2007年08月23日
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カテゴリ: マーケット状況
■サブプライム問題は対応可能

日経平均株価 8.0%と日欧の株価下落の方が大きかったのも不思議な気がします。

 バブル崩壊後のわが国の対応のまずさを教訓に、金融問題に関しては世界の中央銀行は早い段階で手を打つのがよいことは十分に認識しています。それが今回の欧米中銀による迅速な流動性の供給につながったものと考えられます。サブプライム問題は、インフレの高進がなければという条件はつきますが、「流動性の供給」と「利下げ」によって政策的に解決可能な問題です。これらの政策で住宅価格の下落や金利上昇に歯止めがかかれば、住宅需要の復調ともあいまって、懸念は消えることになります。先進国の中央銀行が問題を共有し、既に行動を開始した以上、サブプライム問題をきっかけとする市場の混乱は落ち着く方向に向かっていると考えてもよいと思われます。


■好調なファンダメンタルズが株価を下支え

 サブプライム問題に加えて、国内的にも内需、特に個人消費に勢いがないとか、自民党の大敗に伴う政策停滞懸念など、不透明材料がないわけではありませんが、ファンダメンタルズは順調です。設備投資は今年度も堅調に推移しており、設備投資主導型の景気が簡単に腰折れすることはないと思われます。企業収益も第1四半期の決算は予想を大幅に上回り、年度を通しても好調な海外景気を取り込むことによって、7~8%の売上高の伸びが見込まれ、この高い増収率を背景に二桁増益が確実視されます。足元の株価下落で日本株の割安感が強まったと思われます。


■株価の展開予想・・・基調は崩れていないが、循環的には年内は保ち合い相場?

 日経平均の1年移動平均は17,070円を通過中で、前年同期の株価水準を勘案すれば、上昇継続中です。その意味では上昇基調が崩れたとまで悲観的には考えなくてもよいと思われます。ただ2003年春に株価が反転してからの下落場面では1年移動平均からマイナス3%乖離が許容範囲で、今回に当てはめれば16,500円が下値限界ということになります。

 足元中期の移動平均線、例えば13週線、100日線、26週線等はすべて下向きに転じています。この株価の下落の勢いは無視することができません。下降モメンタムが価格を支配する循環に入ってしまった以上、株価の上値は抑えられ、上値を追う力は弱められます。最近では同様の局面が2004年7月から12月、2006年の5月から10月に見られました。この2回の例では100日線が底入れするまでは100日線が株価の頭を抑えました(現在100日線は17,600円台で下降中)。少なくとも年内はボックス相場から抜け出せないと思われます。

 年内はボックス相場を想定した上での効率的な運用が望まれます。最も魅力的な投資対象の一つは今回の下落場面でマーケットニュートラル型ファンドの巻き戻しで大きく売ら
れた割安株ということになると思われます。

(マーケットアナリスト:貴浩志)





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最終更新日  2007年08月23日 09時08分48秒
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