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2020.02.22
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52

去年の年頭に「神様の木に会う〜にっぽん巨樹の旅」という番組のことを話題にしたが、今年も続編のような「巨樹百景〜神様の木に会う」というドキュメンタリー番組をNHKが放送したようだ。
見逃したので、録画を妹に借りて観たが、またしても痺れるような映像の連続だった。

巨樹にもいろいろあるが、中でも幹周り15mを超えるあたりから、なにやら神々しさが増してくるような気がする。
今回の木で言えば、東根の大ケヤキ(山形県)や川古の大楠(佐賀県)、武雄の大楠(佐賀県)などは、映像で見てもその圧倒的なデカさに驚かされる。
武雄の大楠などは、幹の内部に八畳ほどの広さの空洞があり、武雄神社の宮司が中に入って祝詞を唱える絵を見ていると、木全体に霊妙かつ幽玄な気が漂っているような感じがした。

こうしたレベルの木というのは、地域の住民にとっても、なくてはならぬ存在と言えるのではないか。
東根の大ケヤキのように、それが小学校の校庭に生えていたりすると、なおさらのことだ。

だからこそ、住民の方でもそうした巨樹を守っていこうという思いは強いのではないかと思われる。

番組全体のテーマがそうした巨樹と人との絆みたいなことなので、「川棚のクスの森」の件は余計に考えさせられる。
下関市にあるこのクスの木は、日本三大樟樹の一つで、国指定天然記念物にもなっているほどの木なのだが、2017年の夏過ぎ頃から急に枯れ始めたという。
長期にわたり人為的に客土が盛られて土壌が酸欠状態になり、根腐れを招いたのが原因とされている。
樹木医が土壌の改良工事をしたりして回復を図ったが、効果なく枯れていったようだ。

ところが、2年後の2019年の夏頃から、この木の幹に胴吹きが見られるようになったという。
胴吹きというのは、木がピンチに陥った時、それまで芽生えないまま眠っていた休眠芽(潜伏芽)が、幹から吹きだしてくる現象のことである。
幹に大量の葉を茂らせ、復活の兆しを窺わせるこの川棚のクスを見ていると、樹木が本来備えている不思議な生命力に畏敬の念を覚えずにはいられない。
人が余計なことさえしなければ、たいがいのピンチなんて、木は自らの力で乗り越えるということだろう。


53

もう一丁、NHKドキュメンタリーの話題ということになるが、先日、「京都 山里の宿」(春/秋)という番組を録画で観た。


目玉はやはり、四代目当主の中東久人氏の摘草料理ということになるのかな。
野草から川魚、ジビエ、旬の野菜、木の実に至るまで、食材をすべて花背という自然の中で調達し、客にその自然そのものを味わってもらうということをポリシーとして、野趣溢れる料理づくりに励んでおられるその姿には、肩肘張ったり、気取ったりといったところもなく、かなり好感がもてた。

というか、主人自らが小さな籠を片手に野山に入って行って野草を摘む姿が、植物好きにはたまらなくグーなのだ!(ポエジーと言ってもいい。笑 )
のっけから、ミヤマカタバミ、ショウジョウバカマ、イワウチワといった花のクロースアップで始まり、やがて、セリ、ハコベ、フキノトウ、ヤブカンゾウの芽、ヨメナ、ツクシ、ヨモギ、スイバ、などなど、見ているだけで涎が出てきそうな野草のオンパレード。
私はこの番組をひたすら植物鑑賞という視点から見てしまった。

実際のところ、記憶に残っているのはほとんど植物がらみの映像ばかり。
その中でも、特に印象に残ったものを二つ挙げてみる。

近畿、中四国地方の山里では、「おつきよか (4/8 or 5/8 )」の日に、山の神を招いて五穀豊穣を祈願するにあたって、庭先に「天道花(てんとうばな/てんとばな)」を立てる風習があるらしい。
これは竹竿の先に季節の花を飾って、高く掲げるというもので、それが山の神の依り代になるという。

美山荘では、5月8日に、この天道花を立てる。
若女将が山で採ってきたツツジ、ガマズミ、ヤマフジ、ヤマブキを、大女将と共に、竹竿の先にくくりつけていく。
ガマズミなんて、秋に赤い実がなるイメージしかなかったけど、こうして見ると、白い花もなかなかイケるじゃない、というのが新たな発見。
最後に、豊作になるよう台風の目を切るという意味あいで、鎌を縛り付けて完成。
陽を浴びて宙に佇む天道花のなんと華やかなことか!



さて、天道花に限らず、おもてなしの一環として、床の間や庭先に、季節の花を生けるのがもともと女将の仕事の一つでもある。
でも、年中花が手に入るわけではない。
特に夏の終わり頃は、適当な花がなく困っていたという。
そこで、大女将が目をつけたのが「大葉朝殻(オオバアサガラ)」という植物。
5〜6月ごろ、フジの花に似た白い花房を垂れるエゴノキ科の落葉小高木で、葉にはサポニンが含まれるため、鹿などは敬遠するが、虫にはこれがご馳走であるらしい。
固い葉脈だけ残して、葉っぱを全部食べ尽くすので、しまいにはそれがレース柄のようになる。
これを大胆にも、そのまま生け花として利用しようというわけだ。
アクセントにノリウツギの小さな白い花を添えて。
もし葉っぱに虫がついていたら、虫付きのまま生けるのだという。
なんという数寄ごころ!
参りました。笑









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Last updated  2021.03.01 16:02:35
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