映画一点豪華主義
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★晴れてDVDが発売になります! 「黄金のランデブー特別編」「八点鐘が鳴るとき」予約受付中! → allcinemaSELECTION 「特捜班CI☆5 傑作選DVD-BOX」も発売から早1ヶ月以上経ちました。購入された方は、そろそろ全話観終わったのではないでしょうか。オフィシャルではファンのコラムを募集していますが、しばらくの間、このブログではCI☆5関係者が出演した作品を取り上げてゆきたいと思います。 第一弾は、コーレイ部長ことゴードン・ジャクソンが最高にオイシイ役を演じた「黄金のランデブー」。コーレイ役に決定したとき、本作に出演中だったため、CI☆5の撮影開始時期が後ろ倒しになったとのことです。ちょっと長いんですが、数年前に某サイトへ寄稿したものを手直しして、作品の魅力を伝えたいと思います(手抜き? まあそうですな)。 原作は、冒険小説の大家アリステア・マクリーン。大自然の過酷な猛威や登場人物の心理的葛藤の卓越した描写で有名な彼の小説は世界中でベストセラーとなり、続々と映画化されました。しかし、先に挙げた小説独自の面白さは、映像とセリフのみで描くにはもっともハードルの高い「心理描写」に負うところが多く、「ナバロンの要塞」「荒鷲の要塞」などのわずかな作品を除いて映像化は失敗でした。 やがてマクリーン小説の映画化作品は「つまらない」という評価を世間は下し、70年代に映画化されたものには日本未公開作品まで出る始末……。 マクリーンものを世界が見放した頃に登場した、不運な傑作が「黄金のランデブー」です。この映画のプロデューサー、アンドレ・ピーターセはかつてMGMの副社長で、その頃から「黄金のランブー」の映画化権を押さえていました。MGMを退社した彼は、当時アクション映画をさかんに製作していた南アフリカの映画会社に話を持ち込み、いよいよ映画化がGOとなります。 監督には、黒人と白人の少年の交流を描いた感動作「ロリー・ポップ」で南アで最も注目されていた新人監督アシュレイ・ラザラスが起用され、主人公のカーター一等航海士には「カサンドラ・クロス」などのリチャード・ハリス、仇役カレラスには「ダーティ・ハリー」の市長役が印象深いジョン・バーノンが配役されました。他にも、「逃亡者」のデビッド・ジャンセン、「ロッキー」のバージェス・メレディス、怪優ジョン・キャラダインなど、当時としてはツボを押さえた豪華キャストです。 我らがゴードン・(コーレイ部長)・ジャクソンは、カーターに協力してテロに対抗する船医の役。クライマックスまでほとんど出ずっぱりで、なかなか儲け役です。 豪華客船を乗っ取ったテロ集団が金塊を運ぶ船と“ランデブー”し、金塊を客船に移した後に原爆で証拠を消そうとする悪魔の陰謀、それに挑む主人公の一等航海士と船員・乗客…手に汗握る海洋サスペンスの傑作であり、マクリーンの代表作でもあります。原作は今読んでもまったく色褪せた部分はなく、わずかな手掛かりからテロリストたちの行動を読んでは阻止してゆく主人公の活躍に興奮させられます。探偵や刑事は出てきませんが、本当の意味での『推理小説』になっています。 しかし、物語が主人公の一人称で進み、ほとんどが心理や推理描写ですので、映像化すると小説の読みどころがすべて削ぎ落とされる危険性が高い作品、つまりマクリーン原作の中でも映画化が最も難しい原作でもあったわけです。 さて、出来上がった映画はどうでしょう。開巻、出港前のカリビアン・スター号にカーター(R・ハリス)が乗客を迎えるシーンで、次々と現れる登場人物が鮮やかに紹介されます。テーマ曲が終わる頃には、観客は誰がどんな性格かを把握した上で物語に進むことができます。 船が出港し、間もなく無線士官が何者かに殺害されます。ダラダラとしたドラマはカットしていきなり本題に入った後は、驚くべきことに原作小説の半分近くを、約30分で消化します。必要な要素だけをギュッと圧縮して展開し、かつ矛盾がないところに脚本家の並々ならぬ才能が感じられます。続いて前半のクライマックス。カーターが客と会食中の船長に陰謀の存在を報告しようとしたとき、テロリストたちが会席の場に乱入。乗客の一人カレラスが、テロ集団のボスだと判明します。銃撃で足を負傷したと見せかけたカーターは、医務室の窓から外へ出てテロリストの陰謀を次々に阻止してゆきます。 このあたりまでは原作を忠実になぞっています。しかし、金塊が移されてから後は映画オリジナルの派手な見せ場が展開します。原爆を止める鍵を手に入れるため、カーターはマシンガンを片手に単身テロリストたちに挑みます。そして遂にボスのカレラスを倒すのですが、彼は鍵を持っておらず、その一方で原爆の爆破時間は刻々が迫ります。脱出しようとしたカーターの目の前に、真の黒幕が姿を現すのですが…。 これ以上はネタバレになりますので控えますが、このラストは「クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」のクライマックスにオーバーラップします。また、この映画がスティーブン・セガールの大ヒット・アクション「沈黙の戦艦」の原型になったのも明らかです。ストーリーの構成自体が「黄金のランデブー」の映画のほうの展開をそのままなぞっていますし、パーティ開場でテロリストが正体を現すシーンも人員配置まで酷似しています。「沈黙…」の脚本を書いたJ・F・ロートンが「黄金…」を意識していたのは間違いないでしょう。いずれにせよ「黄金のランデブー」は、後のテロリストものや海洋アクションものに影響を与えた古典であることは間違いありません。 ところが「黄金のランデブー」は公開当時は評価が低く、またこの映画を記憶する多くの人々にも悪い印象をいまだに与えています。その最大の原因はサントラです。作曲はジェフ・ウエインというキーボード奏者ですが、当時流行りだったシンセサイザーに現代音楽的な要素を持ち込んで、必要以上に派手かつ珍妙なメロディを創り上げてしまいました。当時映画を観た人は、違和感バリバリのBMGに気を取られて映画に集中できなかったのではないかと思います。映画の出来は良いが、音楽が台無しにしたという評価もありました。 しかしながら、いま観なおしてみると、当時感じたほどの違和感はありません。恐らく時代が早すぎたのでしょう。音楽が多様化している今日に聴くと、逆に新鮮で魅力的なメロディにすら感じてしまいます。映画の前半の異常に早い展開も、物語の早い展開を望む現代の観客には合っているとも感じます。私自身、十年ほど前に中古の輸入ビデオを手に入れて数十回は観ていますが、いまだに飽きませんね。そういうわけで、本作が70年代の隠れた傑作だと確信しています。 余談ですが、実際の撮影はトラブル続きで、監督が密かに交代させられています。現場を仕切れなかったラザラス監督を、プロデューサーのピーターセはクビにして、代わりにアカデミー撮影賞を受賞した経歴を持つフレディ・フランシスをイギリスより呼び寄せました。MGM作品の「人類SOS」などでもゴースト・ディレクター(つまりクレジットされないが本当の監督)をつとめた実績もあり、元MGM副社長の一声で飛んできたというのが実状でしょう。職人フランシスの演出により、ようやく撮影が再開。その実力はできあがった映画を観れば一目瞭然です。風格に溢れ、ときおり斬新なショットを見せる抜群のカメラワーク、派手な爆破、バイオレントな着弾シーンなどなど。監督交代がなければ、恐らく「黄金のランデブー」も未公開の憂き目、それどころが映画自体が出来上がらなかったかもしれません。 “一点豪華”は、もちろんG・ジャクソン! コーレイを演じる前ですから、これまでの人の良さそうな、笑顔を絶やさない演技が中心。カーターの船内探索を助けるため、怪しい人物の部屋へ乗り込んでヘンなドイツ語をしゃべったりと、なかなかお茶目な場面も。クライマックスでは、隣接した敵の船に荷物にまぎれて移ろうとし、見つかって蜂の巣に。最後の力を振り絞って、甲板の燃料タンクに信号弾を打ち込んで爆破、非業の死を遂げます。血まみれの部長に男泣き必至! ちなみにテレビで放送されたときは、ジャクソンの声は森山周一郎ではなく、村松康雄が担当しています。「傑作選DVD-BOX」の「怯える女 闇から呼ぶ声は誰だ」のラフリンの声を担当した方です。 日本ではビデオすら発売されず、日本でのテレビ放映も80年代前半を最後に終了(最近ドイツで放送されたようですが)。これもなんとかDVDにしたいんですよね。私のライフワークです。 突然、今日の式。395+73+47*2+170-7= う~ん、これはまずいですね。ペースがものすごく落ちてる…。
2005/12/14
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