2011年02月15日
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類

今日のまとめ

  1. 切り下げ幅が大きかったことは予想外だった
  2. 景気刺激策がもたらしたお金のだぶつきを早く取り除く必要がある
  3. 次にベトナムがしなければいけないことは利上げだ

市場の意表を突いた大きな切り下げ

先週金曜日にベトナムがドンを9.3%切り下げました。

今回の切り下げは去年から3回目ですから、切り下げが実施されたこと自体は余り新鮮味のあるニュースではありません。

しかし 今回は一度に9.3%と特に切り下げ幅が大きかった事が市場関係者を驚かせました 。

他のアジア諸国の通貨が軒並み強含む中で、なぜベトナムの通貨だけは弱いのでしょうか?

インフレ懸念

その最大の理由はインフレ懸念です。

上のグラフは去年の10月の時点でIMFが発表したアジア諸国のインフレ率予想ですが、現在のベトナムのインフレ率はグラフにある予想値を大幅に上回り、再び12%につっかけてきています。

アジア諸国のインフレ率(%、2009年以降は予想、IMF)

過去においてベトナムのインフレ率は8%を超えると手のつけられない高インフレになり、株式市場に大きな打撃を与えるという例がありました。

2008年の場合、インフレ率は瞬間的に23%まで上昇し、株式市場は2007年3月の高値、1,170から2009年2月には僅か235迄暴落しています。これは約80%の下落幅です。

ベトナムの庶民は自国通貨の購買力がインフレで目減りすることを恐れて、なるべくドルやゴールドに換金しようとしています。これが 公式レートと闇レートの間で大きな乖離 を生む原因となってきました。

また機関投資家が現地通貨からドルなどのハード・カレンシーに換金し、お金を引き揚げる際に、希望した金額の換金がすみやかに出来ないという問題も報告されはじめています。

問題の根源

それではなぜインフレがおこっているのでしょうか?

この背景にはリーマン・ショックで世界の景気見通しが悪化したとき、ベトナム政府が積極的な景気刺激策を打ち出したことがあります。

このときベトナム政府はGDPの5%にも相当する巨大な刺激策を発表しました。これが功を奏して同国のGDP成長率は大きく落ち込まずに済みました。

しかし余り景気を刺激し過ぎたために 2009年の信用創造が前年比で+40%にもなってしまった のです。

カネ余りは消費を刺激するのでどんどんモノが売れます。それらの少なからぬ部分は輸入品ですので経常収支は赤字に傾きます。

アジア諸国の経常収支(GDPの%、2009年以降は予想、IMF)

ベトナムの経常赤字はGDPの10%に迫る水準であり、これはたいへん危険な水準です。

経常収支が赤字に傾き始めると外貨準備も減り始めます。

ベトナムの外貨準備(10億ドル、2008年以降は予想、IMF)

外貨準備が減り始めるとそのトレンドを喰いとめるために通貨を割安に導かなければいけなくなります。

経済をスローダウンさせることが唯一の解決法

自国通貨が割安になれば輸出競争力は増し、逆に輸入品の価格は上昇するわけですから輸入品の消費は抑えられます。

そうやって再び輸出と輸入のバランスを取り戻し、ゆっくり外貨準備を積み上げてゆく他に解決法はありません。

さて、今回のドンの切り下げは輸入品価格の上昇を招きますのでインフレ助長要因となります。

従って 次にベトナム政府がやるべきことは利上げ です。

利上げすると景気が悪くなりますが、いまベトナムにとって必要なことは身の丈以上の高水準の消費を維持することではなくて一度通貨を切り下げ、さらに利上げしてインフレの息の根を止めてから、ゆっくり輸出主導型で経済を立て直すことなのです。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2011年03月14日 13時01分53秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: