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2018.07.04
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カテゴリ: エッセイ
三歳になるかならないかのとき、私は缶ジュースをあけるツメを集めていた。

当時の缶ジュースには金属製の小さなカニのツメのようなものがついていて、それで飲み口の穴と空気抜きの穴を缶にあけるタイプのものがあった。

その小さなツメを10個ほど集めたある日、私は家の横にある川にそのひとつを落としてしまった。
それを拾うべくしゃがみ込んで手を伸ばした瞬間・・・
私は川に落ちてしまった。

季節は春先で山から降りてきた信州の雪解け水で川の水量が非常に多く流れが急な時期だった。

幼いながらにも流されれば命はないことは瞬時に理解できた。
私は川の縁に自生している長めの雑草の束をつかんで放さなかった。

もう息が続きそうになくなりもうダメかと思ったとき、私の手を誰かが掴んで水の上に顔を上げてくれた。


私が川に落ちた瞬間を目撃した兄が大声で泣いたので、その声の異常さに母が裸足で家の中から飛び出してきてくれたのだった。

凍えるような冷たさの雪解け水である。
それにほぼ全身を沈め、その上それをしこたま飲んでしまったので、私は凍え切ってしまっていた。

母はすぐに風呂を沸かしてくれた。
風呂が沸くまでの間、母は私の衣服を脱がせて毛布で私の身体を包み、その上から少しでも体温があがるように擦り続けてくれた。

そのとき私は母に、買ってくれたばかりのサンダルが流されたことを謝った。
母は「命があったんやからサンダルなんかどうでもいい。」と言ってくれた。





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最終更新日  2018.07.04 03:02:11
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