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《且(か)つ今囘の亊件として之を論ずれば畢竟(ひっきょう)朝鮮内政の改革とは素(もとも)と日淸兩國の間に蟠結(はんけつ)して解けざる難局を調停せんが爲めに案出したる一箇の政策なりしを亊局一變して竟(つい)に我國の獨力を以て之を擔當せざるを得ざるに至りたるものなるが故に余は初より朝鮮内政の改革其亊に對して格別重きを措かず又朝鮮の如き國柄が果して善く滿足なる改革を爲し遂ぐきや否やを疑へり》((陸奥宗光『蹇蹇録』(岩波文庫)、 p. 46 )
(一方、今回の事件としてこれを論ずれば、要するに朝鮮の内政改革とは元々、日本・清両国間でわだかまって固まり解決できない難局を調停するために案出された1つの政策であったが、情勢が一変し我国が独力でこれを担当せざるを得なくなったので、私は初めから朝鮮の内政改革自体に対しては格別重きをおかず、また、朝鮮のような国柄が果して善く満足なる改革をなし遂げることができるかどうかに疑問があった)
自らの意思と責任において<改革>を行うと言うのならよい。が、他国が介入し、自分たちが必ずしも望まぬ<改革>をしたとて、うまく行くわけがない。
《然(しか)れども朝鮮內政の改革は今や外交上一種の活問題となり我政府は兎も角(ともかく)も之が實行を試ざるを得ざることゝなりたれば我國朝野(ちょうや)の議論が如何(いか)なる事情源因に基きたるが如きは之を問ふに及ばず兎に角此一致協同を見たるの頗(すこぶ)る內外に對して都合好きを認めたり》(同)
(しかし朝鮮の内政改革は今や外交上一種の活問題となり、日本政府はともかく実行せざるを得なくなった。朝野の議論がどんな内容を抱えていようと、大局的に世論の一致を見たのはまことに好都合であった)
朝鮮を改革するやせざるやで意見がまとまらず、閉塞状況に陥るのが最悪だ。最善だったかどうかの判断は歴史に委(ゆだ)ねるしかない。ともかく朝鮮を改革するということで意見の一致を見たのであれば、後は最善を尽くすだけだ。
《餘は此好題目を假り已(すで)に一回破裂したる日淸兩國の關係を再び調和し得べきか若(もし)又終(つい)に之を調和する能はずとせば寧(むし)ろ因(よっ)て以て其破裂の機を促迫すべきか兎も角も陰々たる曇天(どんてん)を一變(いっぺん)して一大强雨を降らすか一大快晴を得るかの風雨針として之を利用せんと欲(ほり)したり》(同)
(私は、このよい題目を借り、一度破裂した日清両国の関係を再び調和することが出来るのか、もしも、あるいは、結局これを調和することが出来ないとすれば、むしろ破裂させることを激しく迫るのか。ともかくどんよりと曇った空を一変し、豪雨を降らせるのか、雲一つない快晴を手に得るかの風雨計としてこれを利用したいと思ったのだ)
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