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2006年12月16日
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カテゴリ: 旅
12月16日、東大寺では年にたった1日の特別開扉が2カ所で行われます。ひとつは「開山堂・良弁僧正坐像」、もうひとつは「法華堂・執金剛神立像」です。この日は東大寺の初代別当(住職)・良弁僧正の忌日ということで、曜日まわりに関係なく行われます。週末と重なる今年は滅多にないチャンス!ということで、万難を排して行ってきました!


1)開山堂・良弁僧正(ろうべんそうじょう)坐像
開山堂は、二月堂のすぐ下、白壁に囲まれたこぢんまりとしたお堂です。門の前で記帳すれば無料で入れました。午後2時過ぎに行きましたが、並ぶことはありませんでした。

門を入ると、手入れの行き届いた小さな庭越しに、宝形造の小さなお堂があります。屋根の低いのが印象的です。石段を上がり、お堂の入口のすぐ先に、厨子に入った良弁僧正坐像がいきなり現れました。光が当たりやすく、ディテールまでしっかりと近くで見ることができます。この像は1019年頃に造られたということですが、1000年近く前のものとは思えないほど、衣紋や唇の色が鮮やかに残っていました。落ち着いて堂々とした表情。表現は写実的です。この顔を眺めているだけで、腹が据わってくるような気がします。

宝形造のお堂は小さく、厨子の周囲を一周するほどの大きさでした。お堂も坐像も、国宝とは思えない敷居の低さと言うか、親しみやすさを感じました。


2)法華堂・執金剛神立像(しゅこんごうじんりゅうぞう)
法華堂(三月堂)は開山堂のすぐ近くにあります。ここは拝観料500円を払って入ります。東大寺で最も古い建物ということもあってか、中は薄暗くなっています。堂内には合計16体の仏像がところ狭しと並んでいて、そのうち12体が国宝、残り4体も重要文化財という充実ぶり。中に入ると、三十三間堂や東寺の講堂に入った時のような、厳かな空気に包まれました。

執金剛神立像は通常公開の仏像たちとは背を向ける形で、北向きに立っています。お堂の裏側に回ると、そこには仏像マニアらしき人も含めて、鈴なりになっていました。像は、厨子の中から外を威嚇するように立っていました。目と口をカッと開き、両腕の血管が浮き上がり、今にも「コラーッ」という怒声が聞こえてきそうな感じ。体は逆三角形に引き締まり、見る者を威嚇します。口の中の赤い彩色、左腕の衣装の赤や緑が鮮やかです。圧倒的な迫力です。後の金剛力士像のルーツになったと言われるだけあって、その完成度、端正な形に感銘を受けました。

正面に戻って、本尊の不空羂索観音像や、四天王像、日光・月光菩薩像、吉祥天に弁財天と、それぞれに表情も特徴も全く異なる仏像をゆっくりと拝見しました。統一感はないのですが、どれも完成度が高いことが素人目にもわかりました。だからこそ、お堂の中に厳かな空気が流れているのです。



お堂の前に「特別開扉」の看板があるのを見つけ、入口で拝観料500円を払い、入りました。後で知ったのですが、ここは7月5日の俊乗忌の日に無料で公開される以外は、この12月16日しか拝見する機会がないのです。うれしいサプライズでした。

お堂の中央、やや高いところに厨子があって、その中に本尊・重源上人坐像が安置されていました。中はやや暗くて、よく見えません。近づくと、首から上は肌色が、衣装は若草色が鮮やかに残っています。やせこけた顔、猫背のシルエットなど、非常に写実的な表現で、まるで生前に型を取ったかのようです。肖像彫刻の傑作と言われるのがよくわかります。

お堂の隅には阿弥陀如来立像と愛染明王坐像が置かれています。いずれも重要文化財で、快慶が作ったという阿弥陀如来立像は非常にバランスのとれた形をしていました。それにしても、キャラの立った仏像ばかりです。


3カ所を見終えた後、二月堂から広がる奈良市街の夕景を眺めました。去年、京都の数寄屋大工の名棟梁が、この眺めを絶賛していたのを思い出したのです。特別な美しさがあるわけではないのですが、時代を超えても変わらない悠久な風景がそこにはありました。

その風景をぼんやりと眺めながら、きょう拝見した仏像を思い出しました。良弁僧正といい、執金剛神立像といい、重源上人といい、どれも本当に威厳のある立派な顔立ちをしていました。現代人にはなかなかお目にかかれない威厳を感じさせます。その顔立ちは、このあたりのぴりっとした冬の寒さと共通する何かがあります。その何かとは、思わず姿勢を正す、心地よい緊張感ではないかと思いました。





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最終更新日  2006年12月17日 05時04分30秒
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