大学でポルトガル語を勉強していたころ、同じ大学にたくさんの留学生がいた。カフェテリアの一角に留学生の溜まり場があった。そこには「英会話を練習したい」日本人が、アメリカ人留学生をつかまえようと集まっていた。留学生の一人に用があって英語で話しかけたら、"Oh, your English is very good!" と言われたので、ちょっとむっとしながら、"Thanks." とそっけなく答えた。すると、彼は意外だという顔をした。わたしが大喜びすることが期待されていたらしい。「日本語は話さないの?」と日本語で聞いたら、「話すよ、もちろん」と、けっこう上手だった。
さらに同情するのは、英語圏以外からの白人留学生だ。ブラジル人でも、ドイツ人でも、フランス人でも、みんな英語で話しかけられる。いきなり "What state are you from?" という質問も多いらしい。頭からアメリカ人だと決め付けているのだ。そして「わたしはブラジル人です。英語ではなくて日本語で話してください」などと言おうものなら、あからさまにがっかりした顔をするという。まったくもって、なんという失礼だ。