<学力を上げるためには>
◆学力を上げるためには、次の6つの要素が必要だと考えています。
(1) やる気およびモチベーションならびに自律性
(2) 環境(※)
※環境とは、「家庭環境、親の働きかけ、地域環境、塾の力量、友人関係、公立小学校・中学校のレベルと教科担任の力量」の複合体です。これを私は「学力の生態系」と呼んでいます。
「学力の生態系」については、いずれブログで整理する予定です。
※ユリー・ブロンフェンブレンナー氏の「 生態学的システム理論 」と志水宏吉氏の「学力の樹理論」を参考にしております。
(3) スピード
(4) 記憶力
(5) 抽象力・国語力・論理的思考力・地頭(ジアタマ)
(6) ケアレスミスの少なさ
以上6つです。
◆技術的なことを言えば、(3)「スピード」と(4)「記憶力」が大切でしょう。
スピードと記憶力は、勉強において車の両輪のようなものであり、この2本柱がしっかりしていると、学力はある程度まで伸びていきます。勉強が出来るようになるための必要条件です。
※中2クラスは、この夏休みで(4)を中心に鍛えていきます。(今日はそんな話を1時間くらいしました)
◆(5)「論理的思考力・ジアタマ」については、できればあった方がいいですし、これを持っている子は強いです。
スピードや記憶力が弱い場合でも、論理的思考力・地頭・国語力があれば、その弱さを補うことができます 。
あるいは、 スピードや記憶力がちゃんと備わっている上で、さらに論理的思考力・地頭・国語力まであれば、相乗効果でスピードや記憶力はさらに強化されます 。
しかし、この(5)の能力は一朝一夕に作られるものではありませんし、(2)の「環境」により強い影響を受けます。言ってみれば、偶然性に左右されることもあるわけで、この論理的思考力や地頭にあまりに期待しすぎることは、塾としてはギャンブルです。レディネス(発達段階)というものがありますから、この論理的思考力が大学受験までに芽生えない子も一定数います。
現在、この(5)の「論理的思考力や地頭」の養成を地域環境や家庭環境によらず、中学生からでも育成できる方法を模索中です。現塾生にフィードバックできるよう研究を急いでいます。
◆学力を上げるためには(6)の「ケアレスミスの少なさ」も大切な要素です。
いくら記憶力やスピードや国語力に長けていて、理解にも定着にも問題がないとしても、テストでミスを連発してしまうようでは、全てが水泡に帰してしまいます。したがって、ケアレスミスをなくすことも重要です。
具体的には、メタ認知を利用した勉強法や定期試験の5色振り返り法を行っています。これで一定限度まで防げるはずです。また、 普段から音読を繰り返すことで、ヒューマンエラーはかなり減らすことができるというデータもあります 。(民間人校長第1号の 内田睦夫氏 は、これを利用して学校改革を推進したことは有名です)
<塾で出来ることとご家庭で行うこと>
塾で直接的にお手伝いできるのは、(3)~(5)が中心となります。
(6)「ケアレスミス」については、発達心理の専門家でないと対応できない問題も一部含んでいますが、塾でもできる限りの手を尽くしておりますし、自分なりに研究を進めている最中です。
一方で、ご家庭の役割としては、(2)「環境の整備」 が中心になってくる のでしょうが 、これについても最近、私の中で一つの結論が導かれつつあります。
それは、
「 塾生の学力を上げるためには、塾はある一定限度まで、ご家庭へ介入する必要がある 」
ということです。
そのような考えに至った理由はいくつかありますが 、大きな理由としては主に2つです。
1つめの理由は、
子供の学力の大部分は、結局は家庭で養われているから
というシンプルな事実です。
「見える学力見えない学力」の著者岸本裕史氏は、この点を非常に強調しています。
また、東大名誉教授である教育学者 大田堯氏の言葉を借りれば「氏も育ちも」重要ということです。
精神科医の岡田尊司氏も著書の中で家庭環境の重要性について述べられています。
そして、2つめの理由は、
多くの親御さんが、「では一体何をどうしたらいいのか分からない」という悩みを抱えている
という現状を日々感じているからです。
塾生の保護者の方から連日のようにお電話を頂きます。皆さま本当に子育てやお子様の成績について悩まれています。私も育児をする立場ですから、その気持ちは十分に理解出来ます。
以上2つの理由から、
塾生の学力を上げるためには、ご家庭にまでアドバイス差し上げる必要がある
という確信に近い思いが私の中で芽生えつつあります。
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