2007年06月07日
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カテゴリ: 投資信託
 投資信託もヘッジファンドも、投資家から資金を集め、それを証券や金融商品などに投資して投資収益を投資家に還元するという仕組みに変わりはありません。しかし、投資信託とヘッジファンドとでは、次のような相異があります。

(1)投資信託の設定や運用は投資信託法の適用を受けますが、ヘッジファンドは投信法の適用を受けません。このため運用上の制約は投信よりも格段に緩くなっています。

(2)投信は市場平均を上回る相対的な投資収益の獲得を目指しますが、ヘッジファンドは、市場の上昇・下降にかかわりなく絶対的な投資収益の獲得を目指します。

(3)投信は借入金を行なって投資することが出来ませんが、ヘッジファンドは、大幅な借入金を働かせて(レバレッジを効かせて)大きなリスクをとる投資を行ない、収益の増大を図るという、ハイリスク・ハイリターンの投資をすることができます。

(4)投信の運用会社は、運用資産に対する一定率の運用報酬をもらうだけですが、ヘッジファンドの運用者は、それに加えて運用収益の一定割合(通常20%)の成功報酬を徴収します。

(5)投資信託は主として流動性の高い上場有価証券や金融商品に投資しますが、ヘッジファンドは未公開株や流動性の乏しい投資物件にも積極的に投資します。

(6)投資信託は、投資家が換金したいときは即座に時価で解約できますが、ヘッジファンドでは、解約できる時期が決まっていたり解約に時間がかかるなど、換金に制約があります。このことが上記(5)の投資対象の相異ともなっているのです。

(7)投資信託は投信法その他の規則で運用報告書や月報など運用状況が克明にディスクローズされていますが、ヘッジファンドは公のディスクロージャーはほとんどなされていません。これはヘッジファンドが特定の投資家を対象とした私募ファンド形態をとっているからです。

(8)投資信託は、通常1万円から購入することが出来ますが、ヘッジファンドの購入単位は、通常100万円あるいはそれ以上の高額としています。金融機関や事業法人など機関投資家を主な顧客層とし、個人投資家は富裕層をターゲットにしています。



 しかし、日本では国内投信でファンド・オブ・ヘッジファンズを設定することは出来ません。このため、現在日本で販売されているファンド・オブ・ヘッジファンズは外国籍のファンドです。ただ、日本の投信でも、ヘッジファンドの運用戦略をとっているファンドが十数本あります。それらのほとんどは、株式市場の上下変動の影響を排除して絶対リターンの獲得を狙うマーケットニュートラル型のファンドです。

(金融アナリスト:新藤正悟)





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最終更新日  2007年06月07日 09時58分05秒
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