空腹ラッコの雑記帳

空腹ラッコの雑記帳

2006/01/08
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カテゴリ: 音楽
 この場所での暮らしの終わりに備えて、準備に少しづつ手をつけながら、ふと考えることがあります。この地でやり残したことはないか、戻ったらどんなことが起きるだろうか、などなど。

 そんなことを考えながら思い出すのは、2度目の海外勤務のことです。
 帰国後、1つの曲が私にとって特別なものになりました。シューベルトのハ長調交響曲。7番→9番→8番と番号が変遷した最後の大交響曲です。

 あのとき、任地は緊張状態にあり、持参できるものにも限りがありました。そのため、結果的には赴任時を通じ、音楽を聴くことを封印することとなりました。

 帰国して、音楽に接する機会もふんだんにある生活にもどりましたが、赴任前とは比べ物にならないくらい醒めてしまっていました。CDを聴く気にもなれず、ましてや新しいものを買う気にも、演奏会に行く気にもなりません。あれほど好きだったのに自分はどうなってしまったのだろう。自分のどこかが乾いてしまったのだろうか。そんなことを思いつつ寂しさを覚えてしまいました。

 2~3ヶ月後、CDショップに行けば気が変わるかも知れないと、足を運びました。あれこれと手に取りながらも、心引かれるものに出会うことなく、時が過ぎていきました。
 ふと流れている曲がシューベルトのハ長調交響曲であることに気づきました。第1楽章が終るところで、すぐに第2楽章が始まりました。何年ぶりに聴くだろうと考えつつ、あの有名な主題に耳を傾けました。中間部に入ったとき、不意に心の中に何かが流れ込んでくるような感じがしました。自分の中の乾ききったところがうるおされていくような感触。それを感じながら、ああ帰って来たんだと、今更ながら思いました。

 その後も、音楽との距離が元通りになるには時を要しましたが、そのきっかけを作ってくれたこの曲への思いは、以前と比べ物にならないほど深くなりました。

 今回は、あのときのような制約もなく、音楽との間に断絶はできていないと自分では思っています。戻ったあと、何かの曲が忘れられないものとなるでしょうか。






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最終更新日  2008/09/07 03:47:16 PM


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