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「時計仕掛けの歪んだ罠」アルネ・ダール著田口俊樹=翻訳 小学館文庫 2020年7月12日発行原題 utmarker ARNE DAHL*「utmarker」は名詞「utmark」(アウトマルク)の複数形 または複数形です。 「境界の外にある土地」「村落から離れた共同の未開拓地(外牧)」や 「周辺地域」「辺境」を意味します。 )時計仕掛けの歪んだ罠 [ アルネ・ダール ]■あらすじ■1年7か月の間にスウェーデン国内で起きた、3件の15歳の少女失踪事件。ストックホルム警察犯罪捜査課のサム・べリエルは同一人物による連続殺人だと主張するが、上司はそれを否定しまともに取り合おうとしない。しかしべリエルの主張の裏には、彼だけが知っている根拠があった。そしてついに彼は、容疑者へと辿り着く。だが尋問に臨んだべリエルを待ち構えていたのは、予想を遥かに超える驚愕の事実だった――。『靄の旋律 国家刑事警察特別捜査班』の著者によるスウェーデンNo.1ベストセラー小説がついに上陸。衝撃のサスペンスシリーズ第一弾!■感想■一言で表すなら「過去が追い駆けて来る恐ろしさ」かな。これすらネタバレになってしまうのよ。色んな事が入り組んで繋がっているものだから、何を書いてもネタバレになっちゃうのよ。読み応えは重た過ぎるほどで、しかも序章に過ぎないのよ。認知力も読解力も視力も衰えた私には難儀であった。でも久々に凄いのを読んだ手応えが十分だった。ただ、余りにも入り組んでいるので、始めの3分の1は何が何だかさっぱり理解出来なくて、主人公のサムエル(サム)・べリエルの行動や事件現場に自転車で現れる女に至っては雪崩のような疑問符に襲われ謎が謎を呼ぶ展開に読む気力を失いそうになった。そしてちょいちょい挟まれる、べリエルの少年時代の不穏な記憶とも相まってどんどん置いてきぼり感が膨らむ。もう嫌になって来た頃に、それでも他の人達の描写や事象・展開の緻密さやきっちり描いてある文章力に引きずられ頑張って読んで行くと、突然逆転して追う側から追われる側になり、一つずつ伏線回収してカチリカチリと事象と行動の意味が繋がって来てワクワクした。と思った所で自転車女ナタリー・フレーデンとの逃走劇になる。ただしただ逃げるのではなく、事実を把握して攻勢に出るための逃走である。この先はネタバレになるので(知りたくない方は読まないでね)しかしここまで書いてもまだまだ先は遠いのだ。べリエルとナタリーこと公安警察の潜入捜査官モリ―・ブルームによる捜査、推理が始まる。そうなのよ、自転車女は公安の捜査官だったのよ。本当になんてこった続きで理解するのがやっとだった。若い頃ならすんごく楽しめただろうなあ。今でも十分楽しんだけど。肝心なのは誘拐された少女達を探す事で、2人は血眼になって探すのだが、これが絶望に次ぐ絶望で、現場の描写は常に緻密で気持ち悪い(笑)ねっとりした完璧な証拠隠滅の作り上げられた現場。気持ち悪かったし、湿度高めで気温低めで陰湿な感じが付きまとう。だけど主人公二人が行動的で判断と決断と行動力に優れているので気持ちが良かった。とにかく少女達を見つけたい。規律どころじゃあない。しかも最後の最後に「続く」が出て来る。終わらないんである。少女誘拐犯を捕まえて解決したかのようで、謎はまだ終わらないまま残っている所がある。続編は他館資料で取り寄せていただいたが、エネルギーを使い果たしていてあの濃厚な世界にまた踏み入る勇気が出ず、1ページも読まずに返したのだった。力が溜まったら続編も読んでみたい。べリエル&ブルームシリーズは6冊出ているが、日本で翻訳出版されているのは2作目の『狩られる者たち』まで。たった2冊なんだな。沢山書いているのに、この2冊と刑事警察特別捜査班の1冊だけでもったいないな。主要登場人物はみんな好きだった。読み応えたっぷりの凄い1冊だった。――2026年5月15日読了――
June 16, 2026
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