2009年05月11日
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今日のまとめ

1. これまでの決算発表は余り良くない
2. 中国の建設セクターの回復に期待が寄せられている
3. ブラジルのクレジット・トレンドには要注意


■BRICsの企業の決算が出始めている

 BRICsの企業の決算が続々出ています。ここまでの決算では大体、全体の4割程度が決算を発表していますが、そのうち売上高面、若しくはEPSのどちらか一方でコンセンサス予想を下回る、いわゆるネガティブ・サプライズを出した企業は55%程度に上ります。2008年の第4四半期の決算ではBRICs全体の4割程度の企業がネガティブ・サプライズを出したので、 決算の内容は引き続き厳しい と言えるでしょう。2008年第4四半期の決算ではネガティブ・サプライズもさることながらガイダンス(=今後の会社側予想数字)を引き下げる企業が続出しました。従って今回の第1四半期決算はハードルが低くなっていた筈です。それにもかかわらず多くの企業が目標を達成できませんでした。以下は主な企業の決算ならびにカンファレンス・コールのニュアンスです:


■バイドゥ(ティッカー:BIDU)

売上高:1.19億ドル(予想1.16億ドル)


 バイドゥは市場予想を上回る決算を出し、今後のガイダンスも引き上げられました。 旧正月明けから広告主の活動が活発化 しているという発言がありました。同社は去年、中国政府に承認されていない医薬品を販売する闇業者の広告をブロックせずに掲載したことが咎められ、苦しい立場に立たされました。その際、「そもそもバイドゥの検索結果はスポンサーの広告なのか、検索結果なのか、紛らわしい」という指摘が出て、サイトのデザインを改善するよう勧告されました。バイドゥはこれにすぐに応え、怪しい業者を一掃するなど改善に取り組みました。今回の決算で広告主の数が前期より減っているのはそのためです。
 中国のネット関連企業は政府による規制強化をきっかけに長期に渡って業績を落とす企業が多いですが、バイドゥは即座に断固とした経営改善に取り組み、いち早く立ち直った観があります。


■ソーフー(SOHU)

売上高:1.16億ドル(予想1.13億ドル)
EPS:$1.20(予想99¢)

 ソーフーは市場予想を上回る決算を出し、今後のガイダンスも引き上げています。同社はネトゲとウエブ・ポータルの2つの事業を展開していますが、主にネトゲの好調が業績のけん引役となっています。しかしネトゲ事業は値上げが続いていた顧客単価がそろそろ頭打ちとなると予想されることから今後は以前ほどの成長は期待できないと思います。
一方、ブランド広告部門は中国企業の広告宣伝活動をうかがい知るうえでとても貴重なデータ・ポイントを提供してくれます。ソーフーは 自動車会社がとりわけ積極的に広告を増やしている とコメントしていました。しかしそれ以外の業種の広告主は依然、様子見を決め込むところが多く、金融業界、IT業界、不動産業界などからの引き合いは低調です。


■バーレ(VALE)

売上高:54.2億ドル(予想59億ドル)


 バーレは先週からティッカー・シンボルがVALEに変更されました。これは今までCVRDとか、リオドセとか、いろいろな名称で同社が呼ばれていたのが投資家にとって紛らわしかったという反省から、会社名もティッカーも全部バーレで統一するというブランディングの見地からなされた改変です。なおティッカーは4文字になりますがこれまで通り、ニューヨーク証券取引所で取引されます。(普通、ティッカーが4文字だとナスダック)

 バーレの売上高は世界的な景気後退を反映して去年の第1四半期より▼32.6%下落しました。純利益も同じく▼32.6%の下落となっています。バーレの場合、ブラジルが欧州や米国市場に比較的近いことから普段なら中国への依存度はオーストラリアのライバル各社に比べて高くありません。しかし先進国の景気後退で比較的元気の良い中国への依存度が急激に高まりました。


バーレの鉄鉱石売上高


またここへきて中国が極めて積極的に鉄鉱石を輸入していることが指摘されました。


中国の鉄鉱石輸入量



 中国が積極的に鉄鉱石を輸入している背景には中国政府の発表した景気刺激策を受けて今後建設セクターが忙しくなるだろうという読みがあるからに他なりません。中国で消費される鉄鋼の実に51%が建設業によって占められています。


中国の鉄鋼の需要先


 これらのことからバーレは鉄鉱石価格の見通しに関して概して強気でした。しかしこれについてはもう少し用心深い見方をする企業もあります。例えばギリシャのバラ積み船の会社、 ダイアナ・シッピング(ティッカー:DSX)


■ブラジルのクレジット・トレンドは悪化している

 最後にブラジルの大手銀行、 イタウ・ウニバンコ(ティッカー:ITU) ブラデスコ(ティッカー:BBD) が決算を発表しています。決算の詳細は省略しますが両行ともに不良債権比率が上昇しているのが目を引きました。今後注意を払う必要があると思います。

イタウウニバンコの不良債権比率



ブラデスコの不良債権比率





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最終更新日  2009年05月11日 20時43分39秒


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