ぎるまで、30分余りでした。ただ、これを見るだけでは京都の時代祭の行列とそれほど変わりません。もっと違う場面を見たいと思って、別の場所に移動することにしました。


向かったのは、春日大社の表参道、一ノ鳥居周辺。先ほど自分の目の前を通過した行列の先頭部分が、この付近を通過していました。このあたりに、有料観覧席が設置され、テレビカメラクルーが待ち構えていました。観覧席の近くには、白いお召し物に朱色の袴を着た稚児と、黒い着物を着た母親の姿。特等席に座っているように見えます。彼らの前で、何らかのイベントが行われる予感。人ごみに混ざりながら、しばし行列を見ていると、今までにない場面が出てきました。

「猿楽」の集団が参道を進んできて、通り過ぎるのかと思いきや、袴姿の男たちが途中で停止し、上下を着た人たちが参道の端に並んで座りました。袴姿の男は、能面をつけずに次々と登場し、舞を披露します。猿楽とは能のことです。観世・金剛・宝生を含む大和猿楽四座が順番に登場するということです。流派を超えて競演する場が、こんな間近で見られるなんて!と、かなり感動。しかも、ふだんの能舞台では考えられないほど近くで見ることができました。床を踏みつける音もなく、勝手が違う様子でしたが、それでも神前での舞いということで、演者の表情に真剣味が増していました。

春日若宮おんまつり

引き続き、「田楽」の一行が現れます。人形を飾った大きな花笠が印象的です。何人かが玉すだれのような<編木(ささら)>や、太鼓、笛といった楽器を持っていました。旋律の美しい音楽が奏でられるのではなく、独特のリズムを刻む感じでした。これは初めて聞く、なかなか言葉では言い表せない音でした。

お渡り式の最後は「流鏑馬(やぶさめ)」。と言っても、馬を走らせて的を射るのではなく、的の前に馬で移動して止まってから発射していました。馬に乗っているのが小学校低学年くらいの男の子でしたから、勇ましい流鏑馬のイメージとは少し違ってました。止まってからでも、発射後に馬が大きく揺れてバランスを崩しそうになりました。流鏑馬の難しさがわかりました。




パンフレットによれば、「おん祭保存会」に入会すると(会費3000円以上)、このお旅所祭の拝観券を手に入れることができるということです。古典芸能に興味があれば、会費を出す価値は充分にあるでしょう。ただ、この時期の奈良の夜は寒いので、頭のてっぺんから足の先まで、バッチリ防寒の準備が必要だと思います。


もう少し下調べができていれば、人混みに翻弄されず、お渡り式だけでも充分に堪能できたと反省しました。行列がくる前に、一ノ鳥居付近の「影向(ようごう)の松」の近くに陣取れば、お渡り式だけでも充分に古典芸能を楽しむことができます。ベストポジションがアナウンスされていないのは、その場所が狭いからです...

このおん祭、奈良の奥深い歴史の一端に触れることができます。自分の印象では、京都の時代祭よりも見応えがありました。芸能の根源を直接見て、考える上でもいいお祭りだと思いました。





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最終更新日  2006年12月20日 07時58分48秒
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