2007年11月09日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
1. ベトナムは加工輸出型経済への脱皮を図る局面に来ている

3. 海外からの投資資金と貿易収支のバランスの維持が経済運営の鍵である


■今のベトナムが必要とするもの

 ベトナムはこれまでの庶民の草の根のレベルでの頑張りに依存する経済成長から、じっくり練られたプランに沿って加工輸出型経済への脱皮を目指す時期に来ています。それを実現する為には外国企業の生産拠点の誘致などを進める必要がありますし、 WTOのガイドラインに基づいて資本市場を開放してゆくことも必要です。さらに国内のインフラストラクチャーの整備も欠かせません。それはベトナムの経済がどんどん世界の経済ならびに資本市場に組み入れられてゆくことに他ならないのです。


■人材

 そういう社会的・経済的要請に対してベトナムが中国やインドに比べて明らかに劣っている点があります。それは国際的な人材、さらに経営学など最新の西欧流のマネージメント・ノウハウに精通した人材、マクロ経済や資本市場の仕組みを良く理解している人材などが不足している点です。華僑や印僑の末裔は欧米の最高教育機関で既に多数派(マジョリティー)を形成しつつありますしシリコン・バレーや米国東部の製薬会社、バイオ企業などにおける研究開発(R&D)の中核的存在として活躍していますまた、ウォール街でもリサーチ・アナリストやエコノミスト、M&Aの戦略立案などの実務に携わっている専門家は沢山居ます。彼らはそういう現場で学んだベスト・プラクティス(最新のノウハウ)を中国やインドに持ち帰ってこれらの国の企業風土を刷新している最中なのです。

 ベトナムにはそういうトップクラスの人材が欠けています。ベトナムは歴史的にフランスとつながりがありますし、サイゴン陥落の後に多くの南ベトナムの人が米国に脱出したりしたことでアメリカにもベトナム人のコミュニティーというのは存在します。しかし着の身着のままで逃げてきたファースト・ジェネレーション(初代移民)は敗戦と母国脱出時のトラウマ、異郷の地への順応に際しての苦労などを克服するのが精一杯でした。彼らの子息であるセカンド・ジェネレーション(第二世代)は今ようやく社会に出て、結婚し、家庭を持つという時期にさしかかっている状況です。しかし中国やインドの子息に比べて家庭環境や教育環境ではかなり苦労が多かったと察します。その影響で欧米の最高教育機関で一大勢力を形成しているという段階には未だ達していません。それが実現するにはもう一世代の時間が必要でしょう。

 今のベトナムの政府や企業で中核的存在になって活躍している層は仮に海外での留学経験があったとしてもそれは旧体制時代のソ連だったりして、資本主義の運営に必要な知識をきちんと学んだ人材が決定的に不足しています。さらに前回までに見てきたようにベトナムの政治家は外からのアドバイスに耳を貸さないことで知られています。これらの要因がベトナムの国家運営や企業経営に新風を吹き込むことを阻んでいるのです。


■戦略的に重要でない企業から優先し上場

 ベトナムの株式市場が最近日本の投資家にも注目されていますが、現在ベトナムの株式市場に上場されている企業は事業規模が小さく、しかも基本的なガバナンス(企業統治)や経営のディシプリン(規律)に欠いた企業が散見されます。経済の実力でベトナムとほぼ同じ程度の他国の上場企業との比較においてもベトナムの上場企業の脆弱性は明らかです。これはひとつにはベトナム政府が国策の面から重要性の低い企業の私有化、上場を優先し、自分達が最も重要だと考える中核企業を最後まで温存する方針を採ったことと無関係ではありません。


■一度頓挫している民営化への試み

 ベトナムでは米国や欧州の名門投資銀行や運用会社は余り活発に活動していませんし、大きな拠点を持っているところはありません。これはなぜかというと既に彼らは一度ベトナムに進出し、その後、撤退したからです。ドイモイ政策が打ち出された後で、一度ベトナムが欧米の投資家の間でブームになったことがありました。著名な運用会社や証券会社が相次いでベトナムに進出しファンドを組成しました。しかしベトナム政府の民営化プログラムは遅々として進まず、結局これらのファンドは集めた資金を投資する投資先を見つけられず、しぶしぶ資金を投資家に返還したのです。


■今度こそブームをモノにしたいベトナム



 今回の当初のスケジュールでは上記企業の大半は年内に上場に漕ぎ着ける筈でしたが、またスケジュールが遅延しがちになっているのは不安要素です。前回のレポートで見たようにベトナムはインフラ整備のための先行投資を進めています。これは機器や資材の輸入を増やし、貿易収支の悪化を招いています。従って海外からの直接投資やポートフォリオ投資によってバランスを維持してゆくことが今後一層必要になるのです。実際、ベトナム政府は海外からの資本持込みに対する規制を緩め始めています。これが海外からの投資資金の介入を可能にしているため、株式市場が活況になっているわけです。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2007年11月12日 11時17分51秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: