FLESH&BLOOD 二次創作小説:Rewrite The Stars 6
薄桜鬼 昼ドラオメガバースパラレル二次創作小説:羅刹の檻 10
黒執事 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:碧の騎士 2
天上の愛 地上の恋 転生現代パラレル二次創作小説:祝福の華 9
黒執事 転生パラレル二次創作小説:あなたに出会わなければ 5
YOI火宵の月パロ二次創作小説:蒼き月は真紅の太陽の愛を乞う 2
薄桜鬼 現代ハーレクインパラレル二次創作小説:甘い恋の魔法 7
火宵の月 転生オメガバースパラレル 二次創作小説:その花の名は 10
薄桜鬼異民族ファンタジー風パラレル二次創作小説:贄の花嫁 12
薄桜鬼ハリポタパラレル二次創作小説:その愛は、魔法にも似て 5
天上の愛地上の恋 大河転生パラレル二次創作小説:愛別離苦 0
火宵の月 BLOOD+パラレル二次創作小説:炎の月の子守唄 1
PEACEMAKER鐵 韓流時代劇風パラレル二次創作小説:蒼い華 14
黒執事 異民族ファンタジーパラレル二次創作小説:海の花嫁 1
火宵の月 韓流時代劇ファンタジーパラレル 二次創作小説:華夜 18
火宵の月×呪術廻戦 クロスオーバーパラレル二次創作小説:踊 1
薔薇王韓流時代劇パラレル 二次創作小説:白い華、紅い月 10
薄桜鬼 ハーレクイン風昼ドラパラレル 二次小説:紫の瞳の人魚姫 20
天上の愛地上の恋 転生昼ドラパラレル二次創作小説:アイタイノエンド 6
鬼滅の刃×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:麗しき華 1
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:鳳凰の系譜 1
薄桜鬼腐向け西洋風ファンタジーパラレル二次創作小説:瓦礫の聖母 13
コナン×薄桜鬼クロスオーバー二次創作小説:土方さんと安室さん 6
薄桜鬼×火宵の月 平安パラレルクロスオーバー二次創作小説:火喰鳥 7
天上の愛地上の恋 転生オメガバースパラレル二次創作小説:囚われの愛 8
天上の愛地上の恋 昼ドラ風時代パラレル二次創作小説:綾なして咲く華 2
ツイステ×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:闇の鏡と陰陽師 4
ハリポタ×天上の愛地上の恋 クロスオーバー二次創作小説:光と闇の邂逅 2
天上の愛地上の恋 吸血鬼パラレル二次創作小説:夢幻の果て~soranji~ 0
魔道祖師×薄桜鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:想うは、あなたひとり 1
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:月の国、炎の国 1
天愛×火宵の月 異民族クロスオーバーパラレル二次創作小説:蒼と翠の邂逅 0
陰陽師×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:君は僕に似ている 3
黒執事×ツイステ 現代パラレルクロスオーバー二次創作小説:戀セヨ人魚 2
黒執事×薔薇王中世パラレルクロスオーバー二次創作小説:薔薇と駒鳥 27
薄桜鬼×刀剣乱舞 腐向けクロスオーバー二次創作小説:輪廻の砂時計 9
火宵の月×薄桜鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:想いを繋ぐ紅玉 54
天上の愛地上の恋 昼ドラ転生パラレル二次創作小説:最愛~僕を見つけて~ 1
バチ官腐向け時代物パラレル二次創作小説:運命の花嫁~Famme Fatale~ 6
FLESH&BLOOD×黒執事 転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:碧の器 1
腐滅の刃 平安風ファンタジーパラレル二次創作小説:鬼の花嫁~紅ノ絲~ 1
天愛×薄桜鬼×火宵の月 吸血鬼クロスオーバ―パラレル二次創作小説:金と黒 4
黒執事×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:悪魔と陰陽師 1
火宵の月 戦国風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:泥中に咲く 1
火宵の月 地獄先生ぬ~べ~パラレル二次創作小説:誰かの心臓になれたなら 2
PEACEMAKER鐵 ファンタジーパラレル二次創作小説:勿忘草が咲く丘で 9
FLESH&BLOOD ハーレクイン風パラレル二次創作小説:翠の瞳に恋して 20
火宵の月 異世界ファンタジーロマンスパラレル二次創作小説:月下の恋人達 1
天上の愛地上の恋 現代転生パラレル二次創作小説:愛唄〜君に伝えたいこと〜 1
天上の愛地上の恋 現代昼ドラ風パラレル二次創作小説:黒髪の天使~約束~ 2
火宵の月 異世界軍事風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:奈落の花 2
天上の愛 地上の恋 転生昼ドラ寄宿学校パラレル二次創作小説:天使の箱庭 5
天上の愛地上の恋 現代昼ドラ転生パラレル二次創作小説:何度生まれ変わっても… 0
天上の愛地上の恋 昼ドラ転生遊郭パラレル二次創作小説:蜜愛~ふたつの唇~ 0
天上の愛地上の恋 帝国昼ドラ転生パラレル二次創作小説:蒼穹の王 翠の天使 1
名探偵コナン腐向け火宵の月パラレル二次創作小説:蒼き焔~運命の恋~ 1
FLESH&BLOOD ファンタジーパラレル二次創作小説:炎の花嫁と金髪の悪魔 6
火宵の月 和風ファンタジーパラレル二次創作小説:紅の花嫁~妖狐異譚~ 3
天上の愛地上の恋 昼ドラ風パラレル二次創作小説:愛の炎~愛し君へ・・~ 1
黒執事 昼ドラ風転生ファンタジーパラレル二次創作小説:君の神様になりたい 4
火宵の月 昼ドラハーレクイン風ファンタジーパラレル二次創作小説:夢の華 0
薄桜鬼腐向け転生刑事パラレル二次創作小説 :警視庁の姫!!~螺旋の輪廻~ 15
FLESH&BLOOD ハーレクイロマンスパラレル二次創作小説:愛の炎に抱かれて 10
PEACEMAKER鐵 オメガバースパラレル二次創作小説:愛しい人へ、ありがとう 8
天愛×火宵の月クロスオーバーパラレル二次創作小説:翼がなくてもーvestigeー 2
薄桜鬼腐向け転生愛憎劇パラレル二次創作小説:鬼哭琴抄(きこくきんしょう) 10
薄桜鬼×天上の愛地上の恋 転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:玉響の夢 5
黒執事×天上の愛地上の恋 吸血鬼クロスオーバーパラレル二次創作小説:蒼に沈む 0
天愛×F&B 昼ドラ転生ハーレクインクロスオーパラレル二次創作小説:獅子と不死鳥 1
天上の愛地上の恋 現代転生ハーレクイン風パラレル二次創作小説:最高の片想い 4
バチ官×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:二人の天使 3
FLESH&BLOOD 現代転生パラレル二次創作小説:◇マリーゴールドに恋して◇ 2
YOI×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:皇帝の愛しき真珠 6
火宵の月×刀剣乱舞転生クロスオーバーパラレル二次創作小説:たゆたえども沈まず 2
薔薇王の葬列×天上の愛地上の恋クロスオーバーパラレル二次創作小説:黒衣の聖母 3
火宵の月×薄桜鬼 和風ファンタジークロスオーバーパラレル二次創作小説:百合と鳳凰 2
薄桜鬼×天官賜福×火宵の月 旅館昼ドラクロスオーバーパラレル二次創作小説:炎の宿 2
薄桜鬼×火宵の月 遊郭転生昼ドラクロスオーバーパラレル二次創作小説:不死鳥の花嫁 1
天愛×火宵の月陰陽師クロスオーバパラレル二次創作小説:雪月花~また、あの場所で~ 0
薄桜鬼×天上の愛地上の恋腐向け昼ドラクロスオーバー二次創作小説:元皇子の仕立屋 2
火宵の月 異世界ファンタジーパラレル二次創作小説:碧き竜と炎の姫君~愛の果て~ 1
F&B×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:海賊と陰陽師~嵐の果て~ 1
F&B×天愛 昼ドラハーレクインクロスオーバ―パラレル二次創作小説:金糸雀と獅子 1
天愛 異世界ハーレクイン転生ファンタジーパラレル二次創作小説:炎の巫女 氷の皇子 0
相棒×名探偵コナン×火宵の月 クロスオーバーパラレル二次創作小説:名探偵と陰陽師 1
F&B×天愛吸血鬼ハーレクインクロスオーバーパラレル二次創作小説:白銀の夜明け 0
名探偵コナン×天上の愛地上の恋 クロスオーバーパラレル二次創作小説:碧に融ける 0
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表紙は、湯弐様からお借りしました。「薄桜鬼」「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方は閲覧なさらないでください。「アルフレート、ここに居たのか。」 台所から賑やかな声が聞こえて来たのでルドルフがそこに入ると、そこには歳三と総司との間に挟まれて困惑しているアルフレートの姿があった。「お前、そこで何をしている?」「あ、君良い所に来たね!」総司はルドルフを見てそう言って笑うと、彼に一冊のノートを投げた。「何だ、これは?」ルドルフがノートの中身を見ると、そこには異国語で書かれた詩のようなものがあった。「てめぇ、今すぐにそれを返しやがれ!」「絶対に返しちゃ駄目だよ。」「これは何だと聞いている。」「ああ、これは土方さんが趣味で作っている俳句だよ。下手くそで笑えるでしょう?」「それ以前に、何が書いてあるのかさっぱりわからん。」「じゃぁ、君に解りやすいよう、僕が一句ずつ解説付きで朗読してあげるね!」「やめろ、やめてくれぇ~!」自分の趣味を公衆の面前で晒されそうになっている事に気づいた歳三は、“鬼副長”らしからぬ哀れな悲鳴を上げながらルドルフから句集を取り戻そうとした。だが、彼よりも背が高いルドルフは、総司の言葉を理解したのか、なかなか歳三に句集を返そうとしなかった。「ルドルフ様、ヒジカタ様を困らせてはなりませんよ?」「相手の弱みを握って何が悪い。暫くこれは預かっておこう。」ルドルフがそう言って嬉々とした表情を浮かべていると、奥から丸眼鏡を掛けた男が現れ、ルドルフの手から句集を奪った。「貴様、何をする?」「土方君、どうぞ。」「済まねえな、山南さん。」山南から句集を受け取った歳三は、そう言って安堵の表情を浮かべた。「誰だ、貴様は?」「自己紹介が遅れましたね。新選組総長の山南敬助と申します。以後お見知りおきを。」「総長?ではお前もヒジカタと同じ役職なのだな?」「まぁ、そう言うことになりますね。貴方に少し質問があるのですが、宜しいでしょうか?」「構わない。」「昨夜の貴方の身なりや立ち居振る舞いを観察した上で、貴方は高貴な身分に属する方だとお見受け致しました。僭越(せんえつ)ながら、貴方のご出身と身分をお教えいただけないでしょうか?」「・・貴方はどうやら、ヒジカタと違って話が解るようだな。」山南の言葉を聞いたルドルフはそう言って口端を上げて笑った。「わたしはルドルフ=フランツ=カール=ヨーゼフ=フォン=オーストリア、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子だ。日本には母上と一緒に視察へ来た。」「皇太子?こいつそんなに偉いのかよ?」「馬鹿野郎平助、山南さんの話を聞いていなかったのか?」間の抜けた言葉を発した平助の頭に、原田がすかさず拳骨を落とした。「皇太子だろうが何だろうが、“郷に入ったら郷に従え”だ。新選組に居る身なら、こちらのやり方に従って貰う。」「わたしは貴様の部下ではないのだから、わたしに命令に従う義務はない。」そう言い放ったルドルフと、彼を睨みつけている歳三との間に静かな火花が散った。「ルドルフ様、こちらでお世話になっている限り、この方達に従うべきではありませんか?」「アルフレート、お前はこいつの味方をするのか?」歳三の肩を持つかのような発言をするアルフレートの言葉に、ルドルフは少しムッとした顔をして彼の方を見た。「わたしは当たり前のことを申し上げているだけです。それとルドルフ様・・」アルフレートは一歩ルドルフの前に出ると、自分の手をルドルフの額に当てた。「お熱がありますね。」「こんなもの、どうってことない。」「いいえ、いけません。黙ってここから抜け出そうなどと思ってはいけませんよ。今日はお部屋でお休みください。」「解った、休めばいいんだろう、休めば!」 自棄をおこしたルドルフはそう言うと台所を出て部屋へと戻って行った。「おやおや、彼は貴方の言う事は何でも聞くようですね?」「ルドルフ様は、幼い頃から体調が悪くても隠そうと為さることが多いので・・」「そうですか。そういう所が土方君と少し似ていますね。」山南はそう言って笑うと、歳三が彼を睨んだ。「冗談じゃねぇぞ山南さん、あいつと俺は全然似てねぇぞ!」 副長室で歳三が山南にそう怒鳴ると、彼はニコニコ笑いながら彼の肩を叩いた。「ただの冗談にそんなに怒ることはないでしょう。それよりもわたしが気になるのは、ルドルフさんとあの黒髪の異人さんとの関係です。」「あいつとアルフレートがどうかしたのか?」「二人の関係は、単なる幼馴染といったものではないみたいですね。それよりももっと深いもの・・」「まさか山南さん、あの二人が出来てるとか言うんじゃねぇだろうな?」「その“まさか”だと思いますよ、土方君。」山南の言葉を聞いた歳三は、美しい顔を引き攣らせながら彼を見た。「まぁ、彼らの関係は我々には関係なさそうなので、放っておくことにしましょう。人の恋路を邪魔する者は何とやらといいますからね。」「あぁ、そうだな・・」「土方君、今時衆道ごときで君が驚く事はないでしょう?あの時の騒動に比べたら、二人の関係など微笑ましいものではないですか?」「うん、そうだな・・だがな山南さん、あいつらをこのまま部屋に閉じ込めておくわけにはいかねぇし、誰かの小姓にでもするか。」「それがいいですね。では土方君、お願いしますよ。」「おいちょっと待て、何で俺があいつらの面倒を見る事で決まっているんだ?」「言い出しっぺの法則ですよ。まぁ、ルドルフさんの方は貴方の小姓など到底務まりそうにないので、一度採用試験を受けさせることにしましょうか。」(何だか、面白くなりそうな気がしますね・・)にほんブログ村二次小説ランキング
2024年07月31日
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表紙は、湯弐様からお借りしました。「薄桜鬼」「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方は閲覧なさらないでください。 翌朝、ルドルフが寝心地の悪い布団から起き上がり、自分の隣で寝ている筈のアルフレートに触れようとしたが、そこに彼の姿はなかった。「アルフレートさん、悪ぃな。朝飯の支度を手伝わせちまって。」「いいえ、こちらこそわたし達を置いてくださって有難うございます。わたしに出来ることでしたら、何でも相談してくださいね。」 新選組の屯所内にある台所で永倉新八と朝食の支度をしながら、アルフレートがそう言って彼に微笑んでいると、そこへ総司が欠伸をしながらやって来た。「あれぇ、その人昨夜土方さんがここに連れて来たっていう異人さん?」「初めまして、アルフレート=フェリックスと申します。」「こちらこそ初めまして。僕は沖田総司。そういえば君、あの金髪の方の異人さんと知り合いなの?随分と親しかったようだけど?」「ルドルフ様とわたしは、幼馴染です。物心ついた頃から、わたしはルドルフ様にお仕えしております。」「ふぅん、そう。そのルドルフとかいう人は気に入らないけれど、君とだったら仲良く出来るかな。」総司がそう言ってアルフレートの方を見ると、彼の背後に黒の着流しを着た青年がやって来た。「総司、朝稽古をサボって何をしている?」「やだなぁはじめ君、僕はこれから朝飯の支度をしようと思って・・」「嘘を吐け、あんたがここに来たのはどうせ朝飯のおかずを盗み食いするつもりで来たのだろう?」 青年の紫がかった蒼い瞳で睨まれた総司は、大袈裟な溜息を吐いた。「沖田さん、こちらの方は?」「俺は新選組三番隊組長、斎藤一だ。あんたが今日からうちに世話になる客人か?」「はい。アルフレート=フェリックスと申します。以後宜しくお願い致します。」「こちらこそ宜しく頼む。アルフレート殿、貴殿のその格好はいささか珍妙なものだが、それには何か意味があるのか?」 青年―斎藤はそう言うと、アルフレートが着ている法衣を指した。「わたしは司祭をしておりますので、今わたしが着ている法衣は制服のようなものです。皆さんには、制服のようなものはありますか?」「隊服ならあるよ。巡察の時はみんな浅葱色の羽織を着るのが決まりだけど、ちょっと色が派手過ぎるんだよね、それに模様もダサいし。いくら近藤さんと土方さんが忠臣蔵好きだからといって、赤穂浪士の真似をすることないと思うけどなぁ。」「総司、何故あんたは副長に盾突くのだ?お前の所為で副長の気苦労が絶えない・・」「朝っぱらからお説教はやめてよ、はじめ君。」「てめぇら、こんな所で何を騒いでいやがる?」ドスのきいた歳三の怒声が台所に響くと、総司と斎藤が一斉に彼の方を見た。「土方さん、もう起きてたのか?」永倉が菜箸を持ったまま歳三にそう尋ねると、彼は眉間に皺を寄せながらこう言った。「副長が朝寝坊なんざしたら、隊士達に示しがつかねぇだろう。それよりも新八、てめぇ昨夜も遅くまで島原で飲み歩いていたそうじゃねぇか?」「ひ、土方さん、あれは左之と平助が無理矢理誘って来て、断れなくてよぉ・・」「昨夜あんたは泥酔して屯所の玄関先で大騒ぎした挙句、副長の褌の上に吐いたのを忘れたのか、新八?」「さ、斎藤、何でこんな時にそう言う事を告げ口するんだよ!?」「俺は告げ口などしていない。ただ副長に昨夜の出来事をご報告しているだけだ。」「それを告げ口っていうんだよ!」そう言って慌てふためく永倉を前に、斎藤は冷静沈着な態度を崩さなかった。「新八、後でじっくりとそのことを聞かせて貰うじゃねぇか?」「土方さん、勘弁してくれよ!」「やかましい!てめぇの酒癖の悪さには今まで手を焼いてきたが、もう許さねぇ!今日からてめぇは巡察以外外出禁止だ!」「酷ぇ、それはねぇだろう!」「黙って副長の命令に従え、新八。自業自得だ。」うなだれる永倉に、斎藤が追い討ちをかけた。 歳三は自分達のやり取りを聞いていたアルフレートが、自分に向かって笑みを浮かべている事に気づいた。「何が可笑しいんだ?」「いえ・・何だか、土方さんが永倉さんを叱っていらっしゃるところを見ていると、皆さんのお母様のように見えまして・・」 アルフレートの言葉を聞いた総司が突然、腹を抱えて笑い出した。「あはは、アルフレートさんって面白い事を言うんだね!確かに、土方さんの誰にも口煩い所はお母さんみたいだけど・・」「総司、笑い過ぎだ!」斎藤が慌てて総司を宥めたが、彼は笑いながら懐からある物を取り出した。それは、歳三の句集、豊玉発句集だった。「総司、てめぇまた俺の句集を持ち出しやがったな、返せ!」「嫌ですよ。今から一番隊のみんなにこの句集の感想を聞きに行くんですから、邪魔しないでください。」「てめぇ、余程俺に斬られてぇようだなぁ?」歳三がこめかみに青筋を立てながら腰に差していた大刀へと手を伸ばすのを見た斎藤が、慌てて彼を止めた。「落ち着いてください、母上!」「俺はいつからてめぇのお袋になったんだ、斎藤!」「申し訳ありません、副長。」「あ~あ、土方さんはじめ君を朝から泣かせちゃ駄目ですよ。それじゃぁ、僕は一番隊の朝稽古に行ってきますね、お母さん!」「総司、待ちやがれぇ~!」台所から賑やかな声が聞こえ、局長室で読書をしていた近藤は思わず本から顔を上げた。「あの様子だと、また総司が何かやらかしたのか?」「そのようだね。勇さん、総司を止めないのかい?」「いつもの事だから、いずれ落ち着くさ。それよりも、トシは今日も元気だなぁ。」そう言って豪快に笑う近藤の姿を、隣で井上が少し呆れたような顔をしていた。(勇さんは相変わらず呑気だねぇ。)彼は内心そう思いながら、密かに溜息を吐いた。にほんブログ村二次小説ランキング
2024年07月31日
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表紙は、湯弐様からお借りしました。「薄桜鬼」「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方は閲覧なさらないでください。 歳三は自分の前で臆面もなく抱き合う二人の異人の姿を見ながら、眉間に皺を寄せた。「てめぇら、知り合いなのか?」「はい。わたしとルドルフ様は、幼馴染であり、友人です。あの、貴方様のお名前をまだ聞いておりませんでしたが・・」「俺は新選組副長、土方歳三だ。それと、あんたの友人に斬りかかろうとしたのが、新選組一番隊組長沖田総司だ。こっちは名乗ったんだから、てめぇらも名乗りやがれ。」「わかりました。わたしはアルフレート=フェリックスと申します。こちらの方は・・」「ルドルフ=フランツだ。初対面の相手に向かって、随分と偉そうな口を利くのだな?」「そっちこそ、自分がどういう立場に居るのかわかってねぇようだなぁ?」ルドルフの言葉に苛立った歳三がそう言って立ち上がったが、彼よりも背が高いルドルフに見下ろされてしまった。「てめぇ、この俺を見下ろすなんざいい度胸をしているじゃねぇか?」「貴様が小さいだけだろう?」「何だと!」「トシ、やめないか!」慌てて歳三とルドルフとの間に、近藤が割って入って来た。「俺は新選組局長、近藤勇だ。貴方達は何故、京の町に居たんだ?」「用事があって来た。だがホテルに戻ろうとしたら、道に迷ってしまってあの化け物に襲われたのだ。」「そうか。今日はもう遅ぇし、お前達の処分については明日決める事にする。」「わかった。」「源さん、二人を部屋へ案内してくれ。」「わかったよ。」 ルドルフとアルフレートを部屋へと案内した男は、井上源三郎と名乗った。「狭い部屋だな。それに、天井が低い。」「異人さんには居心地が悪いと思うが、この屯所には他に空いている部屋がなくてね。」「いいえ、構いません。井上さん、これからわたし達はどうなるのでしょうか?」「それはトシさん次第だね。」「あのコンドウとかいう男がここのトップではないのか?」「確かに近藤さんは新選組の局長だが、新選組の全ては副長のトシさんが仕切っているのさ。」「だから彼はあんなに偉そうな態度を取っていたのか。余り彼とは仲良くなれないな。」「ルドルフ様・・」先程のルドルフと歳三とのやり取りを見ていたアルフレートは、ルドルフの言葉を聞いて不安になった。「今日はもう遅いから、休んでくれ。布団は、あそこの押し入れにしまってあるよ。」「有難うございます。」 アルフレートが押し入れから布団を二組出すと、ルドルフはそれを見るなり顔をしかめた。「こんな薄い物で眠れるのか?」「ルドルフ様、文句を言ってはなりませんよ。こちらにお世話になる以上、あの人達と仲良くして頂かないと困ります。」「ふん、お前の頼みならば聞いてやろう。ただあのヒジカタという男とはウマが合わない。」ルドルフはそう言って布団に潜り込むと、アルフレートにそっぽを向いた。 同じ頃、副長室では歳三が山南敬助と向かい合って座っていた。「土方君、先程わたし達が会った異人、特に背が高い人の方は、身なりやあの口ぶりからして、高貴な身分に属する方のようですね。」「それがどうしたんだ、山南さん?言っとくが、あいつが高貴な身分の方だからといって仲良くしろなんて言われても仲良く出来ねぇぜ?」「そんなに彼から見下ろされた事が悔しかったのですか、土方君?」「う、うるせぇ!」にほんブログ村二次小説ランキング
2024年07月31日
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表紙は、湯弐様からお借りしました。「薄桜鬼」「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方は閲覧なさらないでください。「おい、立てるか?」「助けてくださって、有難うございます。」 新選組副長・土方歳三は、自分の前で蹲っている異人にそう声を掛けると、彼は自分に礼を言った。 歳三は、目の前に立っている珍妙な格好をした異人をじっと見ていると、彼は翡翠の双眸で自分を見つめて来た。「あの、ルドルフ様をご存知ありませんか?」「誰だ、それ?」「わたくしの大切な方なのです。先ほど一緒に居たのですが、地震で逸れてしまって・・」「詳しい話は屯所で聞こう。俺について来い。」「は、はい・・」 このまま夜の町で異人を置き去りにしたら、また変な輩に彼が絡まれる可能性が高い。それに、彼は何か訳ありのようだし、事情を屯所で聞いた方がいい―そう判断した歳三は、彼を屯所へと連れて行った。(この人は、信用してもいいかもしれない・・)アルフレートは歳三の後をついていきながら、ルドルフの身を案じた。 一方、新選組の屯所である西本願寺では、不機嫌なルドルフの様子を遠巻きに見ている数人の男達が居た。「平助、お前が話しかけろよ。」「そう言うなら、左之さんが話しかけてみろよ。」「嫌だよ、面倒な事に巻き込まれるのは御免だぜ。」(あいつらはコソコソと何を話しているんだ?)ルドルフはイライラしながら男達を睨んでいると、その中の一人と目が合った。「やべ、目が合った!」「話しかけるチャンスだ、行け平助!」「おい、左之さん・・」左之助と新八に背中を勢いよく押され、平助は勢いよくルドルフの前に飛び出してしまった。「ど、どうも・・」「お前、何をさっきから見ている?」「いやぁ~、異人さんを初めて間近で見たから、珍しくてつい・・」「そうか。」ルドルフはそう言って平助にそっぽを向いた。「あれ、どうしたの?その人、誰?」広間の入り口の方で声が聞こえたので、ルドルフがそちらの方を向くと、そこには癖のある栗色の髪をした男が、翡翠の双眸でルドルフを睨みつけていた。「貴様は誰だ?」「それはこっちが聞きたいね。それに君、自分が今どんな状況に置かれているのか解らないの?」栗色の髪をした男がそうルドルフを挑発すると、ルドルフは彼を睨みつけた。「何その目つき、気に入らないなぁ。」 栗色の髪の男―沖田総司はそう言うと、刀の鯉口へと手を伸ばした。「総司、てめぇなにしていやがる!」「土方さん、帰って来たんですか。後ろに立っている人、誰ですか?」「屯所に帰る途中で拾って来たんだ。それよりも、お前ぇを睨みつけているその異人は誰だ?」「さぁ。随分と生意気な態度を取っているので、今斬ろうと思っていたところです。」総司がそう言ってルドルフの方を見ると、彼は歳三の背後に立っているアルフレートに駆け寄った。「アルフレート!」「ルドルフ様、ご無事だったのですね!」にほんブログ村二次小説ランキング
2024年07月31日
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素材は、湯弐様からお借りしました。「薄桜鬼」「天上の愛地上の恋」二次小説です。作者様・出版社様とは一切関係ありません。二次創作・BLが苦手な方は閲覧なさらないでください。 1878年1月、ルドルフは母・エリザベート皇后と共に来日した。来日の目的は、日本との親睦を深めることであったが、ウィーン万博で日本の芸術品に目を奪われ、その虜となったエリザベートが熱望した為であった。 日本滞在中に京都を自由に散策するエリザベートとは違い、ルドルフは内戦から10年経った日本がどのように近代国家として発展しているのかを視察するため、学校や工場などを訪れた。「ルドルフ様、お疲れではありませんか?」「アルフレート、お前の方こそ疲れていないのか?」 帰国が明日に迫った日の夜、宮廷付司祭・アルフレートがルドルフの部屋を訪れ、彼を労うと、逆にアルフレートは彼から労われてしまった。「母上の我儘に振り回されて、音を上げない者はお前だけだとさっきエスターライヒ伯爵夫人がお前の事を褒めていたぞ。」ルドルフは半ば呆れたような口調でそう言うと、恋人を見つめた。「ヴァレリー様で、慣れておりますから・・」「そうか。」「あのルドルフ様、そんなに見つめないでください・・恥ずかしいです。」ルドルフの蒼い瞳で穴が開くほど見つめられ、アルフレートは恥ずかしさのあまり思わず俯いた。「別にいいだろう、減るものでもないし。」ルドルフはソファから立ち上がると、アルフレートの手を掴んで自分の方へと彼を引き寄せ、自分の膝の上に彼を座らせた。「ルドルフ様、何を・・」「漸く二人きりになれたんだ、そうかたくなるな。」ルドルフはそう言った後、アルフレートの唇を塞いだ。アルフレートが彼のキスに応えると、ルドルフはおもむろにアルフレートのズボンの中に手を入れて来た。「ルドルフ様・・」「アルフレート・・」熱を孕んだ翡翠の双眸を見つめたルドルフは、そのまま彼をソファの上で抱いた。「わたしから、離れるな・・」ルドルフはそう言うと、アルフレートの左頬に残る傷を指先でなぞった。アルフレートは彼の言葉に静かに頷き、ルドルフと再び唇を合わせた。「こうしてお前と二人きりでいられるのは、いつまでなのだろうな?」「ルドルフ様・・」「心配するな。結婚してもわたしはお前を傍に置く。」「そう・・ですか。」 褥の中で寝返りを打ちながら、アルフレートは彼の言葉を聞いて少し胸が痛んだ。ルドルフはオーストリアの皇太子―いずれは結婚し、跡継ぎを儲けなければいけない身だ。それに対し、自分は何の後ろ盾のない孤児―女であったのなら愛人として彼に囲われ、彼の子を産める。だが、アルフレートは男で、そんな事は一生出来ないことくらい己でも解っている。だからこそ―ルドルフの傍に居られるこの時が、何よりも愛おしかった。「アルフレート、何を考えている?」「いいえ、何でもありません・・」「そうか。」ルドルフに黒髪を優しく梳かれ、アルフレートはゆっくりと目を閉じて眠った。 帰国する日の朝、ルドルフはアルフレートと共に京都市内を散策した。長身の彼と、法衣姿のアルフレートは日本では珍しいらしく、擦れ違う通行人達の視線が自分達に向けられている事にアルフレートは気づいた。「アルフレート、どうした?」「先ほどから、通行人の視線を感じるのですが・・」「外国人の姿は京都では珍しいからな。さてと、ヴァレリーに土産のひとつでも買ってやるか。」 ルドルフがアルフレートと共に入ったのは、櫛や簪を扱っている店だった。「これは如何ですか?ヴァレリー様に似合うと思います。」アルフレートがそう言って手に取ったのは、花の飾りがついた簪だった。「お前も何か欲しい物があれば、言え。」「ルドルフ様、ご冗談を・・」アルフレートがそう言ってルドルフの方を見ると、彼は手に持っていた櫛をアルフレートの黒髪に翳した。「似合うな。」「ルドルフ様・・」「何だ、気に入らないのか?」「いいえ・・」 会計を済ませ、店から出ようとした二人を、突如激しい揺れが襲った。「う・・」 揺れが収まり、アルフレートがゆっくりと目を開けると、そこには自分の隣に立っていた筈のルドルフの姿がなかった。「ルドルフ様、ルドルフ様!?」アルフレートが半狂乱になりながらルドルフの姿を探していると、自分の目の前に広がっている町の風景が先程とは違っている事に気づいた。 あの店にルドルフと共に入った時は昼だったのに、今町は宵闇と霧に包まれている。(ここは・・)あてもなくアルフレートが町を歩いていると、霧の向こうから人影が見えた。「ルドルフ様?」アルフレートが霧の中から人影に呼び掛けると、それはルドルフではなく、紅い目をした化け物だった。恐怖で動けずにいるアルフレートに向かって、化け物は涎を垂らしながら突進してきた。「血をよこせぇ!」 アルフレートが死を覚悟した時、彼の前で血飛沫が飛び、化け物が倒れた。「ったく、油断も隙もありゃしねぇ。」自分の前に立った男はそう言うと、ゆっくりとアルフレートの方を見た。にほんブログ村二次小説ランキング
2024年07月31日
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