2006年07月21日
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 今回は、運用パフォーマンスの評価について論じるが、第二十五回目の「運用の上手い下手を実績で語ることが出来るか?」の続編的な性格を持っている。幾らか技術的な問題にも踏み込むが、たとえば、投資信託の評価会社が雑誌やホームページで発表する投資信託のパフォーマンス評価は、(A)妥当な評価尺度に基づく納得性のあるものなのか、(B)将来のパフォーマンスが優れたファンドの選択に役立つのか、といった事に関心を持たれている方は、ご一読頂きたい。結論を手短に言うと、(A)も(B)も「NO」である(BがNOであることは、先述の拙文で述べた通り)。


◆パフォーマンス評価とは何をすることか
 個人が現在所有する投資信託を継続して持つかどうかを考える場合に、最も重視する要因は、おそらく、その投資信託の保有期間のパフォーマンスだろう。この事情は、年金基金などプロの投資家が現在使っている運用会社の評価をする場合でも一緒だろう。もちろん彼等が新規に買ったり雇ったりするファンドや運用会社を選ぶ時にも、それぞれの過去の運用パフォーマンスを調べるのが普通だ。
そういう意味では、日本の投資信託の顧客は、しばしば運用実績の全く無い新規設定のファンドをセールスの情報を信じて(或いは上手に依頼されて)購入するが、これは彼等が「普通でない」とも言えよう。
 しかし「普通」なことが、同時に「有効」でもあるかどうかは、大いに疑わしい、というところに「パフォーマンス評価」の問題の難しさがある。
 パフォーマンス評価には色々な方法があるが、たとえば過去3年とか5年の運用利回りの絶対値を複数のファンド間で直接比較すると、同じ期間を対象としていても、通常は、ファンド間で「運用期間中に取ったリスクの大きさが違う」とか「そもそも運用目的が違う」といった難点が指摘される。ファンドマネジャーの運用の実力を正しく評価するには、リスクの大きさについて調整したり、適切なベンチマークと比較したりしなければならないといった注文がつく。
 ところで、「ファンドマネジャーにとってフェア」であるか否かを厳密に考えることは、パフォーマンス評価の上で、たぶん良いことなのだが、投資家にとって直接の目的ではない。投資家がパフォーマンス評価を行う目的は「将来の投資(状態)を改善するための情報を得ること」に関連づけるべきだろう。
この実用主義的で前向きな目的の下では、通常のパフォーマンス評価作業はおおむね次のようなことをしていると整理される。

 (2)運用者のスキルの計測方法を定義し過去のデータを観察する。
 (3)過去のデータが確率的にどのくらい現れにくい位に、良いか(悪いか)を判断する。
 (4)「良い(悪い)」と判断されれば運用が上手(下手)だ、と結論する。
つけ加えると、ここで得られたデータ(スキルの有効性の程度など)を利用して、
 (5)投資家は自らのポートフォリオの最適化を図ることになる。

◆スキルの計測方法
 運用を正しく評価するためには、運用者のスキルに起因すると考えられるリターンと、顧客が選択した運用方針に起因するリターンを分離して、前者に関する評価を行う必要がある。通常、後者を代表するものとしてベンチマークのリターンを用いて、全体のリターンからベンチマークのリターンを差し引いた「アクティブリターン」を評価の対象とする。
 ベンチマーク選びは重要である。投資家側の目的の観点から理想的に考えると、投資家が資産配分に使うベンチマークと運用者が実際に運用を行う場合に参照するベンチマークが一致することが望ましい。
 ここでは、運用スタイル別に細分化したベンチマークを使う場合には、個々の運用スタイルを構成要素とするアセットアロケーションが投資家の側で管理出来ていなければならないことにも注意して欲しい。運用スタイル別の評価は、運用者に対して丁寧だが、運用の利用者の側で、運用スタイル別のアロケーションがコントロールできるのでなければ、実用的な意味をなさない。
 もっとも現実にはベンチマークを適切に使える投資家ばかりではないし、ビジネス上の必要性から大まかな比較を行う場合には、たとえば「同類のファンドの平均パフォーマンス」といった便宜的なベンチマークを使うことがある(ただし、この場合には、スキル要因の分離は曖昧になる)。
 運用手数料の扱いも重要だ。運用手数料は運用者のスキルによるものではないので、パフォーマンス評価では、運用手数料差し引き前のリターンを対象としなければならない。「投資家が受け取るリターンを評価する」といったお題目で、手数料差し引き後のデータを使うパフォーマンス評価会社(割合有名な会社である)があるようだが、これは技術的に明らかな間違いだ。







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最終更新日  2006年07月21日 17時26分22秒
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