空腹ラッコの雑記帳

空腹ラッコの雑記帳

2006/01/08
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カテゴリ: 音楽
 シューベルトのハ長調交響曲について思い出を書いた機会に、この曲について感じていることをまとめてみました。

 以前から好きな曲の一つでした。初めて聞いたときからスケールの大きさと、シューベルトでなければ書けない魅力にあふれた旋律を併せ持つことに惹かれていました。シューマンがこの曲を発見した直後に執筆した紹介文を知ったときには、それまで漠然と感じていたこの曲の魅力が文章化されているような気がして、うなずきつつ読んだものです。

 自分なりにこの曲の魅力を要約すれば、大きな器の中に、美しい素材がいっぱい盛りつけられているところ、というでしょう。緻密な展開といった、糸を織り上げるような技の跡はあまり見られませんし、所々には、詰め物的な部分と感じるところもありますが、のびのびとしたおおらかな配置が他の曲にない魅力に思えます。

 他方、感興の赴くままに無秩序にばらまいたとも言えず、例えば、付点リズム、同音反復がこの曲の全楽章を通じて満ちあふれており、これらの単純な音型が曲全体の統一感も与えていますし、時には非常な効果をあげていて、工夫が空回りしてはいないという手ごたえを感じます。

 第1楽章冒頭の旋律がそれ限りにならないのも、個性的です。提示部の第2主題部後半では、同じ音型が繰り返されこの部分の頂点に至りますが、この音型は序奏主題の重要な音型(第2小節等)と共通しているように思えます。この部分は展開部でも再登場しますが、こうした扱いは冒頭の旋律を第1主題より優先して展開と終結に活用した「未完成」第1楽章と共通しており、興味深いところです。

 興味深く思っていることをもう一つあげると、トロンボーンが実に自然に使われていることです。ベートーヴェンにとって、トロンボーンが、ここぞというところで用いられ、劇的な効果を上げていたのに対し、シューベルトは、「未完成」やこの曲でそうした気負いを持たずに、他の楽器と同じ扱いをしているように思えます。また、「未完成」での役割が低音や和声に徹していたのに対して、この曲では、トロンボーンの持ち味を生かした扱いが目につきます。例えば、第1楽章で先に触れた音型を単独で繰り返しているのはまさにこの楽器ですし、第2楽章の中間部で低音を弦楽器と交替で奏でるところなども、斬新な使い方だと思います。

そうした技術的なところもさることながら、やはりこの曲ならではの胸が熱くなるようないじらしさや、より高いところを仰ぎ見るようなあこがれが、そこここに感じられることが、私にとって、何度となくこの曲を聴いてきた最大の理由といえそうです。忘れられない箇所となった第2楽章の中間部だけでなく、第3楽章のトリオ、第4楽章の展開部(第2主題が低弦とトロンボーンで強奏されるところなど)など。

 これからもこうした所に出会いたくて、この曲を何度も聴くでしょう。





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最終更新日  2008/09/07 03:49:09 PM


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