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まさに石神様や！阪神・呉、ＣＳ６戦連投で堂々のＭＶＰ獲得

　（セ・リーグ、クライマックスシリーズファイナルステージ第４戦、巨人４－８阪神、阪神４勝１敗、１８日、東京ドーム）６戦連投、文句なし！　阪神・呉昇桓（オ・スンファン）投手（３２）がセのクライマックスシリーズ（ＣＳ）のＭＶＰ（賞金１００万円）に選ばれた。巨人に４連勝で２００５年以来９年ぶり６度目の日本シリーズ出場を決めた阪神。ファーストステージを合わせＣＳ全６試合に登板し、計４セーブを挙げた絶対的守護神が、日本シリーズでも仁王立ちする。

　東京ドームに響き渡る「呉昇桓」コールに招かれ、お立ち台に足をかけた。気力を振り絞った先に待っていたのは、最高の景色だった。ＣＳ全６試合を投げ抜き、栄えあるＭＶＰをゲット。普段はクールな韓流守護神も、声のトーンが１オクターブ上がっていた。

　「阪神ファンは本当に最高です！　常に投げるんだという気持ちで一生懸命やっていました！！」

　勝利のマウンドには必ずいた。１２日の広島とのＣＳファーストステージでは３イニング登板も果たした。２００７年の岩瀬（中日）に並ぶＣＳ４セーブをマーク。短期決戦、破竹の５連勝（引き分け挟む）の立役者は紛れもなく、この男だった。フィナーレを飾った今宵のゲームも６点を守る九回にリリーフ。セペダ、坂本に連弾こそ浴びたが、歓喜の瞬間を敵地のど真ん中で味わった。

　「初めての年に９年ぶりの日本シリーズに出ることができる。少しでも力になれてよかった」

　激動の１年だった。入団交渉時。阪神サイドから長年、クローザーを担った藤川（現米大リーグ、カブス）の背番号「２２」を用意された。だが、最初は受け取れなかった。「藤川投手のイメージがあるから…」。偉大な先輩への尊敬の念があった。同時に期待の高さも知った。韓国プロ野球記録の通算２７７セーブを重ねた右腕に未知の重圧がのしかかった。

　「俺は期待外れと思っているんじゃないか」。交流戦では３度も救援失敗した。一時はファンの目が怖くなった。サムスン時代にはシーズン中に断っていた大好きな酒も手放せなくなっていた。

　「打たれときは、酒を飲まないと眠れない」

　酒豪は浴びるように、マッコリをかっくらった。それでも、「石仏」と呼ばれるポーカーフェースにひた隠し、１年通して、離脱することなく、ストッパーの座を守り抜いてきた。これで、苦しい日々も少しは報われる。

　喜んだのはつかの間。シリーズ男の本領発揮はこれからだ。　（小松真也）

呉昇桓（オ・スンファン）
　投手。１９８２年７月１５日生まれ、３２歳。韓国出身。２００５年にサムスン入団。１年目から抑えで１０勝１６セーブをマークし新人王。最多セーブ５度、通算２７７セーブは韓国プロ野球記録。今季、阪神入団。７月２１日の巨人戦（甲子園）で日韓通算３００セーブを達成。今季は６４試合登板、２勝４敗３９Ｓ、防御率１・７６でセの最多セーブ。０８年北京五輪、過去３度のＷＢＣすべてで韓国代表。１メートル７８、９２キロ、右投げ右打ち。年俸３億円。背番号「２２」。

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虎・呉昇桓の専属通訳を務める江口氏「本当にうれしいです！」

　（セ・リーグ、クライマックスシリーズファイナルステージ第４戦、巨人４－８阪神、阪神４勝１敗、１８日、東京ドーム）阪神・呉昇桓（オ・スンファン）投手（３２）がセのクライマックスシリーズ（ＣＳ）のＭＶＰ（賞金１００万円）に選ばれた。呉昇桓の専属通訳を務める江口優一氏（２３）がサンケイスポーツにメッセージを寄せた。

　ＣＳ優勝、本当にうれしいです！！　阪神でヒョン（呉昇桓、韓国語で親しみを込めた兄貴の意味）の専属通訳になってからは、基本的に休日も一緒。生活面で不便がないように、神経を使わせないようにするのが仕事だと思っています。

　外食は韓国料理はほとんど食べません。寿司、すき焼き、そば、うどんといった日本食を好むので、選手らに教えてもらって希望に応えられるようにしています。ヒョンは自炊もしますからカレーをご馳走になったこともあります。やりがいがある仕事ですし、しんどいと思ったことはありません。でも「お前がいつも一番大変だな」と気を遣ってくれる優しい人。感謝しかありません。

　交流戦（救援失敗を３度した頃）は遠征続きで苦しい時期でしたが、愚痴をこぼさず「きょうは仕方ない。あしたがある」と切り替えられるタイプ。ＣＳは６試合連続登板でしたが、タフな選手なので大丈夫と信じていました。日本一になってほしい。僕もしっかりサポートしたいです。　（球団通訳）

粘投５回２失点！虎・能見、Ｇ斬りで屈辱の開幕戦リベンジ

エースがひたむきに戦った。阪神・能見が因縁の地でチームを勝利に導く粘投。苦しみながらも５回を２失点で切り抜けた。

　「９本もヒットを打たれたけどね。紙一重でなんとか粘れました。勢いの差だった」

　毎回走者を出しながらも９４球に魂を込めた。４点の先制をもらった後の一回。一死一、二塁とピンチを招いたが、４番阿部を右飛、５番村田を三振に斬り、無失点で切り抜けた。二回には亀井に右越えソロを被弾。三回には村田の右犠飛で１点を失ったものの、これ以上の失点は断ち、味方のリードを守った。

　東京ドームは屈辱の地だった。３月２８日の開幕・巨人戦では五回途中１０安打１０失点で壮絶ＫＯ。これを皮切りに今季の巨人戦は６試合で１勝５敗、防御率５・０９と打ち込まれた。ただ、ここぞに踏ん張るのが、エースと呼ばれる由縁。宿敵に最後の大一番でリベンジを果たした。

　短い言葉に心をこめた背番号１４。日本シリーズでもその実力を発揮する。

虎・鶴岡、好リードで日本Ｓ導く「投手がしっかり投げてくれた」

）阪神・鶴岡が阪神移籍１年目にして、チームを日本シリーズへと導いた。ＣＳでは４試合でスタメンマスクをかぶり、好リード。「投手がしっかりと投げてくれた。次の舞台に向けて、しっかりと準備していきたい」。久保のＤｅＮＡへのＦＡ移籍にともなう人的補償で、タテジマに袖に通した。巨人にも在籍していた経験値も買われたが、獲得は大正解だったようだ。

虎・藤浪、高卒２年目で初の日本Ｓ進出「これで終わりじゃない」

阪神・藤浪は高卒２年目にして初の日本シリーズ進出。ナインと喜びながらもセレモニー後は表情を引き締め、帰りのバスへと乗り込んだ。「とりあえずは、よかったです。これで終わりじゃないんで」。１５日のファイナルステージ開幕戦で、７回６安打１失点。４連勝の流れを呼び込んだ。相手がソフトバンクだろうと日本ハムだろうとも、やることは一緒だ。

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