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2021.09.04
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カテゴリ: 問題提起
「弱いくせに!」
歯を噛みしめた状態で声を発しながら次男は中指を一段高く握った拳を三男の左腕に振り下ろす。
中指の第二関節部分が腕の骨の真上にあたる。
これは痛かった。三男は「ゔゔ」とうねり声をあげてしまう。
声をあげるとそれはダメージがあることを知らせることになるので三男はいつも声を出さなかったがこのときはダメだった。

もちろん2発目が同じ場所に振り下ろされる。
が、今度はなんとか声をあげずに耐えた。
3発目も耐えた。

次男は4発目を振り下ろす前に、「弱いくせに!この手ぇどけろ!」と言いながら自らの左手で三男の左腕を掴んで強引に横にズラした。


コタツの骨組みに押さえつけられたままの三男にはもう身動きが取れずにどうしようもなかった。

それをいいことに次男は三男の左頬を容赦なく攻撃する。
「弱いくせに!」「弱いくせに!」「弱いくせに!」と歯を噛みしめた状態で言葉が1回ずつ発せられる度に左頬に拳が振り下ろされた。

・・・

このようにもうどうしようもない体制で攻撃を耐えきらねばならないとき、三男はいつしか自分でも怖くなるほど冷静になる自分がいることに気付いてもう何年にもなる。
このときも例外ではなかった。
どう説明すればいいのかよく分からないが、どこかそんな自分を俯瞰でみるような感じになるのだ。

あるいは、これは自分ではない、これは事実ではないと思うことによって心を防御しようとしているといっても良いかも知れない。

このときは、まずは左頬に振り下ろされるパンチの数を数えだした。
しかし長続きはしなかった。
12発か13発目まで数えてバカらしくなってやめることにした。


が、思い当たることはない。
ひとつあるとすれば、存在しているということ、生きているということだろうと思う。
また言葉通りに弱いからだとも思う。
そうなると弱い人間でも平和に笑顔で生きていける世の中なんて本当にくるのだろうかという疑問にいきつく。
悲しいかなその答えはNOだとの結論は瞬時に出る。


これで殺されたとしても、せめて絶命の瞬間は楽しく嬉しい思い出の中にいたいと思うのだ。





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最終更新日  2021.09.04 00:46:17
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