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その日は三郎太らからは何の知らせも無く過ぎ、次の日もそろそろ夕餉と言う刻に三郎太と平太が道場の母屋に顔を出した。
「お腹が空いた、今日の菜は何」
平太が家に入るなり叫ぶ様に言った。
「おぉ、ご苦労様でした、伸び盛り故にさぞやお腹も空いた事でしょう」
お久が二人を労い平太に答えた。
「こいつは昼餉も儂と同じ位食べているんですよ、お久様、お佐紀様・・・お雪ちゃんはもう馴染んだ様だ」
三郎太が平太の大食漢を漏らした。
「母上の言われた様に平太殿は伸び盛りですからね」
お佐紀が平太を弁護する様に言った。
「そんでお雪ちゃんはどうな、慣れたかい」
平太がお雪に問い掛けた。
「平太さん、お気遣いありがとう御座います、まだまだです、お二人の様には上手く出来ません」
「この二人は特別だよ、手本するのは良いが同じ質と速さは無理な話だ、精々真似てみる事だね」
「はい、平太さん」
「ほんとだよ、この二人は直ぐにでも料亭の女将さんが出来る位に手際が良いんだ」
「はい、精々真似ます」
「あらあら、平太に褒められたわよ、佐紀、菜を増やしてあげましょうね」
「はい、母上」
その刻、遠くから声が聞こえた。
「お~い、二人共、早うここへ来い、其方らがそこに居ると飯の支度が遅れるじゃろが」
小兵衛の邪魔をせずに囲炉裏端来いとの声が聞こえた。
「爺ちゃん、機嫌が悪いのか」
「平太~儂の機嫌は良いぞ、じゃが飯が遅れると悪うなるのぉ~」
「うへ、耳が良い爺様だ」
と小声で言い大きな声で返事をした。
「は~い、今参りま~す」
三郎太と平太が居間に入ると囲炉裏の周りに人々がいた。
そこには小兵衛と龍一郎は勿論、船宿・駒清の主夫婦の清吉とお駒、料亭・揚羽亭の女将のお高、南町奉行の嫡男・大岡誠一郎、平太の妹・舞も居た。
「皆さんお揃いとは何か御座いますので ??? 」
「何ね、私が昼間にご機嫌伺い参りましたのさ。
お雪ちゃん・・・でしたっけ可愛い娘がいるじゃないですか、それで訳を伺っている内に平太が任に着いているとお聞きしましてね。
じゃあお雪ちゃんを皆に紹介しようと声を掛けましたのさ。
別に止め立ても釘もありませんでしたのでね、何か手伝える事は無いのかい」
お駒は最近、本業の船宿の女将に専念していて、どうも鬱憤 ( うっぷん ) が溜まっている様だった。
「お駒、平四郎とお峰はどうした、遅れているのか」
「それが二人には繋ぎが取れませんでした」
「ん~ん」
小兵衛の問いに皆を集めたお駒が応えた。
「申し訳ございません、お二人には我らの交代要員になって頂きました。
断りも無く申し訳も御座いませぬ」
三郎太が「下賎の辰」の調べを平四郎とお峰に願ったと答えた。
「して、何故に二人に願うたな」
「はい、龍一郎様、お二人は的 ( まと ) の悪評を一度ならずも噂に聞き探索していた様で御座います」
「何、先を越されたてか」
「はい、ご隠居、只始めたのは三日前からだそうで、まだ大した知らせも無いそうで御座います」
「それで其方らが見張りに行った処で会うた訳じゃな」
「はい、左様で御座います」
「父上、その先は皆が顔を揃えてからに致しましょう」
「おぉ、そうじゃのぉ、でかいのがつっ立っとらんで、ま~ぁ座れ・・・小さいのもな・・・う~ん、平太、背がまた伸びたか ??? 三郎太の隣に居ると小さく見えるが儂と変わらぬ位になった様だのぉ~」
「爺様、知らぬは本人ばかり成り・・・と言う言葉を知っているよね」
「おぉ、知っとるぞ、舞・・・うぬ、平太の背は儂を超えたか、それを皆が知っておると言う事か」
「あた~~り~」
舞が矢場の娘の様な声を上げた。
小兵衛が立ち上がり一旦座った平太を立たせて背比べをした。
小兵衛は平太の頭の上に手を乗せその手を自分の方へ引いた・・・頭の上を過ぎてしまった。
今度は自分の頭の上に手を乗せ平太の方へ移動させた・・・平太の髪に触れた。
「儂が五尺二寸 ( 約 158 センチ ) のはずじゃから平太は既に五尺三寸 ( 約 160 センチ ) はあろうのぉ~・・・まだまだ伸びそうじゃ・・・父親の清吉は儂と変わらん、母親のお駒の血かのぉ~お駒は女子にしては大きいからのぉ~・・・それとも始終三郎太と居るからかのぉ~」
因みに三郎太は六尺三寸つまり現代風に言えば 190 センチを超える大男である。
その時、廊下を台所から居間へ歩く音が聞こえた。
「あの音がその内聞こえん様になる訳じゃのぉ~」
「それまでには刻が要りましょう、増してや気配ともなればまだまだ先の話ですね」
小兵衛の嘆きとも取れる言葉にお駒が反応した。
「失礼致します」
「お雪、ご苦労じのぉ」
「いいえ、まだまだお二人のお役に立てておりません」
小兵衛の労いの言葉にお雪が応えた。
お雪は手に持っていた皿と箸立てを囲炉裏端に置いて台所へ戻って行った。
舞と平太が料理運びの手伝いにとお雪を追って台所へ向かった。
「私の元で行儀一般を教えましょうか、小兵衛様」
「それも良いのぉ」
「行儀を習うだけでしたら私もお役に立てますが」
「おぉ、お高さんも手伝うてくれるか、どうじゃな、龍一郎」
お駒に次いでお高も名乗りを上げ小兵衛が龍一郎に尋ねた。
「あの娘・お雪は佐紀が見出しただけに稀に見る逸材です、心身ともに並外れております。
身体は幼い頃からの鍛錬、心は家が貧しいが故に鍛えられております。
私は三月程、山へ送るつもりです、どうですか、暫く皆も山修行に行っておりません・・・で皆でどうかと思いますが」
龍一郎の言葉に鬱憤の溜まっていた皆が喜色満面になった。
龍一郎は皆の顔を診て安心した、辛いはずの修行を待ち望む心があれば心技体の上達が見込まれるからである。
「辰巳屋の一件が片付き次第と思うておるが、支障のある者はおるか」
「・・・」
「・・・」
皆が周りを見渡した・・・誰も異論は無かった。
遅ればせながらお高とお駒も台所へ向かった。
お久を先頭に料理が運ばれて来て平太が持って来た鍋が囲炉裏の自在鉤に掛けられた。
深皿、小皿、箸が順々に渡され皆に行き渡り、お高とお駒の手により自在鉤に掛けられた鍋からごった煮が皆の深皿に次々に取り分けられた。
お雪はお櫃からご飯茶碗に山盛りのご飯を次次によそい、盛られたご飯茶碗が継ぎ継ぎに渡されて行った。
皆に行き渡った処で小兵衛の「いただきます」の言葉に次いで皆が唱和し食事が始まった。
早速、話の続きを小兵衛が始めた。
「お高さんの処と清吉の処は何方が山に行かれるかな」
「亭主も行きたがるでしょうが今回はお店番をお願いしお花を伴いたいと思います」
「わっしの処は四人だけですな、板前がまだまだ未熟でして板長の参加は無理で御座います。
本人は悔しがりましょうが、かみさんは参加するかもしれませんな」
「龍一郎、道場の守番は誰にするのじゃ」
「父上に願います」
「何じゃと、儂は山に行けぬのか、三郎太、平四郎・・・其方でも良いではないか」
「今回の趣旨をお忘れですか・・・お雪の修業で御座います、お雪と歳の近い舞、平太の参加は必定、となれば相方である三郎太、誠一郎殿が参するは必定、私が行かねば皆の次の階段を登れますまい・・・父上が参する手は平四郎殿に願うのみで御座います」
「平四郎にか・・・そう言えば其方の交代と申したが平四郎はどうした、お峰はどうした」
「では、それも含めて三郎太の話を聞きましょうか」
「旦那様、その前に些細な事では御座いますが確かめたき事が御座いますが宜しいでしょうか」
「些細な事、何かな、佐紀」
「平太は何か申しましたか・・・で御座います」
「其方はどう思うておったな」
龍一郎が佐紀に問い返した。
「はい、そろそろ何も言わぬ様になっても良い頃と・・・」
「うむ、其方の願いは叶うたぞ・・・平太、これまでの様に舞に台所を手伝うて居らぬ文句も問いも何故にせなんだな」
「はい、正直申しまして喉まで文句が出て参りました、がこれまでに何度もお佐紀様、龍一郎様に考え不足、読みの浅さをご指摘頂いておりました事を思い出し、まずは思い留まり考えました。
まずは現状を把握せよとの教えに従いました、いつもは台所を手伝う舞が居間に居る事、そして同じく手伝うはずのお駒さん、お高さんも居間にいる事、新たにお雪ちゃんが加わった事・・・これらを合わせればお高さん、お駒さん、舞が何時もの様に手伝おうとしたがお久様かお佐紀様が断りの言葉を述べた・・・訳はお雪ちゃんが早く仕事に、この家に慣れて貰う為・・・と推察致しました。
それ故そのまま舞の事には触れずにおりました」
「見事じゃ・・・さて、三郎太、平太、何処で平四郎殿に合うたか、から聞こうか、がその前にそろそろ降りて来てはどうだ、お有」
龍一郎の言葉に誘われる様に小皿と箸が準備され空いた席にお有が降り立ち座り込んだ。
「やはり龍一郎様とお佐紀様は欺けませんでしたか」
「うむ、お有、其方の技前見事じゃ、三郎太、平太の素知らぬ素振りも見事であった・・・佐紀が空席を作るまで他の者たちは気づかなんだ様じゃ・・・だが何故かお雪は其方の気配を感じて居った様じゃ、どうだな、お雪」
「・・・はい、人が居るとは思いも寄りませんでしたが何かが居る・・・と感じておりました」
「佐紀、其方の眼力大したものじゃ、でかした、お雪、我らは、かように普通の家では無い・・・どうじゃ馴染めそうかな」
「佐紀様には失礼かと思いますが辰巳屋よりもこちらの方が私に合っている様です、第一面白いです」
「面白いとは」
「行儀作法も身に着けたいのですが武術も身に着けたいと思っておりました。
ですが無理だと思っておりましたので嬉しいのです、ぜひ私を鍛えて下さい」
「何故に、お百姓の其方が武術をと思うたな」
「噂で近隣の村々に夜盗や無頼の者たちが現れたと聞いておりました。
そして私も無理やり奉公に出されました。
本人の思いを無視して力で脅す者たちを許せませんでした。
ですが女子の私一人でどうなるものでも無いとも思ってもおりました」
「良き事では無い、他人に力と銭で無理強いする事はのぉ~。
じゃが、其方だけでは無い、それが横行しておるのが日ノ本の今の現状じゃ。
何処でも起こっておる事でな、残念な事よ。
して其方が武術・剣術の力を得たならばどうするな」
「・・・私の在所だけを考えていました」
「其方の在所をどうするつもりなのじゃ、無頼の者たちを次から次と何人も何人も何時なんどき来るやも知れぬ・・・其方一人でどうにかなると思うか」
「・・・」
「其方が我らの家族となる以上、其方の生家が立ち行く様にする事は確約しよう。
じゃが在所の村全体は無理であろう・・・な、それは日ノ本全域を世直しするに等しい・・・出来る事なればそうしたい・・・がのぉ~」
龍一郎とお雪の会話を皆は神妙な顔で聞いていた。
静寂を破る様に三郎太が話始めた。
「私どもはまず町医師の処へ参りました、小箱の中身を確かめに参りました。
中身は朝鮮人参で御座いました、平太の働きで御座います。
平太は人参そのままでは怪しまれると髭を一本持って参りました」
平太が取って来たと言う人参の根の一部を三郎太が懐から取り出した手拭いを広げて見せた。
龍一郎がその根の一部を手に取ると仔細に調べ、それを皆が興味深げに見ていた。
「あくどいのぉ~、偽物じゃ」
「何、偽物じゃと、龍、間違い無いか」
「はい、父上、間違いなく偽物で御座います」
「何と、何と、長崎物ではあるまい、闇の物じゃな、それで偽物とは確かにあくどいのぉ~」
「爺々、闇の物とは密貿易と言うものか」
「平太、そうじゃ、幕府が認めておる長崎物ではあるまいな、正規の商いならば偽物はないはずじゃからのぉ」
「爺じは頭が良い」
「おぉ、爺じは頭が良いか、舞」
「うん、良い、良い」
舞は時々幼い子の様に小兵衛に語り掛けて小兵衛を喜ばせた。
「他にこの様な物も平太が持って参りました」
三郎太が半紙にくるまれた物を龍一郎に渡した。
龍一郎は半紙を開いて呻いた。
「やはり阿芙蓉じゃな」
「禁制品と言う事か」
「薬にもなりますが、習慣性が生まれやがて廃人になります、只の町医師が持つ物ではありませぬな」
「どんな病に利くのですか龍一郎殿」
「はい、母上、何の病にも利きませぬ、痛みを無くすると言うか忘れさせるのです」
「では、その医師は痛み止めに使っているのですね」
「母上、その医師が病の者の痛みを和らげる為に使うているかどうか、人参も偽物と知らずに使うているかは三郎太たちに調べて貰いましょう、急ぐ事では無いぞ、三郎太」
「はい、畏まりました」
「それで平四郎殿とは ??? 」
「我らは町医師の後、金貸しの処へ参りました、まずは周辺の確認をし見張りに最適な寺の屋根にて見張っておりましたら平四郎どのから声を掛けられました。」
「三郎太、忍びの其方に言うのも何じゃが、見張りに最適な処は忍びの心得のある者には一番目立つ処じゃ」
「平四郎様・・・肝に銘じます、処で平四郎様も辰三を見張っておられますか」
「あぁ、最近巷で頓に評判が良くない故に調べる事にした、三日になる、其方も辰三と言う事か」
「はい、それが・・・」
三郎太は龍一郎から聞いた経緯 ( いきさつ ) を平四郎とお峰に語った。
「成程のぉ~、あの辰三ならばあり得る話じゃ、我らの調べた処では金貸しだけでは無い。
無法者や腕の立つ浪人どもを集めて縄張りを広げている。
さらには人買い、下賎、そしてどうも阿芙蓉にまで手を出している様でなぁ」
「阿芙蓉とは聞き捨てなりませんな、仕入れ先まで掴んでおりますか」
「そこじゃ、奴には直接手に入れる術 ( すべ ) は無い様に思う、故に誰ぞから手にしているはずなのだが・・・まだ解らぬ、処で三郎太、其方、吉原に伝手 ( つて ) はあるか」
「吉原と申しますと遊女のいる吉原で御座いますか」
平八郎と三郎太はそれぞれの横にいるお峰とお有を気にしながらも話を続けた。
「その吉原じゃ、貧乏浪人から貧乏大名に仕官した身ではとんと縁が無くてな」
「私も元は抜け忍、銭にはとんと縁が御座いませぬ」
「お二人とも銭さえ有れば行ったと言う事で御座いますか」
お峰が話し合う平四郎と三郎太に問うた。
平四郎と三郎太がお峰を見ると二人を睨み付けており、隣のお有も同じ目付きをしていた。
「大人の事情は分からないが見張りの最中に怒りや殺気はいけませんよ」
平太が四人の仲を取り持つ様に話に割って入った。
「それで、その吉原がどうしたのですか」
「まだ詳しくは解らないのだが辰三が吉原の妓楼の一軒を買い取ろうとしている様でな」
「本当ですか、何でも噂では吉原の者以外には店は売らないとの事でしたが」
「本当か・・・う~ん、ではこちらは噂に過ぎぬのかのぉ~大金もいるしのぉ~」
「妓楼にもよりましょうが少なくて三千両、大所では二万両でも済みますまい・・・が上手くすれば元手は直ぐに取り戻せましょうな」
「そうか、では無い事も無い話じゃな、どちらにせよ合わせて探ろうか」
「はい、ですがこの員数は不要でしょう、交代ではいかがですか」
「良いだろう、我らは今来たばかり故これから我らが変わろう」
「解りました、お願い申します、夕餉は大丈夫ですか」
「準備はして来てある、明朝変わろうか」
「はい、お願い申します、龍一郎様にお伝えする事は御座いますか」
「先程話した事以外には・・・・・・無理やり奉公に出された者、身売りされた者は一人だけでは無いと言う事、薬種問屋の金科堂と町医師の中居相順の処にも顔を出すと言う事かな」
「既にその町医師の所へは探索に参りました、証拠の品も手に入れて御座います。
薬種問屋ですが腕の立つ用心棒がいると言う事で龍一郎様が探る手筈になっております」
「そうか、既に・・・手回しの良い事よ」
「では、我らは此れにて失礼致します」
「では」
「では」
三郎太、お有、平太の三人が消え、平四郎とお峰が見張り番に変わった。
「平四郎は此処に居らぬ訳は解ったが・・・」
「父上、何か気になる事でもお有りですか」
「龍よ、儂は吉原の話が気になってなぁ~」
「はい、私もそれは気になりますが、まずは阿芙蓉の卸元を探る事かと存じますが」
「三郎太、平四郎も其処までは解らぬのじゃな」
「はい、掴んでは居りませぬ」
「それを掴むまでは辰三には手を出せぬな」
「お前様、実家・辰巳屋に辰三が参りましたおりには、手を出しては成りませぬか」
「取引をして貰わねばならぬ故、辰三には成らぬ、が連れの用心棒や手下の者たちを懲らしめてやれ、それで我慢するのじゃな、まぁ今や其方に向かって来る者など居らぬと思うがのぉ」
「其方、一人で行くつもりか」
「お前様、私はまだ義理とは申せ母としてご挨拶しておりませぬ、私が同道致します」
「うむ、上手い口実を考え居ったな、お久、其方も鬱憤が溜まっておるか、どうじゃ龍」
「舞が残念でしょうが、ここは母上にお願いいたしましょう。
それと、お雪を一人で他出させぬ様にな、お雪も心して置きなさい。
面倒だの、申し訳無いだのはいかぬ、其方が拐かされた時の方が面倒じゃからな。
今や名の知れた橘の道場に手を出す者はおるまいと思うであろうが、力で他人を制して来た者どもは他人の力を測る事が出来ぬものでな、皆も心して置く事じゃ」
龍一郎の言葉に全面的に納得は出来ぬものの心に留め置く様に頷いた。
「三郎太、お有、平太、他に知らせる事が無ければ体を休めよ、平四郎殿との交代に備えて貰いたい、ご苦労じゃな」
「はい、平太、お有殿、何かあるか」
「御座いませぬ」
「ありませぬ」
「では、休ませて頂きます」
食事も茶も終わっていた三人が消えた。
不思議な事に忍びの様に三人が消えた事にお雪は驚きもせずに龍一郎を見詰めていた。
<つづく>加賀の若様 奮闘記 #345 <墨堤 散策> 2026.10.04
加賀の若様 奮闘記 #344 <町年寄り 奈良屋> 2026.04.09
加賀の若様 奮闘記 #243 <吉宗からの呼び… 2026.03.23