2007年03月08日
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カテゴリ: 投資信託
 団塊の世代の退職期を迎えて老後の資産運用への関心が高まっています。最近の株式市場の力強い上昇を見て、退職金の一部を 株式投資信託

 年平均リターンが10%であれば、仮に退職金3,000万円をファンドで運用すれば退職金を減らさずに年間300万円の収入が得られる計算になります。しかし、この10%というのは5年間の平均値であって、毎年毎年きちんと10%のリターンが得られるわけではありません。実際のファンドのリターンは、株式市場の動きを反映して年によって大きく変動するからです。

 極端な例ですが、ファンドを購入した時点から1年間でファンドの基準価額が30%値下がりし、2年目も続けて20%値下がり、3年目に反騰して20%値上がり、4年目、5年目もそれぞれ30%、50%値上りした場合、5年間を平均すると年利回りは10%と計算されます。このケースで、当初3,000万円を投資して翌年から毎年300万円を引出していくと仮定しましょう。1年後の運用資産残高は2,100万円(3,000万円*(1-0.3))となり、そこから300万円を引出して残りの1,800万円を翌年の投資に当てるという方法を繰り返していくと、5年後の運用資産残高は1,332万円となります。

 元本を減らさずに収入が得られるという目算がはずれ、残高は当初投資額の半分以下になってしまいます。このように、年毎にリターンが大きく変動するファンドでは、平均値だけ見ていると思わぬ落とし穴に陥る危険があります。退職後の収入として毎年一定額を引出すような場合には、年毎のリターンの変動が出来るだけ小さく、安定的なリターンで推移するファンドを選ぶことが望ましいといえましょう。

 では、どうやってファンドのリターンの変動が大きいか小さいかを見分けたらよいでしょうか。最も良い方法はファンドの「標準偏差」をチェックすることです。標準偏差とは、一定の年月のリターンの平均値から各月のリターンがどれだけかけ離れているか、換言すれば平均値からのバラツキを表したものです。標準偏差の値が大きいほどリターンの変動が大きいことを意味します。例えば、ファンドの平均リターンが10%で標準偏差が4%であるとすると、そのファンドのリターンは6%から14%(10%プラス・マイナス4%)の範囲で変動する公算が強いと予想されます。

 平均リターンが15%で標準偏差が25%というファンドの場合は、リターンが最高40%から最低マイナス10%の範囲で大きく変動する可能性が高いといえるのです。実際、小型グロース株ファンドでは、標準偏差が20%、30%というファンドも珍しくありません。一般に、リスク/リターンと言うときの「リスク」とはこの標準偏差のことを指しています。ただ、リスクとリターンは、「ハイリスク/ハイリターン」、「ローリスク/ローリターン」の関係にありますから、標準偏差をチェックする際は、同じような投資方針のファンドと比較するよう留意する必要があります。

(金融アナリスト:新藤正悟)





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最終更新日  2007年03月08日 11時00分28秒
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