今日のまとめ
去年の大洪水からV字型回復したタイ
タイは2011年の第4四半期に大洪水に見舞われました。このため自動車製造、エレクトロニクス、観光業などの幅広いセクターが打撃を受けました。
製造業の設備稼働率は大洪水の前は60~65%で推移していましたが、瞬間的に41%程度まで落ち込みました。現在は洪水前の水準まで戻っています。
同様にビジネス信頼感指数も洪水前の80~85の水準で推移していましたが、瞬間的に70割れまで落ち込みました。こちらも現在は洪水前の水準に戻っています。
下はリアルタイムでの景気の状態を示す、景気一致指数です。2011年の10・11月に急激な落ち込みを見せた後、鋭角的に戻していることがわかります。

個人消費も一時的に影響を受けましたが、現在は平常に戻っています。

洪水からの復興
タイ政府は去年の洪水からの復興、ならびに補助金などを通じた所得格差の是正の二つの面を中心に予算を組んでいます。
洪水のリスクは完全に払しょくされたわけではなく、今年以降も引き続き存在します。幸い日本を中心とする外国の製造業はタイから撤退するという行動は取っておらず、投資資金は戻ってきています。
このように民間部門の投資が旺盛なので、政府は現在、かなりムリしている復興向け臨時支出を、今後、絞り込む方向へシフトする事が好ましいと思われます。
GDPへの影響
国際通貨基金の試算では、タイが去年の大洪水で蒙った被害額はGDPの3%に相当しました。
東アジアの生産ハブとしての同国の評価は今回の天災でも毀損しておらず、民間の投資もすぐに戻ってきています。
国際通貨基金は2012年のタイのGDP成長率を5.6%、2013年を6.0%と見ています。

政策金利
バンク・オブ・タイランド(タイ中銀)は10月17日の政策金利会合で政策金利を0.25%引き下げ、2.75%としました。これは予想外でした。利下げの背景には、世界的な景気後退懸念があります。
まとめ
タイは現在、政府支出の面でも積極的であり、また金利政策も緩和的です。これは株式にとっては理想的な環境です。
リスクとしてはホットマネーが海外から入りやすい状況になっているので、バーツ高になるとタイの輸出セクターの競争力が減退することが懸念されます。
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