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2020.12.19
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カテゴリ: 自作小説-SF
< 初回の物理学会合 >-----#035


部屋の中には先程と同じ様に壇に向かって大勢の人が座っていた。

ヘーゲンを先頭に壇に上がりキャサリンたちが続いた。

「皆さん、世界中からわざわざお集まり頂きありがとう御座います。

皆さんは世界中から選ばれた物理学、天文学の研究者の方々です。

私の左側に物理学の皆様、右側に天文学の皆様にお座り頂いていると思います。

この会合は米国大統領が主導する特別プロジェクトです。

皆様には秘密厳守契約の書類にサインを頂いております。

それでは、本日の司会者をご紹介致します、このプロジェクトの大統領代理・ミスター・サイライの通訳兼秘書のミス・キャサリン・ヘイウッドをご紹介します、因みに彼女の母は上院議員のミセス・ヘレン・ヘイウッドで議会の顧問として隣にお座りです。では、司会者に代わります。」

紹介されたキャサリンは立ち上がりマイクの前に立った。

「ご紹介頂きました、キャサリン・ヘイウッドです。

まず皆様には携帯、パッド、ノート型等の電子機器をこちらに提出して頂きます、勿論、代わりの機器を差し上げます、ご家族が使用している機器、テレビも含め全て交換致します。

勿論、盗聴・盗撮防止の処置です。

全ての電子機器の機能は最新です、間違い無く最先端の機器です、録画、録音機器に関してはウイルス等の有無を確認し新しい機器に設定致します。

ここで再度、確認です、皆様には秘密厳守契約の書類にサインを頂いておりますが、ここで抜けたいと言う方はご退席下さい」

キャサリンは会場を見渡した・・・が誰も立ち去る者は居なかった。

「では、これより、時計と電子機器の回収と代わりの機器をお渡し致します 。

受け取られましたらまず画面を見つめて左右の指の指紋登録をして下さい。

画面を見て頂くのは顔の登録と光彩登録です。

なお、誰かからの贈り物、記念品と言う事でしたら、このプロジェクトが終わりましたらご希望が有ればお戻し致しますので安心して全てお渡し下さい」

壁際に立っていた人たちが箱を持ち回収し後から付いていた人が代わりの機器を渡して回った。

127 名と大人数の為、多少の時間が掛かった。

受け取った人達が認証登録を始め、あちらこちらで驚きの声が聞こえた。

「機器を起動して頂ければ解りますがデーターはお使いの機器からサーバーに保管されご自分しかアクセス出来ません 。

ご安心下さい、これも既に御分りでしょうが今まで使っていた機器のデーターは全て移管されています 。 ハッキングだ、などとは考えないで下さい、便宜の為の超法規的処置とお考え下さい。

但し、データーの中に犯罪の痕跡が見つかれば関係機関へ通報されます。

皆さんが手にした機器に意識が行っている様ですので少しお時間を差し上げます」

キャサリンは部屋中を見渡し、皆が時計やノート・パソコンなどの機器に夢中で自分の話に集中出来ないと考え、暫く無言で様子を見ていた。

15 分程経つとチラホラと檀上を見つめる人が現れ 30 分経つと殆どの人が檀上を見つめていた。

キャサリンが頃合いとみて話を再開した。

「では、続きを初めます。」

「ちょっと待って下さい、質問があるのですが」

「何でしょうか」

「今、頂いた機器は何処の物ですか、私は電子機器が大好きです、世界中の最新機器を知っているつもりでしたが、こんな機器の話は聞いた事がありません、一体何処の機器なのですか、生産国の表記も製造者の表記もありません」

「最新機器と言ったはずです、使う事にご不満でしたら機器を置いて退出して下さい、貴方の元の機器をお返しします」

「・・・いいえ、不満はありません、質問はするなと言う事ですね、質問は忘れて下さい」

「どうぞ、質問はして下さい、但し全てに回答が得られるとは思わないで下さい。

では、話を続けます、まず、物理学者の方々に質問です、この世界で一番早い物早く動く物・物体・存在は何ですか」

最前列に座る重鎮たちに冷笑にも似た声と共に「光だろ」と答えが上がった。

彼女は冷笑を意に介さず質問を続けた。

「アインシュタインの法則、 E=MC 二乗の E はエネルギーですね、 M は質量ですね、では C は何ですか」

ここで前列に座る重鎮達が二派に別れた、一派は「光だ」、他の一派は「定数だ」であった。

他の中堅学者、若手学者達も同様に二派に別れていた。

キャサリンは檀上からその様子を眺めていて何人かの人が論戦に参加していない事に気が付き、その中の一人の若い女性に目を止めた。

キャサリンはその女性に友人、知り合いがいないのか、他の説を持っているのか・・・と気になった。

「そこの貴方、貴方はどちらだと考えていますか」

檀上からその女性に問い掛けた。

「・・・私は・・・現在の人間が発見していない粒子の運動速度だと思っています」

一瞬の静寂の後、罵倒する声が四方八方から発言した女性に浴びせられた。

キャサリンは静かになるまで待ち、下火になった頃に・・・

「昔、昔、地動説を言った人も今の様に罵倒されたのでしょうね」

キャサリンはそう言って部屋の隅から隅までをゆっくりと見渡した。

「次の質問です、光で音の速度を測る事が可能だとは私も解ります 。

では音で音の速度を測れるのでしょうか、光で光の速度が測れるのでしょうか、音で光の速度がはかれるのでしょうか、もし、光より早い物があったとして何で速度を測るのでしょうか」

誰かが意見を言ったが、それに疑問を投げかけ否定された、本人も自説を引っ込めた。

また、誰かが意見を言ったが、それも理由を説明し否定され、本人も自説を引っ込めた。

そんな事が何度もあり、静寂が訪れた。

「次は天文学者の方々に質問です 。

宇宙の始まりはビックバンだとの説が有力な様ですが、指先よりももっともっと小さな中に全宇宙が入っていたのですか・・・私は天文と物理の専門家ではありませんが、私の記憶の中にエネルギー不変の法則と言う言葉が有ります、全宇宙のエネルギーがどんな形で針の先程の中に入っていたのでしょうか 。

別の質問です、以前、木星は太陽になり損ねた惑星でもう少し質量が有れば恒星になっていたと聞いた事が有ります 。

処が近年の系外惑星の調査で木星の何倍もの質量の惑星が発見されています 。

それらは何故恒星になっていないのでしょうか 。

木星は質量がもっとあっても恒星には成れないと説が変わったのでしょうか 。

別の質問です、ブラック・ホールは何でも引き付けるとの事ですが、そのブラック・ホール誕生の前に二つの極から何かが放出されるのは何故でしょうか 。

引き付けない時間があるのでしょうか、ブラック・ホールになる前だから何か出る物が有っても不思議では無いのでしょうか、私には理解できません 。

引き寄せ、引き寄せ、その結果がブラック・ホールで有れば何かが出てくるはずは無い、素人の私はそう思います」

今度は誰も発言する人も無く皆が考えに落ちていた、天文学者だけでは無く物理学者も同様だった、宇宙の話ではあるがいろいろな説の基になっているのは物理の法則だからである。

「ここで一つの事実をお伝えしましょう、皆さんが驚く事で嘘だと言う事でしょう・・・。

光がこの世で最速と言う理論で兵器を作った結果、原子爆弾が作られました。

では、光が最速では無いと言う説で兵器を作ると結果はどうなるでしょうか ??? 」

キャサリンは考える時間を十分に取って続けた。

「皆さんには、私が述べた疑問に対する新たな理論を考えて頂きたいのです。

現行の理論は全て間違っているか、不足しています。

それはたった一つの間違いから始まっています。

皆さんにして頂きたい事は新たな理論、説を考えて頂く事です 。

再度の招集 直 は今の処、考えては居りません。論文の提出をお願いします。

月に一度の間隔で途中経過の報告をお願いします。

では、本日はここまでとします、ありがとう。

あぁ、先程の彼女、こちらに来て下さい」

キャサリンは驚く様な事実を述べると言いながら具体的な事を言っていないにも関わらず、

罵声も無く、拍手も無く只、静寂が続き暫くは誰も動かなかった。

檀上に居た人達が退室する途中で呼ばれた女性が合流し皆が部屋を出て行った。

​<つづく>​





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最終更新日  2025.06.21 21:18:32コメント(0) | コメントを書く


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