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2025.06.03
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先月、どういうきっかけだったかは忘れたが、ネット上でたまたまみうらじゅんのインタビュー記事に遭遇し、ちょこっと読んでみたところ、何故かしらその不真面目さに波長が合ってしまった。
このジジイ、わしと同じようなこと考えちょるなあ。
年はいくつなん?
調べてみると、同い年だった。 笑
ひょっとしてこいつは笑えるかもしれんぞ。
近頃、あまり笑ってなかったので、ちょうどいいタイミングだったのかもしれない。
というわけで、4月に出たばかりの『アウト老のすすめ』を買って読んでみた。

はじめは同じ武蔵美系ということで、赤瀬川原平の『老人力』みたいな路線の本かと思っていたのだが、実はこの本、「週刊文春」の連載「人生エロエロ」の記事に加筆、修正を加えてまとめたものらしく、その点は予想していたものとはだいぶ違っていた。

どちらか言えば、下ネタに特化した雑談って感じ。 笑
でも、予想に違わず笑えたので、まあいいか。

記事の数が多い(95)のと、読了後しばらく経っていることから、内容はだいぶ忘れてしまったが、それでも印象に残っているものがいくつかある。
今回は、その中からマイベスト3をチョイスして、感想めいたことをざっと記してみたい。

第3位 「君の名は…」

この記事は、親の仕事の都合でヨーロッパから日本の学校に転校してきた「ヴェロニカ」という少女の視点で語り始められる。
そして、最後はこんなふうに締められている。

「要するに、私の実がその犬のふぐり、いや、もうハッキリ言うわ。
犬のキンタマに似てるってことなんでしょ! 失礼だわ。
それに日本古来のイヌノフグリは現在、絶滅危惧種っていうじゃない。
それじゃこの先、私がキンタマの汚名を一手に担うってこと? もう、許せない。いつか必ず、ルッキズムで訴えてやるから!」


何故「オオイヌノフグリ」と呼ばれるようになったかがよくわかる。
その実が在来種の「イヌノフグリ」に似ていたからである。
でも、実際は、オオイヌノフグリの実はどちらかと言えばハート型で、イヌノフグリの実とはそれほど似てないという意見もある。

近頃はベロニカ・オックスフォードブルーという園芸種が出回っているが、こいつはオオイヌノフグリと花がよく似ている。
同じクワガタソウ属だし、学術名からもわかるように明らかに同族である。

でも、もともとこの植物には「天人唐草」とか「瑠璃唐草」という別名があるんだよね。
それが気に入らないのであれば、単純に「ベロニカ・ペルシカ」という学術名で呼んでもいいのではないだろうか。


オオイヌノフグリの実 Wikipedia より


第2位 「アウト老日記」

「今日は『夕陽のガンマン』を観に行った。当然、そのDVDは持っているが大画面で観るのは初めて。とてもワクワクした。
主演のクリント・イーストウッドは賞金稼ぎ。テンガロンハットにポンチョ姿。髭面で、やたらタバコを喫う。1960年代、大流行したマカロニウエスタン。憧れたのは、そのアウトローっぷりだ。それは当時のロックにも通じるところがある。」


みうらじゅん氏のイラスト

同い年だけあって、みうら氏のサブカルネタはほぼすべてが懐かしい。
わしも中学生の頃、テレビでマカロニウエスタンをよく観たものだ。
ジュリアーノ・ジェンマに、クリント・イーストウッドに、フランコ・ネロ。
中でも、リー・ヴァン・クリーフが助演を務めた『夕陽のガンマン』と『続・夕陽のガンマン』がわしのお気に入り。
当時は時代劇でも『無用ノ介』とか『木枯し紋次郎』みたいな賞金稼ぎや無宿者のヒーローが流行った時代。
そう、わしらの思春期はまさにアウトロー全盛の時代だった。
みうら氏も確実にわしと同じ時代の空気を吸っていたに違いない。

というわけで、「アウト老」というネーミングの源流はこのクリント・イーストウッドに代表されるマカロニウエスタンということになりそうである。
たぶんみうら氏は世間一般の老人像からは大きく外れた老人を目指しているのだろう。
名付けて、無法老人、あるいは無頼老人。
やっぱ、わしらの世代にとってカッコいいのは、若作りより、老けづくりだよなあ。 笑


第1位「切ないダンカン」




これはポール・サイモンがS&G解散後、初めてリリースしたソロアルバム『PAUL SIMON』のジャケット写真である。
このアルバムからは「母と子の絆」「僕とフリオと校庭で」「ダンカンの歌」の3曲がシングルカットされ、いずれもヒットしている。
わしはこの3曲のレコードをすべて買ったのでよく知っている。
みうら氏も同じ時期にこれらをよく聴いていたようだ。

で、話は「ダンカンの歌」のことであるが、みうら氏も言うように、この曲はS&G時代のヒット曲「コンドルは飛んで行く」に似たフォークロア調の演奏で、どことなく「アンデスの寒空が頭に浮かんでくる」ような切ない感じの曲調である。
ところが、歌詞を読むと、全然曲のイメージと違うのである。

「訳詞を読むと変な出だしに戸惑った。何と、ダンカンはひとりで壁の薄いモーテルに泊まり、隣の部屋から聞こえてくる悶え声になかなか寝つけない ー 。そんな歌なの!? 後半には群衆の前で聖歌を歌ってた彼女に誘われ、森の中で童貞喪失したんだって!」

これは洋楽ものにはよくありがちな話である。
同じ頃流行った「カリフォルニアの青い空」だって、和名タイトルや曲調に騙された人は大勢いると思う。
実はこの曲、田舎から成功を夢見て都会に出てきた若者が悪戦苦闘の末に夢破れ、自暴自棄になっている姿を歌ったものなんだよね。
「南カリフォルニアでは雨が降らないと言うけど、降れば必ず土砂降りなんだよ」
当時の中学生で、It never rains but it pours の意味をちゃんと把握している者がどれだけいただろうか。
もちろん、わしもようわかっとらんかった。 笑

先程挙げた「母と子の絆」だってそうだ。
田舎の中学生にとってはレゲエという初めてのリズムが真新しく、すこぶる心が踊った覚えがあるが、歌詞の内容はイマイチわからなかった。
何となく大切な人との別離がテーマになっているような気がしたが、何度も繰り返し歌われる
the mother and child reunion is only a motion away という歌詞の真意はずっと謎のまま。
ただ、インターネットを使うようになって初めて、この「mother and child reunion 」というフレーズの出どころがわかり、ちょっと唖然とした。
ポール・サイモン自身が語ったところによると、「Mother and child reunion 」というのは当時彼がよく行っていたレストランで出されていた料理名だという。
なんでも、それは鶏肉と卵の料理だったらしい。
日本で言うと、親子丼みたいなノリだろうか。
たしかに、鶏肉と卵って「母と子の再会」だよなあ。 笑
ちゅうことは、例の歌詞って、ひょっとして「母と子が(あの世で)再会するなんてことは、ほんのちょっとしたことなのさ」みたいな意味なのかもしれんな。





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Last updated  2025.06.03 18:20:53
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