数字の扉＆言葉の窓

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2004.11.25

「ばあちゃん！しっかりしろ！ばあちゃん！」
「ウ～ン」
「お、気がついたか。ばあちゃん。何があったんだ。」
「ヒッ。」
気がついたおばあさんは、目をこれ以上見開けないほど開いて、入り口の方を指差し、悲鳴のような声で言いました。
「クマが、クマが・・」
「ばあちゃん。何にもいねえよ。夢でも見たんじゃあねえか。」
「いんや。確かに、クマがおらのことを襲ったんじゃ。」
おばあさんは、そのときの恐怖を思い出し、ガタガタ震えだしました。

「そんなことは、お前に言われんでも、わしの方がよう知っとる。わしも生まれてはじめての経験じゃ。こんなとこまで、クマが来て、人を襲うなんて考えられんことじゃ。
しかし、わしが振り返ったら、そこにでっかいクマが仁王立ちでわしを襲おうとしていたんじゃ。わしは、あまりのことに、その場で気を失ってしまった。気がついたら、お前がわしを呼んでいたというわけじゃ。」
息子の清二、と言っても、もう５０過ぎの男だが、が差し出した水筒のお茶を飲んで、少し落ち着いたお鈴ばあさんが、言いました。
「それが本当なら、大変なことじゃ。早速、村長に伝えなくてはいかん。それにまだクマがここらにいるかもしれん。はやく里まで下りた方がええ。」
そう言うと、清二は、そのたくましい背中におばあさんをひょいと背負い、細い山道を急いで下っていきました。

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