今日は友人のお誘いで大阪の国立文楽劇場へ行ってきました。友人の友人のお仲間に入れていただいての団体鑑賞だったので、舞台の前に別室で「人形の動かし方の説明」をしてもらいました。写真撮影も自由、ということで、みなさん携帯で写真を写されるのですが、携帯写真って写すときにけっこう大きな音が出るので、説明される方も聞くほうもその音に気をとられてしまって、説明されてる方がちょっと気の毒に思いました。私もレストランなんかで料理を撮影したりするとき、携帯カメラの撮影音が他のお客さんの迷惑になるので、なんとか消せないか、小さくならないかと思うのですが、聞くところによると、携帯でスカートの中を盗撮したりするのを防ぐため(撮影したら音がするので撮られたほうも周囲の人も気がつく)だそうです。にしても、撮影音だけじゃなくて、「ハイ、チーズ」という掛け声まで発する携帯もあって、周囲から苦笑されてました。
文楽の出し物は「心中天網島」。数ある近松の心中ものの中で、私が一番好きな物語です。妻子持ちの男と遊女の心中物語・・・なんですが、だいたいこういった不倫関係(?)の場合、奥さんが悪妻だったり、遊女が悪女だったりしますし、双方が嫉妬の炎を燃やして男性の取り合い・相手の罵りあいをするものですが、この物語はどちらも男性を心から深く愛しつつ、本来なら「不倶戴天」な間柄なはずなのに、お互いを「賢女」と呼んで認め合って義理を立て合うんです。そうして、この「賢く美しい」妻のおさん、遊女小春の2人の女に愛される当の男性、紙屋治兵衛といえば、顔は男前(少なくとも人形は)ですけど、小春の愛想尽くしのお芝居にやすやすとだまされて、だまされただけでなく、顔をビンタしたり蹴飛ばしたり、酷い言葉で罵ったりとさんざん虐待(こういうのをDVというのだろうか)するわ、昼日中から炬燵でダラダラして女房に「お兄さんと叔母さんにこんな姿を見られたら怒られますよ」と起こされて仕事してるふりをするわ、20両の借金をお兄さんに肩代わりしてもらうわ、その二十両を返すことなく心中する上に自分の子供の面倒も頼むわと、なんか本当に情けないんですよね・・・。まあ、近松の心中ものの男性はたいがいどうしようもないくらい情けなかったり救いようがなかったりしますし、女性はけなげで賢いですけど・・・。でもこうも女性が賢くてけなげだと、見ていて腹が立ってきて、心中の場面でも泣けないんです。心中するときも小春が「死なせてくれるなと頼まれたのにこんなことになってしまって、これでは女房のおさんさんに申し訳ない」と義理立てして、普通(?)の心中ならば2人固く身体を結び合って(「失楽園」ほどじゃないですが、「曽根崎心中」は確かしごきか腰紐で2人の体が離れないようにしてました)共に死ぬところを、小春を刺し殺してから治兵衛は、ちょっと離れた水門のところで首を吊るんです。治兵衛28歳、小春19歳だったそうですが、19歳で義理も人情もわきまえていた小春に感心しつつ、2人の付き合いは丸3年だったそうなんで、16歳で知り合ったのか・・・とまた妙なところでも感心してました。もっとも、お染久松はどっちももっと若いですし(それこそロミオとジュリエット並みに)、この時代の16歳とか19歳は立派な大人だったのでしょうね。
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