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その中から一つ、特に印象的なものを選んでみた。
タイトルは A.E.I.O.U. というらしい。
どうやら、ドイツ語のある文章に使われている五つの単語の頭文字を並べているようだ。
その文章とはハプスブルク家のモットーである「オーストリアが全世界を支配する」というものらしい。
かつてヨーロッパで権勢を誇ったそのハプスブルク家も歴史の表舞台から姿を消して久しい。
この作品から読み取れるテーマがあるとすれば、「歴史の記憶、権力の興亡、そして知識の集積と崩壊」といったところではないだろうか。
この作品は荒廃した大地の上に置いてこそサマになるような気がする。
本棚に並べられた60冊の鉛の本はいかにも凄まじい戦火に晒されたという趣きである。
その本のあちこちからモロッコあたりで生えていそうなトゲのある枯れ枝(アカシアの類か?)がはみ出してきている。
これはおそらく忘却の象徴。
気の遠くなるような時が経過しているのかもしれない。
今、世界中の大都市にある図書館もいずれはアレクサンドリアの図書館と同じ道を辿るのではないだろうか。
ふとそんな思いが脳裏をよぎる。
メメント・モリという言葉があるが、キーファーの作品はさしずめメメント・エントロピーといったところか。
その圧倒的なまでに廃(すた)れ燻(くす)んだ色合いはエントロピーを忘れないために、つまり、この3次元がエントロピーの世界であることを忘れないために、折に触れて目にする必要があるのかもしれない。
やがてそのうち、それを見慣れた人の中から、エントロピー美学に目覚める人も出てくるだろう。 笑
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この石はわしの所有物ではない。
Happy Gift さんのショップサイトでこれを見つけた時にはすでに売れていた。
自分にとってどんなにタイプの石であっても、縁がなければ手に入れることはできない。
そんな当たり前のことを痛切に思い知らされた物品である。
何故この石にそれほどまでに惹かれるのか。
これが人気の(ナミビア)オコルス産フローライトだからか?
いや、それはあまり関係ない。
たとえこれがドイツ産とか中国産であっても、それはどうでもいいこと。
それにオコルス産といっても、ピンからキリまであるしね。
じゃあ、結晶の形とか、標本としての全体的なバランスとかがいいのか?
まあ、それもあるけど、一番はやっぱり色合いだね。
グリーンとブルーとパープルが夢見心地に混じり合っている。
まるでカラーレスのフローライトにセザンヌが水彩で色づけしたみたいな感じだ。
トドメはブルーのゾーニングかな。
これはちょっと珍しい。
これは CRYSTAL STAGE さんが2023年にXにおいて出品された標本である。
産地はコロラド州スウィートホーム鉱山。
ロードクロサイトとフローライトとクォーツの共生鉱物で、なかなかお目にかかれない逸品である。
現在、わしは石禁中の身なのだが、それでも、もしこのタイプがどこかのショップで出品されたりしたら、即飛びつくと思う。
まあ、憧れの石ってところかな。
でも、たぶん、そう簡単には手に入らないだろう。
まず、第一に、このタイプを狙っているコレクターがあまりにも多いということ。
きっと、わしが見つける前に他の誰かの手に渡るだろう。
もし速攻で売れないとすれば、それは誰もがおいそれとは手を出せない価格だということ。
実際、ロドクロの標本で100万超えなんてザラに見かけるし…
たとえサムネイルサイズのものだとしても、上にあげたスウィートホーム産みたいな石は相当な値段がつくはず。
所詮これは憧れるだけの高嶺の花なのかもしれない。
では、この石のどこがいいのか?
そう問われたら、やはり、取り合わせの妙と色合いだと答えたい。
ロドクロと言えば、南アフリカ産の鮮やかな赤が思い浮かぶが、コロラド産はご覧のとおり、淡いチェリーレッドというか、ほぼピンクに近い色をしていて、なんだかゼリーのようにみずみずしい。
さらにフローライトがアイスブルーやアイスパープルの透明感溢れる色合いのところに持ってきて、氷柱のようなクォーツが絡みまくり、涼しげなこと極まりないって感じ。
要するに、こんな石はスウィートホーム産以外にはないのだが、残念ながら、この鉱山も2024年9月に2度目の閉山が発表された。
ますますもって、この貴重な石はわしから遠ざかっていく…
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