今日のまとめ
銀行株の増資は将来を見越した良い指導
各行に課せられた調達ノルマは重い
調達ラッシュをどうやりくりするかに注目
転ばぬ先の杖
中国の不動産市場がバブルかどうか? という問題が最近話題になっています。
そういう巷での議論には目もくれず中国政府はまっしぐらに一連の措置を講じています。既に銀行融資の抑え込みに入っていますし、不動産購入時の頭金 の比率を引き上げるなど、深慮ある政策が次々に打ち出されています。
そうした政策の中でも特に評価できるものが、銀行の体力が充実している今こそ、大型増資をして雨の日に備える絶好のチャンスだという銀行監督当局の 考え方です。
インベストメント・バンキングの世界では「増資はお金が必要になってから慌ててやるものではなく、先々を見越して有利に資金調達出来るときに済まし ておくべきだ」という鉄則があります。
その意味では現在の中国はまさしく教科書通りの模範的なものだと言えます。
半端じゃない増資必要額
問題は各行が指示された増資必要額が途方もない大きな金額であるという点です。
下のグラフは既に発表されている各行の資金調達計画をまとめたものですが、既に第三者割当などで増資を完了するメドがついた銀行は除いてありますし 中位行以下のこまごました増資案件も省略しました。
また転換社債による調達と普通株式による増資は銀行ごとにひとつにまとめてあります。実際にはこれらの増資は上海のA株市場だけで行われるのではな く、香港のH株市場でも行われます。おおまかに言えば2:8くらいの比率で香港での調達の方が多くなるでしょう。
緑のグラフはIPO(新規公開株)を示しています。比較のために去年、ニューヨークとサンパウロでIPOされたサンタンデール・ブラジル (BSBR)も載せておきました。
サンタンデール・ブラジルのIPOは80.4億ドルを調達したわけですが、これはブラジルで過去最大のIPOだったばかりでなく、去年のアメリカで のIPOとしても最大でした。ちょうどリオデジャネイロ五輪誘致が決定した直後にIPOのマーケティングがキックオフした関係でブラジル市場が人気の絶頂 だったときに値決されましたが、さすがに大型のIPOでしたので、その後、市場の需給関係を崩す一因になったと言わざるを得ません。
工夫が必要
さて、中国の銀行セクターの資金調達計画はざっと分かっているものだけを足し上げても 軽くサンタンデール・ブラジルの調達した金額の10倍になります。中でも今年年末にIPOされる可能性が強いと云われている中国農業銀行は290億ドルと いう大型案件です。このディールを円滑に値決めするためには他のディールと公募時期が重ならないように交通整理する必要がありそうです。
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